爪先まで/to every.
【用語】
『剣道団体戦』
:三人(競技人口が少ない女子)、五人、七人(競技人口が集中する大学)制があり五人制が主流。剣術ではないので一対一。基本的には各自一勝負。奇数組み合わせで多数勝った側が勝利。五人は先鋒、次鋒、中堅、副将、大将と呼ばれるが集団戦ではないので役割ではなく勝負の順番。強い選手は先鋒か中堅。先鋒に持ってきて勝ち相手の機先を制し続く味方の負担を軽くする。中堅に置いて不利になった場合の決定打を避け、そこから逆転を狙う。三勝すれば勝負が決まるので無意味かも知れない副将、ましてや大将に強い選手は置かない。相手との兼ね合いも視て全体とて三勝を狙うところは団体戦の醍醐味。
必要なのは理解です。
共感は要りません。
「どちらもないみたいですが」
どちらもあるよりいいですね。
【異世界大陸北東部/占領地中央/太守府/国際連合統治軍拠点/軍政司令部付メイド私室/青龍の貴族】
俺へ言いたいことは無い。
だが、伝えたいことはある。
良くある良くある、日本でも。
子どもがいつも想うこと。
大人は子どもを受け留める。
その程度が出来なきゃ首括れ。
拳を弾いたり。
罵倒を無視したり。
騒ぎを簀巻きにしたり。
家出してきたなら衣食住くらいはみてやろう。
言えないこともあろう。
尋問して何もかも吐かせる。
それは視て取り看破してから。
異世界では大人だからって俺の知ったことか。
五人の形。
着る。
止める。
結ぶ。
確かめる。
全員で一人一人互いの着付けをしたんだろう。
それ自体は異世界標準。
鏡、姿見こそあれ、独りで着替えない。
見えない処が多いから。
互いに結い上げ結び鏡を向け合い感想を交換。
見倣うべきは現代日本か。
脰や背中が大変な方は、いる。
魅てくれる相手がいない。
だから可哀相なことになってる。
肢体のスペックを把握してから誇示しましょう。
異世界では起こらない。
露出が少ない訳ではなく。
気候次第階級次第だが。
鏡の精度の問題でもなく。
着飾る時は他人と自分で最低限ダブルチェック。
服を着るのは富裕層。
一人で着るのは、有り得ない。
市井の人々が布を巻くんじゃないから。
メイド五人衆の衣装も端から独りを想定しない。
着るのは大変そうだ。
脱ぐのは簡単そうだ。
意図的に脱がされるのも容易いのが特徴です。
造った奴の顔は毎日睨んでますが反省しない。
一見すると共用パーツの組合せ。
敢えてカスタムメイドに見せ掛けてる。
まるでアルバムを聴いてるみたいだ。
――――――――――五人で一つの形にも為るわけか。
一人一人を視れば判ることだが。
個々に意図あるオーダーメイドを隠す。
まるで枯山水の真ん中に碁石を置く。
・・・・・・・・・・隠すより表せるは無し。
一つのデザインに見せ掛けてる。
纏う一人一人の肢体を魅せるためだ。
だから五人を一纏めに観せかけた。
――――――――――独り独りを浮き上がらせる為。
一つの無個性ゴッコとの対比か。
あるべき惹き立て役である衣装。
一人の女の娘が強調されている。
五人が五人とも独りでアピール。
一種類ではない白基調の多彩色。
だから透かした肌色が惹き立つ。
異世界人の種族的特徴を隠さず生かしてる。
オーダーメイドそのものって訳じゃない。
だがオーダーメイドにしか出来ない。
肢体の欠陥を隠すレディメイドとは真逆。
まるで苦手なモノを旨く食べさせるように。
今となっては大好きです。
俺はコーカソイドに不慣れだが。
要は白肌碧瞳金髪が苦手だった。
異世界人はそればっかり。
うちの娘との付き合いで大逆転。
彼女たちとは親しいか。
じっくり魅ればわかる。
魅力的だから仲好しだ。
体温を感じられる距離。
全体像は魅て知ってる。
この娘一人を魅なおす。
時間をかけられないのが残念。
仲が好ければ、むしろ好き。
痘痕も笑窪って言うじゃんか。
これなら知らん相手でも大丈夫。
食わず嫌いを克服、その旨に去来する想い。
もっと喰っておけは良かった。
日本列島にしか居ない地球人類。
コーカソイドがどれだけ残ってる。
いやいや、それは探せばいい。
現合衆国大統領だって白肌碧瞳金髪。
でも劣性遺伝だから減って逝くんだろうな。
せめて魅力を気付かせてくれた娘たちに御礼する。
さあ!
