早寝遅起き腹一杯/magna opera.
【用語】
『カーネル』
:軍の主力単位が中隊で率いるのはキャプテン。大佐クラスは連隊長に相当。連隊長クラスになれば階級は高いが参謀/幕僚が充実し師団/旅団司令部の直接統制を受ける。つまり役割が少ない……だから民間の有力者へ贈られることが多い階級。単にカーネルと言うと、むしろ民間の名誉大佐を指すのだとか。カダフィ大佐も軍階級ではなく名誉称号と考えれば、国家指導者が何故佐官で将官に命令しているのか判り易い。尚お札の人はエクアドル軍名誉大佐、軍曹ではないサンダースはケンタッキー軍名誉大佐。
俺が基準だよ。
俺より優れていればいい。
俺が楽だろう。
俺がやった方が、は要らないんだよ。
全人類の最底辺が俺。
それが理想だ。
俺の役割が無くなる。
必要とされなければ困る、わけない。
実際、あんたの周りを視てみなよ。
必要ある者が何処に居る?
無ければ困るか代わりは無いか?
居てもいいかばかりでは?
世の中に必要な者が如何ばかりや。
つまり頼る先に不自由しないんだよ。
皆が俺より優れていれば。
俺一人ぶら下がっても大丈夫。
なら俺だって安心出来る。
Win-Winなんて負け犬の言葉。
与えて受け取る等価交換。
なんにも増えて無いじゃん。
手間と時間を失うだけだ。
だから得るだけ、豊かな暮らし。
誰にでも出来る。
俺やってるし。
もっと下へ。
―――――――――セーフティ・ネットが邪魔をする。
奢ってもらうだけに出来ないかと。
偉い人から。
社会から。
国から。
実入りが多くて、難しい順番です。
搾取するなら薄く広く。
・・・・・・・それが判ってないから、殺されるんだよ。
俺は霞ヶ関とは違うぞ。
与える刻は個人へ。
要不用が判り易い。
奪う刻は全体から。
恨まれないように。
最低?
最高の誉め言葉だ!
広くみんなに言ってくれ。
みんなは信じてくれるよね。
期待してるよみんなには。
【異世界大陸東北部/占領地域/軍政主府/軍政司令部/軍政司令官私室】
俺の為に創られた料理。
食べる前に始まる食事。
今の御飯はなんだろか。
メインディッシュ。
南蛮漬け?
マリネ?
エスカベーシュ?
魔法翻訳は固有名詞に通じない。
異世界料理の地球側カテゴライズは、これからです。
固有名詞なら意味は通じないが、音だけは聴こえる。
名前がついているのならば、だ。
魔女っ娘、曰く。
名前は無いとか。
魔女っ娘の即興。
定番になる創作。
魔女っ娘は文化。
ハッキリわかる。
魔女っ娘そのもの。
唯一神に名前はないだろ?
名付けられたら、そこが限界。
オリジナルとはそれだよ?
それを味わう日々。
今日の神様はサンダース大佐もニッコリ。
スパイスを塗し挟んで漬け込んだ唐揚げ。
それだけならば大佐も及第点しかくれまい。
甘酸っぱい餡を絡めたシャキシャキ野菜炒めと和えてある。
創造者が一番喜ぶのはこういうところ。
大佐に代わって大尉が捧げる高得点。
絶対、旨いやつ。
俺、専用だから当たり前。
皆も一緒に楽しめる様に創っている。
俺を楽しませる為の工夫。
そら皆が悦こべば楽しいに決まってる。
獣肉だな何の肉?
獲ったの?
元カノ?
