ワガママ
登場人物&設定
※必要のない方は読み飛ばしてください
※すでに描写されている範囲で簡単に記述します
※少しでも読みやすくなれば、という試みですのでご意見募集いたします
本作では一人称で描写される登場人物の固有名詞を使いません。そもそも固有名詞が無い場合もあります。もちろん考えて無いのではなく、作品の演出でもなく、文化的に。
他の登場人物も複数ある役職名やアダナ等で呼ばれます。
文節の大半は一人称となりそれが次々と入れ替わります。
よって、以下の特徴で誰視点であるのか、ご確認ください。
・一人称部分の視点変更時には一行目を【】で区切ります。
・【語る人間の居場所/誰視点】とします。
・「誰視点か」の部分は「青龍の貴族」「魔女っ娘」など代表的な呼称(役職名やアダナ)を入れます。
・次の行、もしくは数行以内に「俺」「私」などの特徴となる一人称を入れます。
以下設定を参考に誰視点か確認いただければ幸いです。
(書き分けろ!と言われたら返す言葉もございません)
『わたくし』
地球側呼称《お嬢/童女/ちびっ娘》
現地側呼称《妹分/ちい姉さま/お嬢様/愛娘》
12歳/女性
:異世界人。大商人の愛娘。ロングウェーブのクリームブロンドに蒼い瞳、白い肌。身長は130cm以下。装飾の多いドレスが普段着。マメシバブランドのギミック満載な服を好む。
それも含め、なにがどう変わろうと永久に愛されていることを確信しているからこそ、産まれて初めて誰かに好かれようとして奮闘中。
わたくし、願っておりますわ。
ご領主様が失脚為されば善いのに、と。
為すべきこと。
居るべき何処。
在るべき御姿。
厭うておられるすべてから抜けて、と。
嫌いなら。
否となら。
不要なら。
わたくしの想うところにありませぬ。
――――――――――為す訳がありませぬから。
ご領主様も為さるのは、ご自分が最も巧く為せるから、というだけ。
それだけは判ります。
ご領主様が為さることは、あの方にしか為せぬことではありません。
それしか解りません。
なら、他の方々が為さればよろしいじゃありませんか。
わたくしは、そう願います。
ご領主様にしか出来ないこと。
ご領主様をこそ欲しいこと。
ご領主様だけが許すこと。
それだけを為ていただきたいのです。
――――――――――だけ――――――――――
不遜?
もとより。
今さら。
わたくしの卑俗な欲を繕って尚、日々刻々それを暴かれ続けておりますから。
・・・・・・・・・・わたくしの生き恥にて愉しまれるのでしたら、貴男様に躾られた本懐でございます。
故に。
隠すことではありませんわ。
隠せないのではありますが。
隠さないことにて応えます。
魅られている限り、限りなく魅せられる。
――――――――――そう、躾られています。
貴男に。
見栄を張りこそすれど、隠したりはいたしません。
何もかも常に魅ていただけるなぞ、望むところ。
これほど張り合いがある舞台もありますまい。
だから、我儘を、求めています。
命令を盾にとり。
我が欲を表して。
わたくしを、と。
それも叶わぬ醜悪さをも見透かされているのなら怖くない。
それだけの価値が在る、そう認めてくださったのですから。
あの方が、わたくしに飽くことなど、絶対にありえません。
だから、世界を手放して欲しい。
世界は青龍の方々でも構わない。
わたくしには、貴男しかいない。
だから、世界を手放して欲しい。
為せるから、より、為したいことを、だけ、為さるべきですわ。
力を棄てれば。
役を捨てれば。
人をすてれば。
後は、わたくしの一族が、ささやかながらお迎え致します。
後は、わたくし一人だけ
・・・・・・・・・・とはいかないでしょうけれど。
どれほど小さく、狭い、華奢な女であれ。
魅え方が異なりますから。
どう、と判らずとも、そう、と解ります。
あの方の女ですもの。
皆を。
誰より。
何より。
わたくし、を、こそ。
・・・・・・・・・・?
