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完全侵略マニュアル/あなたの為の侵略戦争  作者: C
第一章「進駐軍/精神年齢十二歳」

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トリガー

登場人物&設定

※必要のない方は読み飛ばしてください

※すでに描写されている範囲で簡単に記述します

※少しでも読みやすくなれば、という試みですのでご意見募集いたします


一人称部分の視点変更時には【該当人物の位置】で区切ります。最初の行、もしくは数行以内に「俺」「私」などの一人称をできるだけ入れます。以下設定を参考に誰視点か確認いただければ幸いです。

(書き分けろ!と言われたら返す言葉もございません)


【登場人物/一人称】


『俺』

地球側呼称《隊長/閣下/大尉/大尉殿》

現地呼称《青龍の貴族》

?歳/男性

:地球人。国際連合軍大尉(陸上自衛隊三尉)。太守府軍政司令官。基本訓練以外は事務一筋。


『あたし』

現地側呼称《ねえ様》

?歳/女性

:異世界人。年上の少女


『わたし』

?歳/女性

:異世界人。少女。


『わたくし』

?歳/女性

:異世界人。少女。



【登場人物/三人称】


地球側呼称《神父》

現地側呼称《道化》

?歳/男性

:合衆国海兵隊少尉。国連軍軍政監察官。カトリック神父。解放の神学を奉じる。



地球側呼称《曹長》

?歳/男性

:国際連合軍/陸上自衛隊曹長。



地球側呼称《坊さん/係長》

現地側呼称《僧侶》

?歳/男性

:国際連合出向中地方公務員。得度した僧侶。浄土宗らしい。軍政司令部文官。


【用語】


『青龍』:地球人に対する異世界人の呼び名。国際連合旗を見て「青地に白抜きでかたどった《星をのみほす龍の意匠》」と認識されたために生まれた呼称らしい。


『赤龍』『帝国』:地球人と戦う異世界の世界帝国。飛龍と土竜の竜騎兵と魔法使いを組み合わせた征服国家。



参事会。

それは組織の名。そして建物の名前。

市を囲む壁。市の中心には四つの尖塔をもつ城。城の北は河、南に広場。広場を越えて城に対峙する神殿。

広場中の住民達はかつての神殿前に集まっていた。


「近づくな!参事様は皆集まっておられる!」

「御領主様の迎えは出している!すべて参事会の皆様方にまかせよ!」

「鐘楼を鳴らすまで家に帰れ!」


怒鳴り散らした衛兵は、槍の石突きを鳴らしながら、穂先は頭上に向けている。




【参事会大広間】


僕は若輩だ。血筋だけで参事会中枢に出入りできるのはとてもありがたい。しかも軽んじられるおかげで責任は逃れて儲け話を耳にできるのだから笑いが止まらない。


昨日までは。


「まったく」

かつて巫女が臨席したバルコニーにつらなる広間。今は主なき王城の対面。

固く閉ざされた鎧戸を通して市民のざわめきと衛兵の怒声が伝わってくる。

「無理もありません」

皆が黙って同意。新領主着任が予想された今日、市民の外出自粛を呼びかけておいた。ギルドや商会を通じた、事実上の命令。

人目を減らすことで責任を曖昧にするはずだったが…。

「青龍がここまで過激とは」

不安と焦りがにじみ出る。

屋根スレスレを飛び回る「巨大なヘリ」と「放声(ローターの爆音)」が市民達を家から追い出した。

「何かと言えば頼りよる!普段は妬み嫉みだがな」

怯えた市民がすがりついたのは参事会。都市を中心とした有力者の集まり。

「王国が滅ぼされたのも帝国が逃げたのも青龍が降ってきたのも我々のせいか!なんで塵芥どもを守らねばならん!!」

こうなればごまかしは利かない。参事会、つまりはこの場に集まる面々が市民達の矢面に立たざるを得ない。

「考えようですよ」

独り飄々とした僕に視線が集まる。

「領主の出迎えにこれだけ集まったんです。お喜びいただけましょう」

内心を隠して嘲笑う。そもそも青龍の布告を要約すれば「期日に代表者を出せ」だけだ。何をするともしないとも言っていない。「領主が着任する」という話自体前例からの推測。あれらが都市をいきなり焼いたとてなんの不思議があるのか?

「何を喜ぶか誰にわかる?」

と考えているのは皆同じ。

僕から見れば「それを悦ばせるのが商いだろうが」と舌を隠しながら、別のことに想い馳せた。


穀倉地帯の拠点都市。前線から離れており、河から海港につながっている。港は広く大陸沿岸に通じた良港だ。


その価値を誰が否定しようか?