伝えるが好い!
君らの希望を無視しても味方だよ!
メイド五人衆、先鋒。
波打つセミロングにクルリと横髪。
キャミソール・ワンピースかな。
裾丈は、ちょうど股下ゼロcm。
ゆったりした布地が肢体を這う。
余地がラインを隠すのではなく、返って浮き立つ。
裾を手で抑えるから生地が引き絞られ肢体の凹凸が最大限強調。
だけではなく手の震えが肢体の各処突端を布地で潰し振動する。
それを当人に伝える様に注目して観せるのは、お約束なんだか。
ウェスト、ヒップが、その浮き彫りにされる。
無論バスト・トップから真下に布地は垂れる。
上向きだからこそ一気に入る直滑降
――――――――――スキーとかのジャンプ台かな。
遮蔽する胸元、いや胸下の布地が肢体を隠す。
ラインが隠れて妊婦に観えるは巨乳あるある。
服の造りが下手だからそうなるだけ。
・・・・・・・・日本だと需要がないから稚拙になる。
此処では部屋を満たす春の陽射しがある。
――――――――部屋を満たす明かりが薄布を透過。
それは幻灯機のように布地に内を浮かべてる。
シルエットより明瞭に肌もラインも見通せる。
つまり影ではなくフルカラーやや暈し。
インナー部分のガーターの目的はこれだろう。
肌とは別な物が透けるからこそ、肌がわかる。
対比による強調を部分ではなく全体に向けたのは意図的。
直接魅たいならクルリと回転させれば魅える。
たっぷりした生地は極薄で極軽、舞えば舞う。
いやこれは、絶えない穏やかな春風にもヒラヒラしてる。
胸元袖口脇の下、裾周りは素肌が剥き出しに為りやすい。
ゆったりした造りは、そのためなんだろうな。
目を回さぬ様に半回転を繰り返すと真っ赤だ。
メイド五人衆、次鋒。
セミロングが胸元で内にカール。
・・・・・・・・・・カール失敗?
いや演出。
髪がでっかい肉塊に留められ。
髪型が肢体を判りやすく伝え続ける。
――――――――――不自然な歪みで示す自然な豊球。
衣装は違うような同じような。
カテゴリーは同じなんだろう。
テーマはこれ。
こちらのキャミソールはバスト・アンダーで絞り込み。
持ち上げずとも突き出したオッパイを強調してる。
異世界にはブラジャーが無い。
支えが無いからこそ、そのもの。
真似させるのは辛かろう。
正面から魅せるためにバストからのカーテンが邪魔か。
絞り込んだ造りは布地と肌を一まとめにしている。
レースと肌の白違いで浮き立たせる構成は細部も同じ。
ウェスト下のレース部分が陽光に輝く様にしてる。
中心に近付くにつれて網目を大きくするのが解り易い。
それを判り易く見透して観せると反応が愉しいな。
明らかな自信。
――――――――――付随する羞恥。
それでなお不安。
・・・・・・・・・・昂っていく混乱。
一気に墜とすのがもったいない。
メイド五人衆、中堅。
ボブカットの後ろがクロス。
それ自体が装飾みたいだ。
皆リボンやレースを多様している。
一番目立っているのは間違いない。
左右のバストの間を通すはリボン。
敢えて型がいいオッパイを個別に強調してる。
――――――――――だけじゃない。
背丈が低めで俯けば、後ろ髪も良く魅える。
当然、前に立てば下を向き視降ろす形を続ける。
頤を摘まんで拒む顔を上げさせた。
敢えて視るのではなく魅てるを観せる。
これは鼻先に近付くと判るやつ。
見上げる前提のファッションだ。
左右の間から股下まで魅えてる。
バスト・アンダーで絞り込まれて視界を遮らない。
離れればオッパイ二つに魅せられる。
近くで見下し凹凸全体に魅せられる。
ファッションの遠近両用ってコレか。
飾りかと思ったリボンは飾りだけじゃなかったぜ。
通り道を確実に開く為の工夫。
通り道へ確実に導く為の工夫。
通り道は確実に伝える宣言だ。
そりゃ涙眼だよ。
返信はコレだ!
