占領する側の日常。
【用語】
『貧困』
:生活を維持するに足る価値しか得られないこと。それすら得られないなら飢餓と言う。不測の事態により収支サイクルに乱れが生じれば。生じる可能性に収支サイクルを乱せば。それで終わり、飢餓に至る。
比喩として「当然あるべき水準を永久に満たせない」ことを指す言い回し。経済用語としては飢餓のことだが「発想が貧困」とは言っても「発想が飢餓」とは言わない。
今一番心配なことは何ですか?
「え?えと、あの、うんと、
・・・・・・・・・・無い、と思います?」
『毎日毎朝晩昼間も生殺しで苛められ弄られ玩ばれてるのにソレですか!』
「でもでも!ご主人さまが愉しんでくださってます!わたしばかり悦ばされてるのはダメだけど!今日明日今度こそ悦んでもいただいてみせます!」
『こんどこそって一番ダメな奴!』
今、戦争中、って解っていますか?
《カタリベのインタビュー/異世界種族国際連合協力者へ(付き添い付き)》
【異世界大陸北東部/占領地中央/太守府/国際連合統治軍拠点/軍政司令部/軍政司令官私室/ベッド/青龍の貴族】
俺は状況の変化を待つ。
具体的には皆の目覚め。
いや眠てないんだけど。
珍しく甘えて引っ付く、うちの娘ら。
呼吸の荒さでよく判る。
眠たフリがバレないか。
ドキドキしてるんだな。
つまりはそれだけ離れ難い、ってな。
もぞもぞ、ちびっ娘。
締め付け、エルフっ娘。
脚に絡まり始めるのは
――――――――――Colorful。
俺から起きて抱き潰しながら過ごす。
それが一番、無難な可愛がり方。
しばらく付き合ってあげてから。
八人が誤魔化し切れなくなる頃。
その手前で全員同時に平等に切換る。
その間をどう過ごすのか。
指先一つまで子どもの中。
うちの娘以外に面白い物。
しかしデカいな、俺たちが寝てる処。
コレでもベッド。
八人雑魚寝でまだ余る。
俺のアパートの部屋より広い。
元々この部屋の設備ではない。
元々は控え室。
大臣や将軍が秘書官と一緒に待機する部屋。
そんな用が、俺にあるわけが無い。
隣室、現軍政司令部。
元々王様の部屋。
帝国太守は使わなかった。
俺が軍政司令部にした。
つまり俺の執務室。
その隣を私室にしたのが、此処。
職住密着なんぞ求めてないが。
まあ眠るためだけの部屋。
普通の人類は外で遊んで飲み食いする。
家で遊んで飲み食いする奴は少数例外。
外出しにくい異世界でも、変わらない。
俺は終業後も軍政司令部、隣で過ごす。
軍務、いや隊務中は24時間勤務だが。
通常の業務は9時17時で変わらない。
待機時間という名のオフタイム。
給料が出るだけで普通のオフタイム。
自衛隊隊員他の国際連合兵士。
軍務終了後は何をしているか。
私物の海外持ち出しは禁止。
そりゃそうだよね、戦争中。
捕虜拷問シーンをSNSに上げる馬鹿。
・・・・・・・・・・合衆国陸軍兵士はバイト以下。
作戦前に部隊多数が個別に送る決意表明。
――――――――――定点観測で何が起きるか丸解り。
要人随行員が送る自分のスケジュール変更。
・・・・・・・・・・シークレットサービスが涙目。
社会人の基本はSNSアカウント削除から。
呟くのは広告代理店に任せましょう。
雇えないならやらんでいい。
全部コンプリートした合衆国の新大統領がプライバシーを無視するわなそりゃな。
私物のカメラに新しい道を歩ませられなかった。
うちの娘たちの俺にだけは魅せたくない顔とか。
永久保存版にして嫁に出すとき、いじめる計画。
ご飯が何杯でもいけますよ。
残念で堪らない。
直接魅ようとして怒られたし。
なぜマメシバに。
国際連合データベースは不可。
独り占めは基本。
そう、俺たちに私物はない。
だから一人一人に貸与された情報端末で楽しむ。
ただし持ち運び可能な情報端末の機能は小さい。
だけどオンラインで通信余力があり余っている。
日本列島にある無限のコンテンツが利用可能。
うちの部下たちもそれを楽しんでいるいるだろう。
ナンパが出来ないから俺も同じように楽しんでる。
違うのは俺に特有な事情があるところ。
司令部用モニターの方が画質音質が上。
子どもの前で寝ながら読み書き視聴はカッコ悪い。
だから勤務時間後も軍政司令部で過ごしている訳。
それが隣室、ならば此処は?
