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番号札5番 とある領主の相談内容

毎度、馬鹿馬鹿しいお話ではありますが。

氏名 : ヘルマン・ルートヴィヒ・シュタイナー

年齢 : 36歳

性別 : 男

職歴 : ツェルナー王国 シュレーダー地方 領主 5年1ヶ月

技能 : 剣技 10レベル / 弓技 10レベル / 宮廷儀礼 10レベル 

     軍隊指揮 10レベル / 軍師 10レベル / 鍛錬 10レベル

     テーブルマナー 10レベル / 料理 10レベル

特技 : 貴族の風格(交渉を有利にする)

     超感覚(味覚)

     超感覚(嗅覚)

備考 : 亡国の貴族となったので祖国の復興に備えた仕事を希望 


職員 :「次の方、番号札5番の方、1番窓口までどうぞ」

領主 :「うむ」

職員 :「こんにちわ」

領主 :「世話になる」

職員 :「まず、求人票を拝見させていただきますね」

    「領主の経験が5年1ヶ月ですか。こちらの亡国の貴族とありますが、どの様な状況ですか?」

領主 :「話すと長くなる」

職員 :「えっと、伺いましょう」

領主 :「吾輩がツェルナー王国の男爵としてシュレーダー地方の領主に赴任したのが5年程前」

    「優れた領主は領地を豊かに、有事に備えて兵を鍛えるものと考えている」

職員 :「富国強兵ですね」

領主 :「我が国は多くの国に囲まれ、軍事的、経済的に常に外敵の脅威に晒されている」

    「だからたゆまぬ努力により兵馬を鍛え、経済の活性化に注力したのだ」

職員 :「兵の鍛錬は分かりますが、経済の活性化とはどの様なものを?」

領主 :「吾輩は前世が料理人だったのでな。料理を町の活性化に利用した」

    「和食、洋食、中華、全てをこの世界に再現できれば間違いなく売れると考えたのだ」

職員 :「それで、料理と味覚、嗅覚なのですね」

領主 :「そうだ。成功は間違いない」

    「ところが・・・だ」

職員 :「既に大抵の料理は出来ていますよね」

領主 :「そうだ。隣町が吾輩の真似をしたのだ」

    「吾輩の領地が潤うはずが、それを全て奪われたのだ」

職員 :「皆さん、考えることは一緒ですから」

    「そこは経営手腕が問われるところです」

領主 :「盗んだに決まっておる」

    「吾輩にはチート能力がある。それに既に多くの資金を注いでいる状況だ」

職員 :「はぁ」

領主 :「そもそも、周囲の国を巻き込み、経済圏を作り、一方的に経済戦争を仕掛けてきたのは奴らだ」

    「大幅な関税の引き上げ、人材の流出を防ぐ法令などで対抗したが駄目だった」

職員 :「料理以外でも領地を潤す方法はありますよね?」

領主 :「そう考えて、投資の研究もしてな」

職員 :「え?」

領主 :「グレーターデーモンの養殖の投資がかなりリターンが見込めそうだと話を聞いての」

職員 :「やったのですか?」

領主 :「先代が国王から下賜された宝剣と屋敷を担保に借金をして投資した」

職員 :「あぁ」

領主 :「配当が送られてきたのは最初の数カ月でそれからぱったりだ」

    「金を返せと要求したが返せないと抜かしやがる」

職員 :「最近、ニュースでやっていましたよね・・・」

領主 :「それで、借金の返済が滞って、我が家の家宝と屋敷を手放す訳に行かなくてな」

    「やむなく、税金を高くした」

職員 :「まずくないですか?」

領主 :「担保を手放す訳にはいかないのだ」

    「大体、五公五民の時代があったのを考えれば今の税率は低すぎる」

職員 :「農民の所得は低いですから五割も税金かけたら死んじゃいますよ」

領主 :「仕方が無いのだ!」

    「時には領民から鼻血が出ない程に税を取り立てなければならん。戦争となれば領民を戦場に送りこまねばならん。それが上に立つ者としての責任だ」

職員 :「えっと・・・」

領主 :「そして、根本的な要因を作った隣町にも報復をしなければならん。吾輩が鍛えた騎士団と民兵を率いて懲罰遠征をしてやった」

職員 :「・・・・」

領主 :「途中で農民共が敵前逃亡を始めおって。情けない」

    「そこを隣町の領主が荒くれの傭兵どもを率いて吾輩の所領どころか、王国全てを乗っ取りおった」

職員 :「え~~、事情は分かりました」

領主 :「物分かりが早いのは良いことだな」

職員 :「ひとつずつ説明を致しますと、離職の理由から判断して懲戒解雇に該当する可能性が高く、失業保険は諦めてください」

領主 :「なんだと?」

職員 :「それからあなたの所属していた王国の亡命政府から国家反逆罪、複数の国から戦争犯罪人として指名手配がかかっています」

領主 :「ふざけるな!吾輩は王国の為にやったのだぞ!」

職員 :「その辺の調査はこちらの管轄ではございませんので、そちらの方にご説明をお願いします」

領主 :「何!?謀ったのか!」

職員 :「重ねて申し上げますが担当部署が異なります。該当する部署に引き継ぎを行います」

領主 :「どうなるのだ?吾輩は?」

職員 :「これから慎重に審議が進められると思いますよ」

    「それから担当者が到着されたので、そろそろ突っ込みを入れさせて頂きます」

領主 :「え?」

職員 :「ここは現実世界でシュミレーションゲームじゃないのです!」

    「どれだけの人に迷惑かけて、ナチュラルに自分だけ再起を図ろうとしてるのですか!」

    「後、死刑制度が無くて良かったですね!多分、一生出られないと思いますけど」

領主 :「ちょっ?」

職員 :「悪しからず御了承願います。それから警備隊の方、よろしくお願いします」

領主 :「待てぇ」

職員 :「ふぅ、お花摘み行っきます!」

もう少し頑張れそうです。

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