我が家で二番目に狩猟か巧い女。
あいつはまだ帰ってきてないから、エルフっ娘か。
ドワーフ刀で一刀両断して捌いた、らしい。
家畜じゃなくて猟場の何か。
王城には食肉家畜もいるが。
太守府には太守の狩場付き。
領主や貴族なら普通ですよ。
俺が前太守の、それを接収。
そのまま被占領民にて管理。
利用はエルフっ娘か元カノ。
どちらかが狩ってるらしい。
一度、寝床から出ていたのは知っていた。
俺の上から嫌々ズルズル離れて行った。
すっごく必死に慌てて戻って来てた。
今朝のこと。
朝の一狩り一捌き。
してからしてた。
御強請り無我夢中。
肝心なハズの食肉下拵えは王城の厨房にて。
・・・・・・・・・・そして今。
長女ポジションのエルフっ娘が調達した肉塊。
本人も勧んで一生懸命肉塊になっていますが。
次女お嬢も一緒に一所懸命その一所が俺の上。
末っ子ポジション魔女っ娘が、俺に調理させられている二人をチラチラ妬ましく視ながら、愛でられる方じゃない肉塊を調理してた。
なによりも注ぎ込まれた魔女っ娘の想い。
愛情は丁寧を呼ぶ。
信頼は冒険を招く。
羨ましさ、妬みじゃないのが、らしいが。
――――――――――差別化を惹き起こす。
それをColorfulたちが、お手伝い。
メイド五人衆も下準備を誇って無言でフォロー。
お嬢やエルフっ娘はそれどころじゃない。
だが指揮官、つまりは責任者が魔女っ娘。
俺が中心だが。
皆の中心だから。
標準点にもなろう。
御城の料理人も一般的に巧い。
でも食事は専用であるべき。
だから魔女っ娘が仕切る。
良く知る自分か相手でないと、専用には出来ない。
自分から常に距離3m圏内。
それ以上遠いとわからない。
本来メイド執事の役目だな。
主の身体を把握し続ける事。
それを料理人へと連携する。
特権階級はオーダーメイド。
既製品なんか受け付けない。
靴に足を合わせる必要なし。
まあ軍隊だと仕方がないが。
レディメイドは貧しさの証。
俺は占領軍。
畏れられるべき。
憎まれるべからず。
だから奉公人とは距離を置く。
被占領民と距離が近いからね。
メイド五人衆は折々撫でるが。
メイド長には余り触れないし。
他の奉公人からは観えるだけ。
だから魔女っ娘、うちの娘たち。
・・・・・・故郷の人たちと距離が在りすぎ心配です。
うちの娘たちと速く仲良く馴れた理由。
――――――――被占領民からの視線は致し方なし。
だから魔女っ娘が、その刻に造る。
俺の料理を皆が造ったから。
仲が良いから造ってくれる。
それは因果関係が間違いだ。
料理する時は、食べる相手を考える。
考えれば視る。
視てれば思う。
思えば、想う。
そりゃ好きになる訳だよ。
だから俺の為に。
だから皆の為に。
だから己の為に。
俺専用料理が皆にも合うんだからどこまで凄いか魔女っ娘。
俺のこと好きなんだな。
皆のこと好きなんだな。
自分をこそ好きになれ。
より一層、無理矢理に、撫で転がして自覚を強要、貴女の魅力。
それが今、盛付け中。
温めた皿に盛られ。
蓋を閉じられて。
肉が冷めない様に。
冷製でも旨そうだが。
あ、野菜を旨く付けてます。
つまり具材ってか肉塊は唐揚げ。
サイズは小さめ味を染ませ易い。
大きな肉塊を揚げるのはダメだ。
大半が茹で肉味つけなしになる。
肉の味を純粋に楽しむなら灼く。
それでも塩胡椒くらい使うよな。
貧乏人は肉を大きくしたがるが。
逆に小さく肉片にしてしまうか。
どちらも同じく生ゴミの製造法。
もちろん肉食文化の異世界中世。
狩猟生活騎竜民族の、お膝元だ。
穀倉地帯でも肉料理はお手の物。
ましてや魔女っ娘が料理してる。
素材に手を加えて味を引き立て。
肉に切れ目を入れ香草を挟んだ。
味を漬けた衣で軽く巻き揚げる。
肉汁を封じ香草灼きの包み焼き。
揚げた傍から冷めぬ様に餡絡み。
餡はとろとろ甘酸っぱいソース。
小さな唐揚げがたっくさんあり。
刻み玉葱みたいな葉茎菜山盛り。
双方の五分五分染み渡るソース。
