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完全侵略マニュアル/あなたの為の侵略戦争  作者: C
第十二章「男と女と大人と子ども」

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共鳴・共振、相乗効果。

【用語】


『魔法』:異世界の赤い目をした人間が使う奇跡の力。遠距離の破壊、伝達、遠隔視、読心などが使える。魔法使いを帝国では組織的に養成しており、貴族に準ずるものとして扱われる。


『奇跡』:異世界の赤い目をした人間が使う魔法の力。気候や海流、地殻の把握、それに対する干渉が行える物と考えられる。帝国以前は赤い目の赤子が集められる神殿から魔法使いが輩出されていた。



術者。

これは魔法使いと巫女さんですね。

儀式。

呪文とか魔方陣とか生贄とか全部乗せとか。


「この二つがそろって魔法は発動する」

by魔法使いさんたち。


ほうほう。


ですかねぇ?

エルフっ娘ちゃんの魔法具。

だんちょーの魔剣。

由来さえ失われた地下迷宮の魔法構造。


どちらにも魔法使いは居ませんよ?

古代魔法と現代魔法の差。

かつてはそうだった。

今はそうではない。


この世界の魔法使いは、そう言ってますね。

なら。

「これからそうなる」でもいいですよね♪


いえいえ。

「いまもそう」だったらめんどーがないかな。



ん?

だって、もともとそうだったんじゃないですか。

それなら今もそう在る方がふつーふつー。


「同じ世界で同じ手順を踏めば同じ結果が起る」


でしょでしょ!

奇跡や何かだって、百年とかからず忘れられたんだし、「知られてないこと」と「存在しないこと」は違うことですよ。


私達(ちきゅうじん)が言ってるんだから、だいじょーぶ!

あ、もふもふしてもいーですか?



《国際連合独立教導旅団「黒旗団」団長副官マメシバ(仮名)三尉の船上会話記録一部抜粋》




【国際連合統治軍第13集積地/聖都市内/中央/大神殿(改め建築楽器)内/中央に侵攻中/青龍の貴族】


やっぱり音が独特だな。


靴音靴音足の音。

大神殿の大合奏唱じゃなくて。

その中で響く音。


耳を澄ませば聴こえてくる。


都市全体が奏でる演奏合唱が一番おおきいインパクト。

耳を澄まさなくても鳴り響く。

でもあれだ、圧倒されるような感じではないけれどね。


包み込まれる感じ?


心地良く包み込まれている中で、調和している音。

衣擦れ、自動機器の稼働音、通信機の動作確認音、そして靴音。

子どもたちの息遣いに、感嘆、驚き、気づきの音。


最初から聴こえているのに、耳を澄まさないと気付けない。


耳を澄ませば聴こえてくる、この不思議。

まあ風音や共鳴前提の都市音楽は、耳を圧するもんじゃないけどね。

どちらかと言えば耳に滑り込む環境音的。


なのに意図を感じる歌声で、都市の奏でる音と俺たちの発する音が反発しない。


ノイズすら、都市楽器の演奏に組み込まれてるのかな?

であればこれはノイズではないわけか?

都市が楽器なら、俺たちゲストもその一部、ってこと?


良い音を探して気を付けないと、気が付かなかいほど調和した音。


俺の足音だけじゃないぞ。

もちろん自分の足音を楽しむ歩き方もしていない。

TPOはわきまえている。


作為的な都市の音楽に、俺ごときが介入できると思ってない。


いや、楽しんでもいいんだが。

今は都市楽器、とでもいうべき舞台の中。

優先すべきは、その演奏合唱。


同時並行で魔女っ娘の喜ばせ方を考えているが。

それはそれこれはこれ。


マルチタスクは大得意。

しかし上限もある。


自分で音を造るのは、計画だけにとどめておこう。


音響効果を考えた大神殿。

それはそれは響きが良かろう。


それほどたいそうな靴は履いてないが。

極めて標準的な支給品。




【聖都/聖都市内/中央/大神宮内/隊列先頭中央/青龍の貴族の手が届かない距離/一足飛びに届く距離/エルフっ娘】


あたしは昔馴染みを思い出した。

彼を見ているから、かな。


楽想を味わい。

女を愉しみ。

あたしを揶揄う。


(いじわる)


そんな彼は青龍そのもの。

超然としながら、世界を舌で転がしている。

必要としていないからこそ、遠慮会釈なく味わう。


昔馴染みは、独りだった。

世界に追いかけまわされて、でも超然として。

必要とされていながら、必要とはしない。


昔馴染みの彼女。

今馴染みの彼。

あたしが好きな、二人。


会わせてみたら面白い。


空気を読まない女。

読んだ空気を無視する男。

二人とも気が合ったんじゃないかな

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・困る。


やめやめ。

今いる人の為に、今いない人を想い出す。


祈りは求める者に届く

――――――――――そう言っていた。


祈りとは、願い。

巫女や神官が望むこと。


暖かい春。

夏の雨。

秋の実り。

穏やかな冬。


処によっては、柔らかな雨期や長い春を願った。


何が届くのか。

雨が?

