所有されてい続ける権利/raison d'etre.
【登場人物/一人称】
『あたくし』
地球側呼称/現地側呼称《メイド長》
?歳/女性
:太守府王城に奉公する女性たちの長。ストロベリーブロンド、碧眼、白肌。異世界でも地球世界でも一般的な、ロングスカートに長袖で露出が少ない普通のメイド服を身にまとう。まだ年若いが、老人の執事長とともに王城の家政を取り仕切る。
初登場は第11話「 大人のような、子供のような。」
【用語】
『メイド五人衆』
:国際連合統治軍軍政司令部内軍政司令官付メイド。氏族から縁を切られている王城の奉公人の中で、重篤な男性恐怖症を患っている為に活動可能な場所が極めて少ない。原因となった事件を解消したのが軍政司令官であることから、彼しか男を受け付けない。国際連合関係者は青龍であり人外なのでギリギリセーフ、通りすがるくらいはたえられる。このまま人生を過ごせるとは考えないメイド長により、男性観を上書きさせるために軍政司令官付とされた。
……ある意味で上書きされている?
初登場は第19話「Rules of Engagement/ROE/交戦規程」
「早く人間になりたい!」
・・・・・・・・・・なにゆえに?
「俺は人間を辞めるぞ!」
――――――――――そりゃそうだ。
理由が無い。
理由が在る。
人間とはなんぞや?
言われずとも、歴史的に誰しもがが、解って当たり前のこと。
戦利品。
貴金属や貨幣が一般的ですが。
いわゆる有価資源って訳ですか。
だから、人も略奪されます。
大昔の話じゃないですよ。
例えば世界大戦はどうです。
様々な技術者が、資料だけじゃなく人々が、略奪されたでしょうが。
略奪した有価資源は大戦で唯一、戦勝国が得た獲物ってぐらいですよ。
灼き尽くした領土と餓えた占領民などは、有害無益でしかありません。
それこそ大昔ならば領土や資源こそが最高の略奪品だったんですがね。
・・・・・・・・・・人の高価値は変わりませんが。
だから、です。
勝者というのは他を圧する強者。
価値の高い人間は勝者の持ち物。
それを棄損する可能性があれば。
強者へのテロリズム。
・・・・・・・・・・敢えて挑む場合もありますね。
持ち主と持ち物。
者なのか物なのか。
第三者から看て、同じモノ。
略奪なのか。
保護なのか。
それとも呼び名が違うのか。
当人たちに訊いてみましょうか?
【異世界大陸東北部/占領地域/軍政主府/軍政司令部/軍政司令官私室】
俺はメイド五人衆へアピール。
うちの娘らは気付いてないから。
メイド五人衆は動き出してる。
金髪が靡く。
アップでまとめてるかと。
サイドでながしてるのね。
碧眼が流れ。
俺を視て確かめながら。
うちの娘たちと互いを。
肌が煌めく。
白いから反射率最高。
ケアもしっかりです。
年代は同じ。
肢体は違う。
おっきかったり。
小さくはないが。
高かったり。
低いはないけど。
共通性。
軍政司令官付メイド服。
ヒールで調節された脚高。
肌の露出度アピール度。
それを意識した物腰仕草。
地球原産。
・・・・・・・・・・それも好きだが、髪にも注目。
長かったり。
結っているが。
短めだったり。
まとめているが。
一見、労働者風の髪型に、観せて。
俺には判る。
異世界オリジナル。
解らせられる。
必ず例外なく全員。
邪魔にならないくらい。
髪を垂らしている。
まるで俺の眼を惹くかのように
・・・・・・・・・・一生懸命、惹かれています。
髪を流すのは帝国女騎士もやってたな。
聖都観光の随行員。
あの美女。
彼女も結い纏めた髪を長く流していた。
敢えて一房。
僅かに。
明確に。
煌めく程に。
肢体の動きに続く金糸の輝き所作そのものを彩る。
あれは異世界のオリジナル。
良く似た色合いを目立たせたい。
その色々が光に映えるなら。
美しい動きが、より輝いていた。
今もキラキラしてるよ、皆。
視える者しか判らない。
魅せたい者にだけ然り。
だから皆が俺を視てる。
――――――――――戦果確認かな?