ソース多めで御飯に合わせたい。
だがソース適量に舌休めのパン。
肉と野菜は等量こそ旨い
――――――――――魔女っ娘に読まれてるな。
はい、俺の好み、の配分です。
まあ一週間も一緒に暮らせば判ること。
魔女っ娘が肉野菜果物等量を好む様に。
お嬢は肉が七割、野菜が三割な成長期。
大きくおなり、ちびっ娘たち。
エルフっ娘は肉魚穀物以外に無頓着。
――――――――――約束された健康肢体。
すなわち常に変わらず美しく艶やか。
・・・・・・・・・・変わる自由すらない。
しかも特別に抜きん出た容姿。
エルフという種族の中で、ね。
俺はエルフっ娘以外知らんが。
観たことあるくらい。
だが解る。
形。
質感。
触り心地。
そして匂い。
完全ってのは、比べる必要がない。
同率首位など、あり得ない。
唯一無二だから完全なんだ。
だからこそ感じればわかる。
真球を視れば丸いが解るのと同じ。
視たことが在れば基準になる。
人の認識は経験との比較。
丸いと解れば丸くないと判る。
エルフっ娘と違う。
・・・・・・・・・・欠けている、ということ。
記憶の照合は自動的。
差違の発見は自動的。
格差の見積は自動的。
必然的なプロセス。
――――――――――言語化出来ないというだけ。
その意味でハーフエルフが一番、解り易い。
ハーフエルフとは。
――――――――――エルフに在らざる者のこと。
うちの在らざる。
可愛く。
美しく。
愛らしい者たち。
彼女たちは野菜が多め。
天然たんぱく質。
植物由来ビタミン繊維。
香辛料や嗜好品。
独り独りが一瞬で見極める。
・・・・・・・・・・一口に一瞬も費すんだよ。
Colorfulは、かなり特殊だ。
何を何時どれだけ食べるか判断する。
肢体造りに特化して考えながら選ぶ。
つい最近まで成長期だった愛玩奴隷。
エルフ並みの恒常性維持は、成長後。
つまり今は何でも好きに喰えば良い。
差が生じ無い訳ではないだろうけど。
俺しか判らん差に賭けてる。
・・・・・・・・・・俺が命じないと止めんか。
自分磨きは好いことです。
向上心は佳きことだから。
磨くポイントも大変良し。
誰にでも通じる普遍的な価値。
健康な肢体。
優れた頭脳。
豊富な経験。
優先すべきは、代えが効かない、唯一つ。
知識は調べられる。
知恵は借りられる。
知性は在るがママ。
戦場で持つ物は最小限に抑えるべし。
最初に使うのは肢体。
最後に残るのは肢体。
最も手前が掛らない。
――――――――――手ぶらが理想型。
容姿が好いのは健康に佳い。
美しさは機能美だからね。
肢体が佳いのは生きやすい。
他人かり認められやすく。
なにより自分が快適だから。
なお、メイド五人衆も、肢体の維持が日常です。
地球人類並みに不安定な異世界人間種だからね。
メイドの役割の半分以上は外見の向上維持とか。
メイド五人衆は軍政司令部付。
電気照明が何時でも使える。
稼働時間は被占領民の倍以上。
他の人々は夜動けないから。
ただし勤務時間は変わらない。
空いた時間で何をしてるか。
肢体を磨きあげながら、何時でも即応状態で備えているのだそうな。
食事も専用。
自分で造る。
自分の食事。
肢体も造る。
流石に他人の身体を完全化するような技能は無いそうな。
・・・・・・・・・・魔女っ娘の魔法って、魔力必要無くないか?
ちゃんと睡眠も摂ってる、そうです。
最盛期とはいえ肌艶髪艶反応最適化。
何時でも呼び出し来訪可能だそうな。
勤務時間であっても、即応状態など必要ないんだが、ヤル気を削ぐのはよろしくない。
いずれ、と毎回伝えている。
油断するな、と繰り返し。
スッゴク悦ぶからなぁ。
・・・・・・・・・・悦ばせる。
期待させながら裏切らない。
――――――――――いつもの。
ピグマリオン効果。
期待されてるのは教師と生徒、どちらだろうね。
さて。
メイド長に指示。
デザートは御一緒するよう、伝言。
お嬢が、再起動。
日を置いてこそ美味しい造り置き。
たのしみだね♪︎




