Minority/Majority Report♪
【用語】
『国際連合』:the United Nations/連合国、の超訳。異世界転移後の人類社会の総意を体現する組織。と国会で決まった。加盟国のほぼすべての外交防衛権を委託されている。黒幕は日本の一衆議院議員であるとマスコミに報道されている。
『国際連合軍』:国連憲章第七章に基づく人類社会の剣と盾。と国連総会で決まった。黒幕は元在日米大使の合衆国大統領であるとマスコミに報道されている。
『軍事参謀委員会』:国際連合の参謀本部。安全保障理事会の補助機関。国連憲章第七章に基づく国際連合の軍事力行使の指揮を執る。
『安全保障理事会』:国連実質的決定機関。もちろん、総会の承認を得てこそ正式な決定となる。異世界転移後は全て一任されている。でも、理事会の要請で総会決議がされることがある。
『常任理事国』:連合王国(英)、第五共和制(仏)、共和国(露)、統一中華連邦(中台合併)、合衆国(米)、日本の合計6ヵ国。
『国際連合安全保障理事会』:日本の黒幕の自宅(詳細は第11話「幕間:自由と民主主義のために」参照)。国際連合事務局(今の事務総長はインド国籍)も同居中。千代田区の英国大使館、港区のフランス、ロシア、アメリカ大使館からほぼ等距離。米軍厚木基地の軍事参謀委員会からもアクセスが良い。とりわけ国際連合の主催者の自宅で、中華連邦国家主席が留学中に下宿している。
だから都合がいい。
そんな理由で設置されている。
ただし各国国連大使は後楽園の国際連合本部に詰めているので、安全保障理事会は常任理事国の正式な代表と実質的な指導者が6人集まって開催される。
御礼参りの時間です。
「ようやくか」
「Vandettaの間違いでは?」
「исткаでしょう」
「あーえーと」
「続けろ」
二回目の事例が観測されました。
「宇宙が相手ではなかったか」
「あらあら、十万年かかると見積もりましたのに」
「知性が相手♪なら、百年かしら」
「二度あったなら、三回目も近そうですね」
「続けたまえ」
まず第一回目の記録です。
「天体観測データか」
「映像、電波、放射線?全天観測に定点観測も」
「あれ、見たことある♪」
「Procyon、Betelgeuse、Sirius」
「続けて」
前回の記録は、先ほどの観測結果と一致しました。
「何処がだ」
「事物でなければMotifかしら」
「あれあれ!冬の大三角形が一つ、あと二つ」「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・三セット、ですか」
「続けたまえ」
すべて等しい記録です。
「あれは天球経度、緯度か?」
「タイムスタンプ?」
「ぜ~~~~んぶおなじ」
「同一方向同一時刻」
「続けて」
すべて異なる機器です。
「一致したな」
「不一致で」
「例外なく」
「例外ばかり」
「決まったな」
同じ天体、同じ天球、同じ瞬間。
別な場所、別な手段、別な機器。
同じ瞬間、同じ形式、同じ差違。
異世界転移当日午前0時ちょうどの電子データ。
例えば冬の大三角形を観測していた様々な電子機器。
記録されていない。
記録されている。
記録されていない。
冬の大三角形は日本から見えず、異世界の夜空が拡がった。
冬の大三角形は相変わらず、空に見えた。
その瞬間、2対1の多数決。
日本からは異世界の宇宙が見えた。
ある幼女と童女と少女たちは等しく存在していた。
ある幼女と童女と少女たちは同時に消失した。
その瞬間、2対1の多数決。
彼女たちは変わらず存在していた。
「二対一の正常判定」
「一対二の異常判定」
「誰かに出来るなら」
「我らに出来ないわけがない」
「これで宇宙ふたつ、手にいれた」
取り敢えずは、ふたつ。
二度あることは三度ある。
ふたつあれば、みっつある。
在る部族は、数をこのように数えるらしい。
ひとーつ。
ふたーつ。
たくさん。
今日は宇宙を。
明日は宇宙を!
《同月同日同時刻/東京都世田谷区深沢6-23-10/国際連合安全保障理事会緊急会合》
【国際連合統治軍第13集積地/聖都市内/中央/大神殿(改め建築楽器)内/中央/青龍の貴族】
名探偵、皆を集めて、さて、と言い。
俺が原因なんだろーな。
どーしよーかな。
何故に悪いのが俺と判るかといえば、消去法の勝利!
いや俺、悪くないけどね。
俺のせいじゃないけどね。
原因と元凶は違うからね。
謹んで訂正させていただきます
俺が発端だってことまでは判る。
で、消去法。
なーに簡単なことだよ、後世の記録閲覧者諸君。
俺を見張っていた彼女たち、おねいさんずが武器を振りかざして突撃してきた。
だから俺が原因?
ちっちっちっ。
そんなことじゃ推理物で名探偵の当て馬にしかなれないぞ!