いやだがしかし。

1ヶ月前に来訪した蒼備え。連中は帝国の残党を探し、いないと判るや一兵も残さずに立ち去った。財貨も手を着けることなく、街に塵芥ほどの感心も見せなかった。

参事会が集まる余裕もなく慌てふためいている内に応対にたった(あまり相手にされなかった)赤目が「この地をどうするのか?」と聞いてやっと布告を残したのだ。


「会えば判るでしょう」

話をそらすと参事が乗ってくる。

「だから赤目を投げたのだ。喰われ方は伝令がしらせてこよう」

僕は内心ため息をついた。愚痴るしかない暇つぶしに。だが帰る訳にもいかない。

「何か」が起きた時に一番状況が判る場所。「何か」が起きるまで無駄に労を費やす場所。

いまでこそ「怯え」て「すがる」市民達。恐慌状態になれば何をしでかすかだいたい解る。

すがる民と富強な参事。頼りにならぬとあれば、わめく暴徒とか弱き生贄に早変わり。数の暴力。衛兵ごとき相手にならぬ。「血を流すな」と衛兵に厳命したのはそのためだ。

広間を見回す。

常に金と力をひけらかしている参事が、「逃げた」と言われぬように嫌々、いつも休みがちな者まで一人残らず、参事会に集っているのだ。


恐ろしくて恐ろしくて逃げられない。


「刻限はとうに過ぎたな」

「今頃なにがおきてますやら。ことが起きたなら、早馬がつく頃ですな」

ざわめき。

僕はバルコニーの鎧戸に近づく。使い番より早く事態を知る。それが役にたつとは限らないが。



【太守府上空/チヌーク二号機】


あたしには轟音で聞き取れない。

青龍の貴族と騎士はなにかを話している。特殊な技能か魔法か?龍籠の作りからして魔法がなくては無理な代物だが、青龍は貴族も騎士も魔法が使えるのか?たまたまここに魔法使いが集まっているのかも?

『都市上空降着可』

『あの塔が参事会です。密談場所。当事者が慌てているのが聞こえます』

龍は瞬く間に市の中心に降りてゆく。見下ろす広場から人々が必死に逃げ出して行く。職人、商人、女子供に衛兵も。

『全周警戒付きます』

騎士二人が両側の扉を開き筒状のものを外に向けた。禍々しい鉄の塊。

あたしは不安な視線を向ける妹を抑えた。

あたしが見た「竜殺し」と形は違うが、同族だろう。

あんなものが街に放たれればどんな凄惨な事になるか。


だが、たぶんそうはならない。

蒼備え達は「決まった手順をこなしているだけ」という様子だ。

地蟻をワザワザ踏み潰すのは子供だけだ。

まあ、仮にその「手順」が「都市の焼殺」だとしても、あたしは、どうでもいい。

必要なのは妹達を護る観察眼と慰める言葉。

『着陸完了』

『ローター止め』

龍籠の後ろが開いた。緑の騎士が先導する。

「please!」

一礼。なぜ?あたし達に?

いつの間にか翼音が小さくなり、普通に会話が出来る。

貴族が降りて行き、慌てて私達が続いた。




【参事会大広間】


僕は唖然としていた。


鎧戸の隙間から見る。禍々しい翼が四つ……八つ、いや、二組。ずんぐりとした胴体。家一つほどの巨体。

駆け込んで来たのは衛兵だ。舌打ち。「赤目に付けた見張りはどうした!」と皆思っているだろう。

「如何致しますか」

先刻来何人目かに入って来たのは衛兵、というより用心棒の頭だ。参事会全体の付き合いで、どの商家や組合にも属さない。その分、無遠慮だ。

「ほう」

勝手に鎧戸を開けた。

「あれが青龍の貴族ですか」

部屋の中の臆病者どもに聞かせるように。皮肉を飛ばす無頼漢を無視して鎧戸近くの僕に視線が集まる。


目立ちすぎた。


結論はわかっている。だから、誰かに言わせたい。苦笑。言わせたいなら、貸しだから……意味が分かるように皆を見回す。

「……」

失敗。喉がカラカラだ。その時、窓が、建物が震えた。



【太守府広場中央/青龍の貴族背後】


わたし達は耳当て(?)を付けられた。翼音も収まり普通に話が出来るのに……。


『『『出ろ』』』


轟音。

体が震えた。


物陰の市民がのけぞった。龍!龍の怒声!!広場中が凍りつく。


参事会の正面から皆が走り出して来る。事務、衛兵、給仕、そして参事。

転がり出て、見えない壁にぶつかったように止まり、後ろから押しつぶされる。

参事会の重厚な建物から出ざるを得ず、龍に近づくのは恐ろしい。自然と参事達が前に押し出された。連中は呆然として立ち尽くす。

青龍の貴族が合図。


広場中から周辺にわたり轟響く大きな「密談」。

青龍を欺く密談。広場に身を横たえた龍。その主である貴族。強大な帝国を一夜で駆逐した大帝国。嘲り侮り欺いた一部始終。誰が何を言っているのか、参事を知っている人間なら誰でもわかるだろう。


名誉は血で贖われる。それは世界の常識。わたしには理解できない、この人たちの世界。


目の前の参事さん達は卒倒しかけてる。物陰の人々は祈り始めた。救いではない。安らかな最後を。他人ではない。自分とその家族の。



【太守府広場中央/魔法使いの左】


あたしはこめかみを抑えた。

「WHY!?!」

黒い道化がおどけて見回す。

無理もない。あたしにも解らない。周りで跪く人々から流れる悲嘆と祈り。


なぜ?