ああ。
観たことはありますわ。
多分。
その刻は解りませんでした。
今は灼きつけていただけました。
―――――――――貴男に愛されるのは当たり前。
その価値が無ければ拐われません。
そう常に思い知らされております。
それでも尚、欲がとまりませんの。
もっともっと
――――――――――貴男を拐いたい♪︎
「知っていることと理解は無関係なのよねぇ」
「むしろ混同する向きが大半ですから邪魔なんじゃないですかぁ?」
「習って届く同質と倣うでしか成り得ない同一」
「どちらにします?」
【異世界大陸東北部/占領地域/軍政主府/軍政司令部/軍政司令官私室/青龍の貴族】
俺は今、察してるけど。
他人に考えを読まれてる。
身内の気持ちを察してる。
おんなじおんなじ。
マイナス距離なら誰でも可能。
他人の心で思ってる事なんか判る。
逆もまた然りではある好都合。
視えれば観られるって言うじゃないか。
普通科教練基本知識。
撃てる刻は撃たれる刻。
先に殺った方が勝つ。
もちろんさっさと退却するのも手だな。
戦う前ならそれが出来る。
戦ってるとそれは出来ない。
戦った後はそうは言わない。
戦った後は敗走って言う。
人付き合いと戦闘って似てるんだよね。
相手のことが良く判る。
自分のことが良く伝わる。
その意図するところは、相手に我が意を強要するところにあるとかなんとか言うボッチはともかく、多数派にとって戦闘する意味は互いの距離を確認する過程。
だから判明、うちの娘との非距離。
マイナスから数m以内に常駐。
俺の。
娘らの。
マメシバの。
・・・・・・・・・・機械か必要な彼女は、やや遠い。
もちろん察してるだろ。
俺の希望に先回りする娘たち。
皆の必要を押し付けている俺。
ファンタジーをアジテーションするマメシバはさておき。
うちの娘たち。
俺。
互いに誤解の生じようがない。
出来なきゃ親しく無い。
距離だけ近い赤の他人は在る。
片側だけは気付かない。
言葉にしなきゃわからんとか。
そんな薄っぺらな関係。
物理的な距離だけが近いとか。
嫌われてるだけだけど。
親しく無いのに距離だけ近い。
パーソナルスペースに他人が立ち入れば無条件に敵。
言葉にする大切さを説く貴方。
契約書にした方がよい。
傍に近付かずやりとりが可能。
いるんだよ。
自覚がない敵って、嫌われる敵。
自覚していれば敵も嫌われない。
自覚が無い奴って、少ないけど。
いるんだよ。
俺なら、死ねって伝えるから困らないが。
近付いて来なくなります。
いや、伝える前に判れって話ですけれど。
いるんだよ。
言葉にするならしない方がマシ。
そこまで言わないとわからん。
だからファンタジーと。
ラブソングって敗者の唄だし。
相手の気持ちが判らないって。
それは嫌われてるってわかれ。
だから他人を口説けないんだ。
・・・・・・・・・・そんなヤバい輩はさて置いて。
傍のドや顔。
シスターズがマイナス距離固定。
Colorfulが50cm圏内。
メイド五人衆が1m~3cmを遊泳、
パーソナルスペース内から出ないが密着も許さないのがマメシバ。
――――――――――赦してもらうのは簡単だが。
俺とマメシバ親しいか。
好きだけど親しくはないなぁ。
なのに俺の思考を読む。
まるでマイナス距離みたいに。
距離を埋めるのが科学。
自然の人工的再現とか何とか。
マメシバのやり方。
言葉に出す寸前で言語化されるわけか。
考えを言葉に直せば、だいたい判るな。
自白剤の必要が無くなるのに俺が貢献。
俺にノーベル平和賞をくれるようにスウェーデン政府に根回してもいいんだよ?
――――――――――健康的な尋問の実用化により、多くの反逆者を死刑台に送った功績を讃えて。
日本医師会会長の孫娘ならいける!
健康管理名目でパーソナルデータを提供してやっただろう知らなかったけど、うちの娘たちの健康に寄与したから赦してやろうじゃないか。
「趣味で済んでますよ?」
カット編集ペースト!
・・・・・・・・・・仕事のフリしないと言い訳に困るよ?