つまりは寝室ってことだ。
ベッド一つで十分。
って執事長やメイド長に命じたのか占領初日。
その日の内に用意された寝床を使い続けている。
デカイと思ったよ。
贅沢は素敵だが、方向性が違うって言えない。
異世界種族に対して俺は俺に非ず国際連合将校。
思っても言わない。
誤解が生じたら占領地住民をリセット。
生かして置けるなら生かしてあげたい。
まあベッドだと思わなければ快適です。
醤油だと思わなければ化学合成醤油でも大丈夫。
そういう意味で考えれば快眠です。
どういう意味とは伝わらないけど。
所詮は余所の邦の他所の御城の家居者なんだし。
ファンタジーな世界で暮らすのはどんなか。
天蓋付きのベッドを想像されたことがある。
曹長の娘さん、日本の中学生の感覚。
お城の寝床って、そーいうのだよね?
・・・・・・・・・・違う。
異世界寝床事情。
ベッドがあるのは富裕層以上。
総人口の一割未満。
九割以上はそもそも横たわらずに座って眠る。
それはさておこう。
天蓋でベッドを仕切るのは富裕層の下の方。
貧乏の証なんだと。
いや富裕層の中でも下層ってレベルだけど。
俺よりは金持ちか。
天蓋ベットの構造を観れば察しはつくわな。
ベッドを部屋から仕切る構造。
天幕とカーテンは、その為。
仕切る区分けが貧乏人の発想。
部屋を部屋の中で仕切って別ける。
・・・・・・・・・・病院の個室以外を思い浮かべよう。
うん。
貧乏。
やだ。
・・・・・・・・・・豊かさとは無縁の発想になるよな。
金持ちは天蓋なんか要らない。
カーテンも必要ありません。
プライベートが欲しけりゃ部屋を造る。
あ、いや、機密を保ちたければ、か。
プライベートって言葉が無い。
個人って概念が無いから。
ただ近似値は有る。
だから天蓋ベット自体は有ります。
ただ王城には無い。
他人から隔離された時間を得る為の空間。
・・・・・・・・・・貧乏の証だそうです。
総人口の九割以上には関係ないが。
ミドルクラスをファーストクラスから観てる。
特権階級は常に他人が一緒。
使用人を人と視るか
――――――――――家具と観るか。
ストレスを感じるほどの距離と時間、対等な力を持つ相手が居る。
使用人以外が居る前提。
・・・・・・・・・・なるほど。
狭い住環境と抜きん出られない地位が必要ですね。
だから狭い家屋の狭い部屋を仕切って別けて、ベットの内と外を分けなきゃならない。
異世界だけではなく地球人類史でもそうらしい。
ならなんで貧乏人の間で天蓋が金持ちの証になったのか?
・・・・・・・・・・まあ、判る。
貧乏人の眼に映る範囲の金持ちって富裕層の底辺だよね?