なぜ巫女でもないこいつらが祈る?

やるべき事はあるだろう。バラバラに逃げてもいい。地べたに伏して泣いて許しを乞うのもいい。どうせ死ぬ気なら挑んで殺され刻を稼ぐのもいいだろう。

何も判らない蒼備え。噂しか知らない青龍。無駄かどうか、やってみなけりゃ判るまいに。あたしは見てきたから、こいつらが何をしても無駄だとわかるけど。


腹がたってきた。


だからもっと面白いものを横目に見る。

闇雲に怯え狼狽える民に、力の入らない蒼備えの騎士たち。

青龍の貴族は超然と無視。

諦めも怯えも、眼に映す全てに価値が無いかのように。


あたしは肩をすくめてしまいそう。


破壊音。


皆が目を向けた。あたしも見上げた。参事会のバルコニー、固く閉ざされた鎧戸が砕け散っている。

皆が上から目を離せない。あたしはとっさに傍らを見た。

笑顔。とても穏やかな。狙われた立場なのに。


上から何かが降って来た。ソレをみる青龍の貴族。

弓を握り締めた、ちぎれかけた胴体を見ていた。都市の門をくぐって以来、はじめて「見て」いた。



【太守府広場/参事会正面】


空の蒼さが眼にしみる。

鳥。ああ!自由な大空を飛び回れたら、どんなに素敵だろう。怖い三尉の言うままに振り飛ばされるんじゃなくて。


おや~高いところに神父が。よく似合ってるな~。天国に近そうだね♪いつのまにか知らない建物に駆け込んでピンポイントで部屋を探せるんだマジシャンか?○○を高く掲げるところなんて映画のワンシーンだよ。投げ落とすなんてひどいな~。いくら「人の形をした肉」とはいえ、ねぇ。ああ、一体分あるのね。二つに千切れたっていうことは、バレットかな?「対物ライフル」ね。撃ち抜く「物」の前か後ろに、たまたま、偶然、人体が在るだけの国際法的に正しい兵器さ!!!正面から狙撃かな。ならあの城にレコンが入り込んでるな。あれ~手の形をした肉が弓を持ってるよ~矢まで転がってる~あの位置から狙えるものは多いね。


例えば…俺。



【太守府広場中央/魔法使いの前】


あたしを包む、空気が変わった。青龍の騎士達を支配していた呆れにも似た余裕が消えた。


街中が凍りつく。


素早く、飄々と、あたし以外の誰もが上を見上げた時に動き、参事会に駆け込んだ道化。

参事会前の人垣が崩れた。道化が投げ落とした射手は商家の手代のような服装。正規の衛兵ではない。あからさまな荒事師でもない。


それと見せない暗殺者。


こわごわ見やる連中から悲鳴が溢れた。

理解が広がる。言の葉が人々さざ波に溢れる。


弓だ!

りょ、御領主様を狙った!!

誰だ!

誰が!

誰か!


広場中に伝播する「声」。そして喇叭の音。喇叭?突撃喇叭だ!!

広場の一角から人々が飛び出してきた。それを追い散らし轟然と蒼備えの土龍が飛び出す。地を削る音を響かせて止まる。土龍の鎌首が威嚇するように睥睨し、騎士達が次々と降りてきた。動作ひとつひとつに今まで無かったモノがこめられる。


怒り。


参事会の欺きに無反応だった青龍の騎士。

今は動作ひとつひとつが周り中に怒りを振りまいている。


主を狙われた。


駆け寄って来た騎士があたし達を確認。とっさに身構えそうになる自分を抑えた。騎士はあたし達の盾になるように手槍を参事達に向ける。


あたしの中のお花畑が飛び散った。


最悪だ。




【太守府広場中央/魔法使いの右】


わたくしはとっさに走りだしそうになり、ねえ様に手振りで抑えられた。

わたくしたちは殺されない。でもお父様が!

いつの間にか青龍の貴族を頂点にした半円形の内側に。左右についた騎士達が竜の卵のような物を背負っている。手に持つ杖からほとばしる…。


炎。


魔法騎士!

本来別な資質を求められる魔法使いと騎士。稀に両方の資質を持ち環境に出会い開花するものがいる。一国に一人居ればいい方。帝国でも十指に満たないという。

青龍の騎士達の手先から炎が上がった。

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