「上司が困る?」
それそれ一般名詞な。
―――――――――――殺されぬ理由を創り与えてあげるのが部下の役割。
「忙しいんで」
趣味に。
だから最前線へ来たのか。
・・・・・・・・・・俺なんか送られたのに。
「仕事に必要」
趣味人には判らない世界。
「仕事人にもね♪︎」
テーマ曲を流したろうか。
異世界種族への読心術をも完成させたマメシバ。
帝国公用語。
大陸北東部共通語。
エルフは世界的に同じ言語。
異世界には地域や種族や種族と地域で違う言葉。
複数の新種言語。
複数の異種族。
複数の個体。
その発音パターンを掴むだけで凄い。
近しい人間の体内データを記録観察比較検討する趣味、マメシバの。
うちの娘たちも付けてる。
バイタルチェッカー。
俺のタグは一つだけ。
うちの娘たちのは、五つ。
国際連合軍関係は首。
ネックレス形式の首輪だ。
国際連合非軍関係者。
チョーカー形式の首輪だ。
非国際連合の民間人。
アンクレットが脚付け根。
ブレスレットもあり。
脚か腕、首があれば判る。
防護レベルに因る形。
だんだんと肌に密着する。
そして数が増える形。
うちの娘たちは最上級。
四肢の根元と首筋と。
五ヶ所の付け根に密着式。
外す刻は、一つずつ。
一見貴金属で防水防汚式。
機能はたくさん。
それ以外を全て殺すIFF。
哨戒気球と連動したGPS。
個々人の肢体から呼吸血流振動内臓鳴動脳波からってこの部分が最も注力されてないか?
軍政司令部と周辺のように、索敵監視記録が濃密でなくても確実に肢体の全てをリアルタイムに把握してる。
出来る、じゃなくて、ね。
なお索敵監視装置だけじゃリアルタイムは生死くらいだけで、全て把握するには遡った記録の解析が必要だ。
自動化してるらしいけど。
マメシバが主に視ているのは、こちら。
異世界の、他の皆さんも付けている。
肢体に装着している監視記録装置。
国際連合管轄下の民間人。
軍属。
協力者。
殺させないところまでが、俺の担当。
特に協力者はね。
軍人と違い死ぬ役割はない。
うちの娘たちは。
Colorfulも文官だ。
シスターズの次。
戦わないで生きるのが役目。
戦って殺される。
そういう役目が軍人だとか。
日本だと何故か死ぬって言う奴。
殺しましょう。
殺されましょう。
死ぬことだけはありません。
――――――――――戦場では死なない殺される。
国際連合の命令ではなく事実決定。
生きて帰るなと。
殺して殺して殺されてこい。
最高司令官曰く。
異世界種族でも国際連合軍兵士はいる。
国家って概念が無いからね。
帝国も王国も、俺たちの知ってるソレじゃない。
それを言ったら色々無いが。
民族も。
人種も。
種族も。
俺たちに視える違いが彼らには観えない。
国際連合の交戦規定は異世界的。
・・・・・・・・・・実戦向きと言うべきか。
出身を問わない生存順位。
目的は地球人類の存続。
個としてではない念の為。
軍人。
軍属。
民間人。
殺されても構わない順番。
つまり。
シスターズやアムネスティ。
Colorful。
俺やマメシバ、黒旗団。
――――――――殺されたら構う順番――――――――
だから。
殺させないのが俺の担当。
自衛官は軍人じゃないけど。
出向中は国際連合軍軍人。
死なせないのがマメシバの担当。
死んで良いのは国際連合の許可が出てから。
まあ許可するなら命じるだろうが。
幸い不許可だからマメシバの出番。
軍政部隊の衛生兵だけじゃ心配だ。
だからマメシバが、うちの娘たちの健康に責任を持ってる、のは知っていたが。
医者。
医術者は医学を手段に人体を最適化する技術者。
大半はこれ。
医学者は医学を目的に人体を解析改造する学者。
例外がコレ。
特例は医学という手段を突き詰めるのがついでに過ぎない医学者。
・・・・・・・・・・俺の思考も読んでるとはね。
口説く手間が要らないな。
顔と肢体が佳い女なら、口説かれるのは挨拶に等しい。
ましてマメシバならば嘆願されるのに馴れきっている。
「相手から手間をかけられないって、生きる価値ないんで
――――――――――逸らそうとしてます?」




