150年間失い続けてもまだ残る凄い国(錯乱)
【用語】
『新聞(世界一般)』
:言わないと知られない報道媒体。TVやネットのニュースソースはこれが大半を占める。先進国から中進国では広く一般に流通しており、概ね部数は数十万~数万。合衆国のような巨大市場では200万部前後に達する場合もあるが、これは例外。
え?
数百万部が当たり前の新聞もあるって?
それは「新聞」じゃないですか?
例えばフランスの主要紙「Le Monde」は概ね30万部弱、対抗紙の「Le Figaro」は30万部強。日本でもスポーツ新聞はこのくらいの売り上げなので、自覚的な新聞購読者というのはこのくらいが普通。
基本的に街頭で販売であり、押し売りは存在しない。もちろん販売数の偽装も無い。部数自慢だけを目的に大量に廃棄もしたりしない。読まなくてもいいからとポストに放り込んでいくことも無い。そんなことをするものは新聞ではなく「新聞」と名が付いた商品だろう。
異世界転移に伴い日本滞在中のジャーナリストも転移。そのために世界の主要国メディアすべて活動を再開。それ自体がビックニュースである転移に異世界に狂喜乱舞。最近のトレンドは、やはり異世界侵略戦争。少数言語を駆使してジャーナリストを煙に巻こうとする国際連合報道官に対抗する為に、日本列島中からサンクスリット語を始めとした消滅危機言語話者をかき集めている。もちろん記者会見など飾り。異世界渡航を試みてキャッチ&リリースされたり、ハニートラップを含むあらゆる手段で関係者を篭絡したり。何処かの国の自称ジャーナリストの様に取材対象から日常的に奢られたり贈り物を受け取ることもなく、むしろ買収や恫喝や説得で取材中。
内部告発サイト「WikiLeaks」まで活動しているので、国際連合との熾烈な情報戦争が繰り広げられている。
ただし人数が限られている為に、日本外国特派員協会を中心として共同ないし分担で取材。発表媒体はインターネットの無料公開であり、基本全員がボランティアとして活動中。
インターネット。
何でも調べられます。
調べてるとは限りませんが。
何でも伝えられます。
伝えることがあるとすれば。
一番の特徴?
どんな特異意見や趣味嗜好でも、互いの意見を称揚する場は持てますよ?
カルト造りに最適です♪
「は?国際世論?どこの?」
「英米独仏なんだっていい
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・異世界に世論なんかないぞ」
「いやフランスって」
「気にするな。ルノーを語る阿呆がモンドやフィガロを読むわけがあるまい。新聞を見たことすらないさ、馬鹿だからな」
「日本には新聞が成立したことが無いですから
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・Le FigaroもLe Mondeも発行再開されてるんですよ?」
「まったく面倒だ。我々に任せれば造幣局で印刷してやるのに」
「まあフランス語サイトですから、翻訳アプリを使って拾い読むような奴はいないでしょうが」
「なら、いつも通りだな。フランス語を読もうとする相手には優しいが、フランス語を他言語訳する気はない。大使館経験者を集めろ。別にフィガロ、モンドじゃなくていい。タイムズでもポストでも、なんなら個人サイトでもいい」
「誤訳、いや意訳しやすい記事
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・落書き
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・を探しますか」
「大使館の基本業務だろう。任国の文化も言語も知らない観光記者たちに、現地ニュースとして日本語で提供してやる」
「あまねく国際世論は身勝手な日本大衆を叱り、弁えない日本政治家を糾弾し、国民を善導する我々を称揚しなければならない」
「判っているしゃないか。日本への中傷や悪口、糾弾否定と称する悪意
――――――――――日本のメディアに載らなければ十分だ」
「馬鹿だ阿呆だキチガイだと嗤われても、外国語なら気が付かない」
「国際世論を、日本語で書き直した〈こくさいせろん〉は気にするのだがな」
「国際世論を気にする間抜けほど原典には当たりませんからね」
「原典?日本語すら読めない奴らが?見出しを流し見するだけで、本文なん読めるものか」
「全部日本語で書いてあってさえ?」
「だから見出しだけ指導に従い、本文で逆の論陣をはる記者もいる」