異世界人種族は肢体に限れば金髪碧眼白い肌。
ちびっ娘とかメイド五人衆にメイド長も。
異世界人種族にはありふれた特徴なんだが。
素材と扱いの高さをアピールしてますよ。
それにこちらへ気付かせてるのが慣れてる。
魅せるプロフェッショナルって、凄いよ。
うちの娘たちは隠れていても魅られる方だ。
敢えて魅せる。
魅えざる得ぬ。
どちらも魅る側にとっては眼福、々。
じっくり楽しもう。
比較の前に一方を。
異世界に左遷されてる間は魅られる。
―――――――メイド五人衆―――――――
踊る様に、って言うのはこーいうことだな。
踊らせる様に、なら髪か俺か両方のことか。
髪を一房、遊ばせる技法。
これは異世界で一般的。
遊ばせた髪の踊らせ型。
これがメイド五人衆独自。
比べて観せられているから。
メイド長とも違う。
メイド長は遊びがない。
キビキビした所作。
周りへの影響を考えて。
訊いたら、やっぱりそうだった。
嫌々答えさせたので間違いない。
他のメイドは?
王城メイド。
五大家メイド。
参事会のメイド。
御城の中にはメイドがいっぱい。
比較してみよう。
出身。
年代。
役割。
メイド五人衆は、中堅どころ。
異世界の就労開始は十五歳前後。
先立つ数年、三年くらいが見習い。
適性を見極め配置されるのに数年。
十代の内が主力労働力とされる。
女はね。
執事などの男の場合は数年遅れる。
身体が出来上がってないと邪魔だから。
怪我や病気で奉公どころじやない。
年齢は基準に出来ないからせずに、身体肢体の成長だけを見極めるのは、非先進国の共通項。
メイドさんは女の労働者。
メイド五人衆は中堅どころ。
十代後半に入ったばかり。
高校生くらい。
経験は十分。
経歴は不足。
就労意欲が湧く役目なら、一番優れた動きを出来る、じゃなくて、するポジション。
誰かを指揮は出来ないけれど。
誰かに見倣われることになる。
――――――――――素晴らしい!
同性の見本ならエルフっ娘。
歳上の見本ならエルフっ娘。
同族の見本になるんじゃない?
エルフ同士でもどうなのかな?
エルフっ娘は完璧だから。
憧れは教材にならない。
優れた欠陥品こそが最適。
男の子なら俺。
女の子なら?
よし!
ゲット!
逃がさない、って繰り返し通告済みだよ。
今後も毎日メイド五人衆に伝えアピール。
逆らっても無理強い
・・・・・・・・・・権力って素敵だよね。
皆、うちの娘たちも、メイド五人衆に釣られて動き出した。
動きに合わせ
――――――――――動きださせたのかな?