メイド五人衆、副将。
元々の艶々しい髪が陽に映えるウェーブ。
満を持しての登場って言うか、来たのは俺だが。
待たせた分だけ上がってる。
照れ。
期待。
緊張。
肌が白いからこそ紅潮が目立っています。
白いレースが肌に映え、火照る肌が返す。
そこまで予定して造ったのか、この寝間着が白。
網目の開口部を足し肌を魅せるスタイル。
生地の色は変わらないから、目立つ目立つ。
予測可能回避不可能なら当然に仕込むか。
着る者の気持ちを強調して魅せる仕掛け。
肢体じゃなくて心がメインって魂消るな。
感情を隠すはコミュニケーションの愚策。
感情的にならずに感情を伝えるのが玄人。
言葉より効果的、しかも手間暇を省ける。
今まさに全身で強調される感情が、まさにソレ。
期待に眼を輝かせるのは潤んだ眼に陽光。
3対0でも満塁ホームランを打てる構え。
高慢でも傲慢でもなく己を知ってるんだ。
惜しむらく知らない敵に教えられたこと
起きた刻に憶えているのか
――――――――――愉しく訊こう。
メイド五人衆、大将。
絹糸のようなミディアムヘア。
サラサラに括れています。
ウェスト並み。
確かにアピールしているが、むしろウェストから下を。
クルリと回せばヒップラインが綺麗な娘だからだろう。
待ってました真打ち登場。
他の娘の前では敢えて忘れる。
子どもとネコは、そ~いうところに敏感。
だが最初から気に留めておく。
これは弄び甲斐があると。
敏感に察しとられればこその反応が好い。
大将ポジションにふさわしい。
涙眼というより、半泣き。
うんうん。
自分が一番最後と察するまでと察した後。
順番決めで一喜一憂。
順番待ちで一喜一憂。
人を惹き付ける魅力があるから馴れない。
自分が後回しとは思わなかった。
真っ先ではなくとも最後とは。
自負があるからこそ崩れる。
最初から何にもなければ此処まで崩れん。
卑屈な娘も可愛いと思います。
既に、というか、最初から降伏。
お腹を出してる服従のポーズ。
猫なら甘え、犬なら真逆。
いや犬じゃないが。
そんな彼女に相応しいのは何故か?
サイズ合って無いよね
――――――――――それがジャストサイズ
はち切れそうにするために生地を絞った。
身動ぎ一つ出来無いのに留まれない状況。
肢体に喰い込んで入るのは余技に過ぎん。
肝心なの所は小さくせずに大きくさせない。
リボンやボタンが、その為に使われてる。
時間が経てば経つほど強調されている最中。
3.1415926535・・・・・・・・・・
思わず円周率の計算で時間稼ぎしようかと思ったが、観てて飽きない。
一番最後に彼女を持って来たのはこれか。
まさかこんなことになるとは想像してなかったろう。
普通にしていればキツいだけで済むもの。
マゾヒズムに至る訳が無い強度。
それなら当たり前に考えるけと。
五人の中でも一番グラマラス・ボディ。
だから疑わなかっただろう。
単に豊満な肢体を強調する衣装。
そう思わせられたんだろう。
俺が部屋に入るまでは違わない。
他の四人を観てたら終わり。
広くても同じ部屋なら全て判る。
観えて聴いて嗅いで身動ぎ。
――――――――――投了。
うん、良くがんばったな。
俺は足音を停める。