おねいさんずが俺たち軍政部隊に向けて突撃動作。
今もって継続中。
朝から一分前まで俺だけ狙ってたのに、部隊戦闘。
個人の気紛れじゃあるまいし、組織の方針転換には切欠がある。
で、消去法。
容疑者は大神殿の中にいる。
うちの娘たちは関係ない。
――――――――――子どもに突撃したがる奴がいるもんか。
佐藤、芝も下手を打ってない。
――――――――――ずっと見てたわけじゃないが、有能だ。
他の隊員たちはもっと平気。
――――――――――曹長が指揮してるから、だいじょーぶ。
つまり。
女から突撃を受けられる人物。
有能ではない人物。
曹長が指揮できていない人物。
俺。
【聖都/聖都市内/中央/大神宮内/巫女の胡坐/青龍の騎士団陣形中央/青龍の貴族の左前/お嬢】
わたくし、楽しんでおります。
いえ、楽しませていただいている、とお伝えすべきですわね。
流石、ねえ様。
企まずに正しく動いてくださいます。
わたくしは、ご領主様に取り縋り、感触を楽しみながら、位置取りを工夫。
園遊会の賓客捌き。
祝祭の山車芸座段取り。
突発事態の仕込み。
魅せ方、見せ方はなれておりますのよ?
此処、もともと大神殿の中央。
ご領主様、皆の注目の的。
それこそ世界の中心。
にじり寄る雌獣立は三方から。
肌が泡立つような緊張感
――――――――――もちろん、肌はすべすべのままですが。
背に沸き立つ感興
――――――――――当然、表に表すようなことはりません。
顳顬を打つ妬心
――――――――――それをあらわすようなら、おろかもの。
ご領主様と結ばれているいるからこそ、知ることのできる世界。
並み居る女ど、たち。
向かい立つ、わたくし、たち。
頬に感じる、ご領主様。
女の戦い此処に在り!
ねえ様が、ご主人様に、揉みしだかれているのは、まあ、たいへんに、想うところはございますけれど、仕方ないことです。
敵、ではなく、女たちには、手頃な小ささはない様子。
とはいえ、ご領主様は、大きいのも嫌いではありません。
小さい方がお好きでも、大きいからといって拒むこともなく。
大きいことをそれなりに、あくまでもそれなりにお楽しみになられます。
故にこそ、ねえ様。
わたくしたちでは、迫りくる脅威、ではなく新たな女たちに見えませんものね。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・大きさを誇るような相手など、脅威ではありません。
しかして女たちを屠るなら、相手の卓上で殺るが最上。
わざわざ、ご領主様の好みが、わたくしのように慎ましやかで将来が約束された歳若い女である、などと覚らせる必要はありません。
これからの序列を躾けるなら、最初が肝心。
歳を経た円熟。
育ち切った充実。
熟れ墜ちる滅びの美。
それを誇るのであるならば、ねじ伏せていただきましょう。
歳を経て不変。
永遠の熟実。
堕ち続ける美しさ。
ねえ様ほどの適任者はおりませんわ。
大きさなら敵わないと知りなさい!
大を制するは小たる者!
大きくなるけど、まだこれから!!
青龍であれ何であれ、女は女。
女の戦いに地位など不要。
わたしくしたちの後に並ぶのです!!!!!!!!!!!!
【国際連合統治軍第13集積地/聖都市内/中央/大神殿(改め建築楽器)内/中央/青龍の貴族】
エルフっ娘が俺の手を離してくれない件。
こうしている間にも着々と包囲網が決まっていく。
俺への謂れのない戯惑が固まっているわけでは決してない。
おねいさんずは床に降りると身を低くして駆け寄ってくる。
こちらへ。
うちの隊員たちは立射姿勢のまま銃口を担当射界の標的に向ける。
あちらへ。
採光を計算しつくした神殿喧騒物の内部で、機械的な騎士たちが演じる計算された動き。
まあ駆けるというか、じりじりと。
フル装備でも走れば20秒かからない距離だし。
うちの連中も、ゆっくり慎重に、射線を向ける。
向けられた方も、射線を外さない。
これをどうとるか。
猟師が獲物を確実に仕留める距離まで接近する動作?
俺が初見の野良猫に嫌われないように接近する動作?
日常生活やナショナル・ジオグラフィック(動画)で見たことあるぞ。
ゆっくりと一定方向へ動けば、こちらもそれに合わせやすい。
肢体の中心線を避ければ、致命傷にはなりにくい。
おねいさんずは、対する銃口に二人が重なるようにして盾役と矛役。
うちの隊員たちは駆け寄る、おねいさんずから俺たちを隠す様に衝立役。
銃声は響かない。
爆音も鳴らない。
装填音もしない。
音が鳴り始めたら一瞬で終るだろうな、俺の人生。
恥が多くても気にならない人生を送ってきました。
もっと上塗りがしたいです。
だめ?