「カット&ペーストを繰り返したあげく、何を造ってるかわからなくなってるだけでは?」
「反逆なら罰として記者クラブを追いだせば済むが、馬鹿が相手では処置無しだ」
「なんなら各国の主要メディアを復活させましょうか?総務省のPCを一台使わせて、バイトの学生を手配して、我々が書いた記事を機械に翻訳させれば」
「それだ」
《東京都千代田区永田町2-17-3住友不動産永田町ビル/総務省電気通信紛争処理委員会》
【国際連合統治軍第13集積地/聖都市内/中央/大神殿正面階段途中/青龍の貴族】
俺は、ほっとした。
我が軍政部隊の隊員たちの話。
ムッとするのは曹長の仕事。
ホッとするのは俺の思考。
いつもの癖だ。
不幸中の幸いってあるよね。
幸不幸はあざなえる縄の如し。
肋骨を折ったのが年末年始中で、通勤ラッシュを避けることが出来た、とか。
冬場に温水が出なくなったが、たまたまその冬が暖冬だった、とか。
酷暑でクーラーが壊れて修理順番待ちと嘆いて、女の部屋に誘われた、とか。
幸福だけ欲しいんですが代価の支払いなんてとんでもなく努力も嫌なんですがそうはいかないですかそーですか。
特に寄る辺なき子どもが存在しているのは何とかならないでしょーか。
日本でも異世界でも、たまたま拾えてよかったな、ではあるんですが。
いやほんと、ほっとくと死ぬから捕まえられてよかったよねほんとに。
迷い子猫を捕まえるよりは楽だけどさ。
その節はご近所総出で縁の下やら屋根の上やら壁際やらをお騒がせ。
皆様のご協力で無事保護できたので、うちの実家の猫たちも大喜びです。
しっかりした保護者付きの子どもの方が、ときたま揶揄って遊べるから好きです。
いえシスターズ&Colorfulに出会えたのは良かったけどね。
まずはそれを喜べればそれでいいか。
死中に活あれば、それ以外のことは些事に過ぎない、結果オーライ。
と、曹長の娘さんを弄る話とか手に届く範囲の娘たちの話はさておいて、俺の仕事という名の些事。
部下の練度、その低さに安心するとは是如何に?
今まで銃剣を使わせなくて良かった
――――――――――そ~いうこと。
いや、そういう状況じゃなかったけどな。
圧倒的多数の中で一握り。
銃剣戦闘に持ち込まれてたまるか。
よほど幸運がないかぎり瞬殺される。
数の暴力はそれほどです。
火力を駆使してなお、それだけで勝っているわけじゃない。
俺たちを護るのは、勝利を造るのは、まぼろし
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・それだけ。
恐怖、不安、恐れ、畏れ
――――――――――俺たちは知っていて、異世界には知られていない。
だからこそ、異世界人の前で銃剣訓練は出来ない。
中世から見ても、すぐ判る。
銃剣、剣、刃物
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・判りやすいだろう?
判られるよりも何よりも、解った気になられるのが怖い。
恐れが無くなれば、挑まれる。
それが続けば、ネタバレる。
種アリ手品に意味はない。
リセットするためには、邦一つ皆殺さなけりゃならん。
異世界の皆様、そして俺たち、その健康と安全のため。
俺たちに殺させないために、俺たちを誤解して欲しい。
地球人を見たら銃だとおもえ、思って、お願いだから。
相互無理解は平和の基本。
だからこそ、使わない前提の銃剣
――――――――――廃止はしない。
国際連合の軍事的親玉の性格。
歩兵万歳な陸軍将官
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・銃剣訓練を廃止したのは、貴女のとこですが。
あ、復活させたのは、貴女ですかそーですか。
まあ好み以前に、主義主張。
最後の最期まで戦わなくてはならない。
銃弾が尽きたからって戦争は終わらない。
――――――――――戦って死ね――――――――――
俺の知ってる戦争と違う。
いや連合王国軍が銃弾使い果たして銃剣突撃したのは知ってるけどね。
※1982年フォークランド紛争中。
俺たちはむしろ銃弾貰えないから銃剣に頼ってたけどね。
※各種PKO活動中の唯一無二の兵器
それがむしろ例外、できれば無い方が良い、後者はむしろアリエナイ、であることは言うまでもない
現代世界なら誰もが銃を知っている。
銃の威力を背景に、刃物という判りやすい銃剣。
それが持つ威圧効果は、特に警備や治安維持に向いている。
そしてここは異世界。
銃ってなに?