陽が?

誰が届けるのか。

巫女が?

奇跡が?


あたしにはよく判らず、解らなくても気にしなかったけれど。

いま思えば、訊いておけば良かったな。


彼に伝える為に

――――――――――青龍なら、知りたがる。


今もそう。

きっと楽しんでくれる。

あたしが聞きかじった程度でも。


他の女の話で、ってところは、我慢できる、と思うし。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・無理やり言わされるまで、ぜったい言わない。




【国際連合統治軍第13集積地/聖都市内/中央/大神殿(改め建築楽器)内/中央に侵攻中/青龍の貴族】


俺が身に纏うのは緑の正服、通常礼装だ。

作業服、いわゆる戦闘服は禁止。

軍政官でありゲストや捕虜がいるからだ。


賓客が居たり捕虜ではあっても他国の軍人がいる時に、礼を省略は出来ない。


戦闘時は別として、ね。

一応、遠足だって軍事作戦で、戦闘手当が出る時間だが。

実戦は想定されていない。


常に作業服では余裕が無いように感じられる。


ここ第13集積地は特殊な場所で、捕虜収容所も兼任。

今日の遠足、つーか今も帝国軍の高級将校、帝国女騎士がいる。

多分おそらく俺の実階級三尉より偉いんじゃないかな。


階級も実力も格上な相手に、儀礼で引けを取るわけにはいかない。


そんな見栄もある、が、それだけでもない。

礼儀を示すことで、敵味方の行動を操作できる。

敵がこちらに従うように、味方が敵を侮らないように。


例え誰であれ、地球人であれ異世界人であれ、逸脱者は殺される。


作業服とは戦闘服の別名ですが。

兵士が武装をチャラ付かせるのは良い。

士官が戦闘態勢なのは良くない。


自軍の制圧下であることを疑っている、ようにしか見えない。


警備に付く隷下兵士は不安になって撃ちやすくなる。

監視されている捕虜たちは強気になって逆らいやすくなる。

不安と強気が合わされば、行き着くところは大虐殺。


痛くもかゆくもないが、行き着きたいわけないよね、ね?