――――――――――特権階級は観えない。
不動の富を握る特権階級。
不動の数を誇る下層階級。
間の富裕層は浮草か徒花。
成り上がっては没落し、しないように必死に足掻く。
つまりは唯一、階層間を行ったり来たりする人達だ。
時代を経て中産階級が誕生。
ソレが増えると始まる金持ちゴッコ。
観よう観マネは観えてこそ。
その低い視界の中に天蓋付ベッドが有ったわけだ。
あらゆるフィクションの源流ってこんなもん。
なお、ベッドを壁際部屋の端に置いたら完璧です。
家具を部屋の端に置くのは、狭い部屋を広く使う工夫。
部屋が広けりゃ端では不便。
現代地球でも家具を置かない階級はある。
必要は使用人が持って来る。
テーブルも椅子も服も本も、なにもかも。
そりゃ家具なんか邪魔だな。
特権階級は多世界共通、ってことらしい。
俺は知ってるだけ、の世界。
まあベッドや家具を部屋の隅に置くってのがね。
御城や館が標準な方々には全く想像出来ない。
軍政司令官私室、俺のじゃない、ベッドは部屋の中央。
特に依頼せずとも風を避けた空気の通り道に置かれてる。
これだけレベルが違うと、日本へ招待する時が大変だろうな。
うちの娘たちを招待する時は、三佐の実家かマメシバハウス。
三佐の処は海外特権階級のホームステイが日常。
異世界からの来訪者を気にすまい。
マメシバの親は正常じゃないが祖父母が金持ち。
元カノに頼ませれば文句もなかろ。
うちのアパートなぞ寝室にも観えないし。
ちびっ娘二人に女サイズ五人なんか詰めたら死ぬわい。
常駐している近所のガキどもとキャットファイト不可避。
向こう三軒両隣と共同にすればイケるかもしれんがイカない。
等々色々考えることはあるが、そろそろ良いかな?
――――――――無視してたら我慢出来なくなったか。
「夕べも御愉しみでしたねぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」
よく眠たからねえ。
・・・・・・・・・・ってなんか怨念籠ってない。
積み上げて来たブラフとカバーを費やして確信した純正九蓮宝燈の一牌前に平和で上がられた感じ。
やられる方の気持ちを考えたことは偶にしかありますが思いやったことはありませんでしたが今後はどうしようかな。
「なんてヒドイことをしないんですか!」
不作為の罪的な?
・・・・・・・・・・枕になれない輩が乱入、ここ私室。
天蓋ベットだったら視覚は防げたのに。
周りのColorfulが、びっくり眼。
瞬間覚醒のエルフっ娘に背後から抱かれたまま。
ちびっ娘は眼覚めても断じて起きない構え。
まあいいんだけどな。
軍務中ではあるが待機任務。
軍務以外に費やして構わん。
軍務と解釈出来なくもない。
マメシバの関心は、うちの娘たちにある。
うちの娘たちも嫌がっていない。
むしろ同性同士の繋がりは使える。
うちの娘たちの為なんだろうな。
それはつまりこういうこと。
うちの娘たちの身分、地球人類解釈。
国際連合武力制裁の現地協力者。
地球人類の総意による決定。
国際連合軍将校が彼女たちをケアしようとする。
それは地球人類への忠誠!
これぞ子供に対する大人!
まさに社会人なら見習え!
そのエキセントリックな言動も関係なく出来る。
お医者さんの言うことです!
――――――――――だからなんだって話だが。
専門家が、そう言っている!
――――――――――何を言ってるかリピート。
素人には判らないことです!
――――――――――資格はなにも保証しない。
だから話を繕うのは、簡単。
・・・・・・・・・・誰も調べないからバレない。
それを本人が自覚してりゃ。
・・・・・・・・・・言い訳って発想が無いんだ。
誰に恥じることなく、行動あるのみ!
国際連合統治軍の予算を使う国際連合軍。
マメシバの趣味嗜好を実現するため。
主に、うちの娘たちを飾る衣服。
ついでに自分や元カノの分も造っているのは御愛嬌。
それ自体はどうでもいい。
俺が手間暇をかける理由。
元々ルーティンワークだ。
俺がマメシバの公金横領を無かったことにして仕舞う理由。
―――――――簡単だからじゃないぞ―――――――