ともあれ刀剣万歳、魔法もあるよ?
な異世界で恐れられるのは火器火力。
練度以前にサポートウェポンである銃剣は、ソレそのものが洗練されているとはいいがたい。
騎士、剣士、戦士のみなさん。
それを見慣れた異世界の方々。
絶対馬鹿にされるよね、そんなへっぴり腰で人が刺せるか!ってさ。
それはよろしくない。
俺たちが舐められると、彼らが死ぬ。
ってか、俺たちが殺すんだけどさ。
―――――――怖い怖い地球人には近づかないでください―――――――
と、こうこないと。
殺したくない、俺たち。
殺されたくない、君たち。
とりあえず殺せ、の上層部。
下手を隠して威圧して、平和で穏やかに不干渉。
それを保つのが、陸上自衛隊の第一目的。
と俺、だけじゃなくて、多くの同僚は考えてる。
人を殺したからって、何があるわけじゃない。
それはそれこそ大半の自衛官が自覚してるだろう。
人殺しが言うんだから間違いない。
食欲も減らず、夜も寝られる、自然には思い出さないし、努力して思い出したって何も感じない。
直接殺したことがあるのは少数派。
それでも誰かの知り合い友人ではあるからね。
以外にせまい自衛隊界隈で、口コミは最も信頼される。
誰もがその辺りは、信頼できる情報として、伝え知る。
今までの研究は間違って、いや、かくあれかし、という思い込みに引きずられていたわけだ。
殺されそうになることでトラウマは生じる。
殺すことで生じるトラウマは存在しない。
敵も味方も同じ人間であれば、暴力のレベルはそう変わらなかった。
一方的に殺す側。
異世界転移で、そんな状況が生じなけりゃ、解らなかった世界だな。
殺人の禁忌が後付けの迷信だった。
だからといって、、人を殺したくなる、わけもない。
苦痛を感じるから、そう決まっているから、人目が気になるから。
――――――――――人を殺さない?
そうじゃない、というわけだ。
苦痛が無くても、殺していいと決まっても、人目があろうとなかろうと。
――――――――――殺したくはない。
禁忌なんて、くだらないことじゃなく。
――――――――――力を振るう事への嫌悪感。
圧倒的な力で、隔絶的な弱者を、一方的に蹂躙する。
――――――――――気持ち悪いだけだ。
幼稚園児の中で拳銃を振り回してイキがる大人が居たら、その場で殺すだろう?
――――――――――そんな感じ。
そんなキチガイになって首をくくりたい奴なんかいるわけがない。
――――――――――フィクションだって耐えられないね。
異世界転移で、そんな状況が生じなけりゃ、解らなかった世界だな。
そしてそのあたり善悪好悪快不快は、以前から地球人類の大半に共有されている、らしい。
皆様、うれしいお知らせです。
人類普遍の正義、その存在が確認されました。
それは現代文明とは関係なく成立するようです。
それこそマメシバ三尉みたいな奴から言わせたら、強く健康な動物が必要によって行動した結果、とでもなるのだろうが。
世界転移で、そんな状況が生じなけりゃ、解らなかった世界だな。
理屈は老後の楽しみとして。
俺たちはこうして、不幸中の幸いにいそしむ。
人殺しをしながら、人殺しをしないですむように。
だからこそ、一心同体な現地協力者しかいない、ここでこの刻つたない訓練。
あ、帝国軍捕虜はいーんです。
どうせこいつらビビらないし。
化学兵器を目撃してなお、恐れを計ってる気配があるし。
そんな彼ら、帝国軍じゃなく、帝国捕虜には、敢えて判らせているような
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あ、はい、キノセイデスネ!!!!!!!!!!