殺すのは俺たちで、殺されるのは君たちだ。

責任は俺たちで、代価を払うのは君たちで。

気分が悪いのが俺たち、よりもっと君たち。


まあ行き着かなくても捕虜の内部序列を維持するため、ってのも。


捕虜になっても、出身軍の組織は出来る限り維持させる。

別に今般の国際連合だから、って訳ではなく、旧来からの軍事常識。

軍人同士のなれ合いじゃなくて、その方が捕虜の取り扱いが楽だから。


人が群れを成せば、序列と指揮が必要。


味方の士官将校下士官を、捕虜対応に割きたくはない。

そんな無駄手間をかけるのは、スターリン体制のソビエト軍くらい。

刑務所、とは違うが、運営は受刑者、ではなく捕虜の協力あってこそ。


捕虜と敵対すれば捕虜全員を制圧できる兵力を、常時配備する必要が出る。


そんなことするなら最初から皆殺しにした方が良い。

そんなことをすると捕虜から得られる情報が無くなり、敵の士気が上がる。

そんなこんなで、誰が馬鹿をやるのかっていう、ね。


だからこそ、俺が帝国軍騎士に敬意を払う。


勝利者(おれ)が礼儀を弁えた礼装で相対する。

支配と被支配を明示しつつ、上下関係とは切り離す。

例え帝国軍兵士が見ていなくても、騎士自身に自覚させるため。


自覚無き権威は権力にすらなれない、では失敗、は許されないわけで。


国際連合軍将校(おれ)の責任問題です。

もっとも組織力で異世界異端児の帝国軍。

けっこうこちらの意図を汲んでくれるけれど。


帝国軍内部でも似たような習慣はあるようだし。


反帝国諸王国軍が、はて帝国捕虜をどう取り扱ったか。

そもそも捕虜として扱ったのは、騎士以上で身代金が出る相手だけだろう。

末期になれば身代金を獲る余裕もなく、なぶり殺しか。


俺たちの捕虜になった帝国軍関係者が意外そうにしているのは、捕虜の取り扱いって概念がある相手と初めて戦ったからなんだろうな。


俺たち将校が規定通りに振る舞うだけで、死人が減る。

恐怖で委縮させ、敬意で士気を保ち、組み合わせで指揮を執る。

まったくもって理屈通りとはいうものの、メンドクサイ。


誰かほかの人に押し付けたいが。


ゲスト、シスターズ&Colorfulがいるからそうもいかない。

怖がりな娘たちだからね。

それは戦場で過ごすうえで健康に良いが、俺にしか気を許さないのは。


よくないな。




【聖都/聖都市内/中央/大神宮内/隊列先頭中央/青龍の貴族の手が届かない距離/一足飛びに届く距離/エルフっ娘】


あたしは彼、青龍の貴族、その意識に曳き摺られている。

それは当たり前で、不愉快なことでは無いのだけれど。

あたしが意識しておかないと、いざという時、困る。


青龍の陣形は隙が無い。


だからこそ。

青龍の視点で完結しないように、あたしがいる。

唯の女で終われない、嬉しいやら、悲しいやら。

いまもそう。


あたしの中の嫉妬や焦燥、いろんな欲が霧散した。

彼の視線、彼の仕草、彼の姿勢。

あたしたちを囲う陣形、青龍の騎士に向いている。


あたしはそっと身構えて、戦いに備える。


反応しやすいように。

負担をかけないように。


肢体から力を抜く。




【国際連合統治軍第13集積地/聖都市内/中央/大神殿(改め建築楽器)内/中央に侵攻中/青龍の貴族】


おっと、音だった。

大神殿の合奏ではなく。

靴音のことである。


俺の足元、半長靴3型。


正服でそれはねーよ、って思うじゃん。

だが一応、前線での作戦中だからね。

足回りをおろそかには出来んのだ。


いざという時に俺が逃げられないと、うちの娘たちと部下が死ぬ。


うちの娘たちも、園遊会以外ではブーツですよ。

園遊会なんて、今まで二回しかないけれど。

いざというときは、自分でダッシュか俺が奪取。


まあ、ちびっこ二人は俺かエルフっ娘が抱えて走る。


Colorfulは足腰が丈夫だからね。

瞬発力持久力反応速度、おおむね良好と元カノが確認。

奴隷牧場ってのは教育機関として優秀だ。


何で元カノが出しゃばってきたかと言えば、俺に確認させないため。


せいぜいかじった程度のスポーツ生理学。

とはいえ実体験からいえば、俺は子どもの肢体に詳しいが。

小学生にすら嫉妬するのが元カノクオリティだから仕方がない。


みんな体格の差を除けば、俺と同じような足音です。


だが半長靴3型の音は、現地の長靴と変わらない。

うちの娘たちから帝国女騎士まで、素材は違えど性質は同じ。

あー神父の靴はエナメルの革靴ですよピッカピカ。


音が独特なのは部下一同。


プロテクター装備でも足元まで固くない。

むしろ柔らかい。

でも対人地雷対策で、とっても丈夫です。


むしろ構造的には、足音をなるべく消そうとしている。


だからだろうな、音が独特なのは。

一番小さい音で、一番特異な音。


頑張ればもっと足音を小さくできる。

が、うちの部下たちには必要ない。


足元に気を取られて、戦闘動作全体がおろそかになる。

と、曹長が言っていた。



はて?


異世界に初めてあらわれた地球の音。

それすら調和させる聖都の演奏合唱。

日本が来ると判る訳でもあるまいに。


普通に考えれば、地球人の感覚が違和感を自動補正しているんだろうけれど。

異常に考えれば、聖都設計者が最初から楽譜のバリエーションにしてるとか。




神さまのいない聖なる(みやこ)

――――――――――ねぇ?





特別定額給付金(新型コロナウイルス感染症緊急経済対策関連)の申請用紙が届きました。


いやはや。

「絶対に申請させるもんか!」

という財務省の叫び声が聞こえてきます。


出来るだけ手続きを煩雑化して、申請を諦めさせる。

可能な限り交付を遅らせて、申請者の自然消滅(死亡)を計る。



皆様。

頑張って申請してください。

財務省を苦しめることは社会的な義務です。


急に肌寒くなってしまいましたがご自愛ください。


では、本日の言い訳。





当方は雨にも負けず風にも負けず、社会的な責任を果たしてまいります。

具体的には馬鹿による阿呆のための間抜けな「コロナ対策(笑)」を無視して外出。


その関係で本作更新スケジュールの乱れが生じます。


未だまみえぬコロナ患者や自粛警察が見つからないかと。

マスクをつけた「裸の王さま」くらいは何処にでもいるのですが。


興がそがれますよね。



いえ。

解っているんですけど。


8~9割無症状の感染者は確認方法が無い、っていうより確認の意味がないとか。

官製自粛の責任逃れの為に造られた「自粛警察」なんかいねーとか。


検査と患者を減らして自粛の成果を捏造。

自粛終了の境界を曖昧化して検証を不可能化。

官僚機構のマスコミ(どれい)が吹聴しているだけ。


さすが8月15日に自らが傾けた帝国を敵に売り飛ばして生き延びた種族。

まったくもって「何を願っているか」判りやすい。



断じて赦すまじ!

では、出陣!



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