これがメイド五人衆のスタイルだ。
俺だけ視てた訳じゃない。
魔女っ娘を視ていた。
料理の進捗率を確かめて。
満を持して登場するメイド五人衆。
他の奉公人とは違う扱い。
それを意識させている。
他の者にも当人へも。
五人しかいない立場を、上手く生かしていく。
知るべし。
知らしむべし。
認識は承認されてこそ力を持つ。
元々メイド長の発案なんだか。
精神的に傷付いた部下のケア。
メイド長自身も大差ない年齢。
執事長曰く。
子供が無い異世界でも特異な完成度。
・・・・・・・・・・俺が気を付けておくべき。
メイド長は、まだ傷付いてない。
だからメイド五人衆を先に治す。
だからこそ、と言うべきだろう。
折れた心の添え木。
他人から守る。
自分を支える。
国際連合旗を意識。
――――――――――俺はその媒介。
傍に置く。
傍で使う。
傍を示す。
斯くして虎の威を借る狐を強いる。
その為、出来る限り与える、役割。
俺一人に直結しているように、な。
――――――――――配膳係は、その一つ。
活動領域が軍政司令部、主に俺周りってだけで、他の役割も果たしてますが。
料理は魔女っ娘、うちの娘たち。
造って運べば済むことだろう。
ならメイドの役割は何だろう。
給仕、うちの娘たちが譲らない。
造られた料理を運んで並べることを命じた、俺が。
うちの娘たちも、その間に着替え。
エプロン一つで食べても良いが。
TPOを意識させるのが俺の役割。
うちの娘たち。
俺と違って特権階級。
好きにする絶対者じゃない。
メイド五人衆を使う俺の都合と完全一致。
それぞれに応じた役を与える。
刻に必要無くても役を造る。
役を演じることへ慣れさせる。
何もかも一人でやってはいけない。
自分たちで。
自分で。
皆で。
出来るとするのは違うんだよ。
自立は孤立。
一人は独り。
自力は自滅。
されるとさせるを覚えましょう。
給仕は近い。
配膳は大きい。
料理は中心。
家事は周辺。
魅せ場が違う。
前者が、うちの娘。
後者が、メイドさん。
メイド五人衆のターン。
服を着ていて、尚、目立つ。
特にメイド五人衆はね。
クロスサスペンダーが前面にくる。
これはもちろん、乳房を強調するために。
マメシバは売り込み処を知っている。
キチンと包まれており、直接は観せない。
シスターズ&Colorfulの逆。
しかして絞り込み形と大きさは浮き彫り。
何処の伝統工芸かと思ったよ。
襟無し袖無しノースリーブが目立たない。
クロップドジャケットのせい。
肩を覆って腕を隠さず。
ジャケット丈は乳首くらいか。
アンダーウェア未発達。
マメシバもフォローしてない。
肩掛けって言うべきか。
頚と肩から胸が剥き出しって、良いよね。
掴みやすい。
動脈全般。
良く掴むよ。
寝る前の儀式。
殺されかかった犯罪被害者。
庇護を感じたくなるのは当然。
多世界最強の地球人類国際連合。
その力を体現しているのが、占領軍司令官。
便利グッズも当たり前。
それくらいケチらない。
命を握られると安心と。
まあ、理屈は解る。
王城内の奉公人は特権階級の所有物。
所有者に力があるから守られる。
奉公人の中でも直雇用の王城メイド。
所有者は多世界最強の国際連合。
そうであることを誇示するメイド服。
王城メイドの中で軍政司令部付。
俺は異世界でも嫌わ、畏れられてる。
国際連合が畏れられてるっての。
その中で俺が皆さんの逆お気に入り。
誰もが手を出したくないそうな。
俺の傍で仲良くしてると巻き添えだ。
メイド五人衆の不思議な習慣、その理由。
俺にこと在るごとに触れられたがる。
周りよりも自分に言い聞かせてるな。
俺の物だから誰にも傷つけられない。
そんな彼女たちの心理を理解している、お医者さんが処方箋。
メイド五人衆が、皆さんに恐怖される俺の個人的な所有物である、と邦中へアピールし続ける為の、特別なメイド服。
誰もが敬して遠ざける
・・・・・・・・・・安心してるな。
だから俺を感じて眠けが来る。
寝る前。
休む前。
食べる前。
俺に触って欲しがる訳だよ。
今も、そう。
軍政司令官私室。
彼女らの安心空間。
軍政司令部エリア。
彼女らの安全空間。
――――――――――このままじゃいけない。
地球人類と異世界。
必要としていない。
使っているだけだ。
・・・・・・・・・・占領が終わったら、どうする?
軍属。
協力者。
現地雇用。
メイドさんたちの一生は、国際連合が保障する。
――――――――――国際連合を保障しなければならない。
続くよ、続く。
貴女の為の侵略戦争。
彼女たちに選択肢はない。
選べるのは強い者たち。
俺が選ぶことにする。
―――――――どうしようかな?―――――――