緩衝ゴムで抑えられたプロテクターの衣擦れ。
軟性素材で殺された軍靴の響き。
むしろ大きいのは、取り回された銃器の金音。
数十m圏内で現代火器が向かいあう。
それはいい。
おねいさんずが動き、俺たちが受ける。
僅か10秒ほどでパターンができている。
ここまで近づいたら、むしろ暴発は無い、たぶん。
むしろ気になる。
エルフっ娘のしなやかでたくましい腕が、俺の腕をキメてるような気がするのはちょっと怖い。
痛くないんだけどね。
間接キメられてるときは、逆らうと痛い。
逆らわないと動けない。
まあいいんだが。
動く気が無いしね。
素人が下手に動くと、あっという間にパイ投げが始まる。
お互いが、曲がりなりにもプロフェッショナル。
自衛隊員同士だから、暴発していないだけだ。
それですら辛うじて。
切欠一つで、パイ投げ。
手榴弾もロケットランチャーもあるよ?
になる。
此処で一石を投じたら、良くも悪くも全体に波及する。
特にお互いが動いているとき。
距離を詰める、おねいさんず。
それを照準する、うちの連中。
とっさの反応が起きやすいのは、こーいうとき。
ほんの数分。
定型化された動作をはみ出せば、ドカンといく。
ほんの数分。
逆に言えば、均衡を崩さなければ大丈夫、だと思う。
動物って惰性で生きてるからね。
一度始まった動作は繰り返される。
止まるか止めるまで、無意味に。
ことを起こすなりことが起きるのは、みんなが一通り動き終えてから。
俺は慌てているように見えないよう、エルフっ娘を掴みなおした。
極端な動作は禁物。
エルフっ娘や?
刀を抜きそうな姿勢は止めて欲しい。
耳まで真っ赤なエルフっ娘。
がっしり俺にしがみついているから、正当な抜刀姿勢は取れないのに。
素人にはさっぱりわからないが、歴戦の剣士は違うな。
刀を抱えたまましがみ付くから、おねいさんずに丸見えです。
刀を抜こうとしているのか、刀が抜けそうなのか。
刀を抜いたら戦闘開始と丸わかり。
鯉口三寸でパイ投げ開始は勘弁してほしい。
俺の腕を挟んでいるのは胸が八割、腕が三割。
俺が抑えるべきは、最初は胸だったが今は腕。
俺以外が肢体に触れそうになるだけで嫌がる。
臨戦態勢ってか、戦闘態勢じゃないか?
殿中でござる!
殿中でござる!
大神殿中でござる!
【20(検閲削除)年。春。昼。東京都(検閲削除)】
六人目。
ただ一人、五人の遺族を見やる者。
同胞をすべて失った友に、かける言葉などない。
130万の在外日本人。
その運命も。
この手を離れてしまった。
※地球に残された人類については第4話<世界の外の日本(地球人類終了のお知らせ/死因:肝不全)>参照
70憶の他人、その命と引き換えに見合うことなど、在り得ない。
だが、差し出された。
受け取ってはやろう。
贈り物をする。
贈られたものを受け取る。
それは人類のルール。
「地球人類は、そこまで寛大なのだ」
贈られたからには、返礼は欠かせない。
どんな御礼をしようかな?
七夕に、願った夢は、いつ叶う?
「馬鹿が産まれてきてしまったことに反省して責任を果たしますように」
まだ一ヶ月経ってないですからね。
仕方ないですね。
さて。
毎度毎度毎度、読むこと他で本作だけでもないですが執筆に協力いただいている皆様。
厚くお礼申し上げますとともに、雑事にかまけて行進スケジュールが乱れることをお知らせします。
創作に協力いただいている皆様には、関係ないですね。
すいません。
創作の方には、よろしくお付き合いいただけますよう。
以下言い訳。
浜の真砂は尽きるとも、世に馬鹿の尽きることなし。
――――――――――悪党は改心すればただの人、馬鹿につける薬はありません。
ロボトミー手術位でしょうか?
昔の人は良いことを言いました。
「馬鹿は死ななきゃ治らない」
そりゃそうだ。
いい加減、バカげたコロナ対策に付き合う人が少なくなったからでしょうか。
余計に馬鹿どもがビッチビッチ跳ねています。
形だけ付けてるマスクを糾弾し!
――――――――――罵倒し返しますが。
消毒薬を通路の恥から真中へ移動!
――――――――――ほぼ全員スルー。
検査を受けろとCCメールをばらまく!
――――――――――仕事しろバーカ。
1945年5月のベルリン市街かな?
帝国の勝利を喧伝して同胞を吊るして回ったアレ。
これと一緒にされたら
……人に在らざる恥辱。
未来の人類に誇りと名誉を残すため、
「コロナ対策したんだコイツ(嗤)」
と思われるわけにはいかないのです。
21世紀人類の面子がかかっています!
馬鹿に我慢する優しい人ばかりでもなかったんだ!
馬鹿を傷付け辱めるために一生懸命だった人もいるんです!
ハイ!
ここに!!
忙しいのに!!!
じゃあ、頑張って週末はうろちょろしないといけませんね。
馬鹿を嗤うことで、彼らが少しでも自分の義務に気が付きますように。
いつも通りにノーマスクで炎天下に繰り出します。
駅のホームとか。
枝ぶりの良い樹木とか。
海開き前の海とか。
彼らが義務を遂行するのにふさわしい場所は溢れています。
どんなプレイだこれ。
マスク付きでプレイしている方々にはかないませんが。
インドア生活に戻りたい。
では、明日も明後日も、いってきま~す。