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完全侵略マニュアル/あなたの為の侵略戦争  作者: C
第二章「東征/魔法戦争」

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多世界制服理論



これは礼服ではない。

戦闘服だ。


全力突撃。

零離近接。

防戦皆無。


国際連合軍にふさわしいドクトリン。


わたしが着ようとは思わないが。


《インタビュー95with合衆国大統領(女性/65歳)》




【太守府/港湾都市/奴隷市場の館/中央庭園/寝台】


「なによコレー!!!AAアリ??????いつの間にかそんな趣味を広げたの!!!!アタシが一晩中戦っていたら!!!幼女!!複数!!夜戦ですって――――――――――」


怒髪天をつく、元カノ。



「AOH――――――OUT!そのネタコンプリート!OK!リテイク!」


顔を、というか、目を左手で覆い、肩をすくめて嘆く。

完全に変な怪人、いや、外人である。



俺は目が覚めた。




【太守府/港湾都市/奴隷市場の館/中央庭園/寝台右】


わたしは化蝶の叫びに目が覚めました。


(お、ちつくのよ)


ちいねえ様の小声。

左手を握ってくれました。


わたしたちは前を見ないようにしながら、ご主人様を見上げます。

安心すると、違和感が。


あら、あらら?


慌てて夜着の乱れを整えます。




もしかしたら、わたし、寝相がわるかった、かも。




【太守府/港湾都市/奴隷市場の館/中央庭園/寝台】


俺が思うに。


子供は目覚ましにちょうどいい。

いや、起床時刻前5分前後に、勝手に目が覚めるのだが。


今日のように30分以上前に叩き起こされると、二度寝したくなる。

敵襲じゃあるまいし!!!



だが、傍らで子供たちがいたら、『あと五分』とか言えないよね。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・傍ら?たち?




【太守府/港湾都市/奴隷市場の館/中央庭園/寝台前】


あたしは肩をすくめ、たのを、止めて、力を抜いた。


道化と被るのはイヤ。


眠気の無い目。

青龍の貴族は相変わらず寝起きが良いわね。

声をかける前に、あたしが渡した水を飲む。


習慣かしら?


直ぐに立とうとする。


これも習慣かな。昨日も一昨日も、そうだったし。

そして、気がついて、力を抜く。


これは一昨日からの習慣、に、まだならないか。

まあ、油断大敵ということで。


今回は事前に了解を取らなかったし、あの娘たちは遅くまで採寸をしていた。

あたしたちが戻ってきたら青龍の貴族は寝ていたし、普通にもぐりこんでおやすみなさい。

警備についていた青龍の騎士は、あたしたち三人の顔を確認しただけだった。


あの娘と妹分、二人には腕にしがみつかないよう教育しないと。

これでも戦争中なんだから。

これでも。


慌てて打掛で隠して、夜着の乱れを整えるのは正解。

あと数年くらいかな。

その薄物が似合うようになるまでに、仕草を身につけないとね。




【太守府/港湾都市/奴隷市場の館/中央庭園/寝台左】


わたくしは慌ててご領主様の腕から身を離しました。

ねえ様の視線に従っただけなのですが・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・何故?


左腕は淑女の定位置。

間違いないはず。


とはもうせ、ねえ様ですから、理由なし、な筈はないですわね。

わたくしはあら、あの娘も、ご領主様の腕を離し、内側に回って胸元に場所を確保いたしました。


ああ、最初から、そうするべきなんですね!




【太守府/港湾都市/奴隷市場の館/中央庭園/寝台】


俺はなんだか二度寝したくなってきた。

いや、5月になったとはいえ、朝方はね?この地方は冷える。


もちろん、地球の暦で5月。

異世界の暦はいろいろあるが、帝国暦が一般的。

しかも、地球のグレゴリオ歴とあまり変わらない。

これも学者が驚喜乱舞中・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・まあ、異世界転移以後、テンションが落ちてる学者なんかいないが。

(御用学者は除く)


まあ、何が言いたいのかと言えば、肌寒い。やや。

そんな極限状態。

湯たんぽ2つ、っていうか、電気毛布、っていうか、な暖かさを感じると、夕方まで寝てしまいたくなるよ。

人として。

将来(ニート/失業者/生活保護)に備えて予行演習しなきゃ!


使命感!


きらきら光る童女の瞳。

キレイダナー・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そんな綺麗な目で見ないでください。


はいはい、起きますよ。


使命感。


立派な大人、っぽい何かを演じる俺カッコいい?

いや、とっくに大人が、大人を演じてたらダメだけど。

お父さんはお仕事だからね、って言う日がくるのかな。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・来てほしいな~~~~~~~~~~出来れば向こうから勝手に来てくれるといいな。


しかし、人生設計に矛盾するような?


しかししかし――――――――――元カノのアイコンタクトは無視。




【太守府/港湾都市/奴隷市場の館/中央庭園】


あたしは妹分達を寝床から連れ出した。


もちろん、道化は追い出してから。


青龍の女将軍は気合いを入れて出て行った。

一晩中何かをしていたにしては、元気なこと。


あたしに視線を向けた青龍の貴族。何か言われる前に部屋を出た。

まあ、言わないだろうけどね。

妹分達を引き離した事は感謝されたみたいってわかるし。

そのまま少し歩いて隣室へ。


この館は奴隷市場の応接用。特別な顧客向け専用。


だから、部屋と見紛うような広い寝台や大きなクッションが各所に配置。

身支度を整える程度ではなく、歌劇場の控えのような、整った化粧室に衣装部屋が複数。


二線級でも上に評価がつく女奴隷が接客し、顧客が連れた女にも身支度を補佐するために用意は完備。

流石に本来の使い方ではないから、人数を絞り込んだみたいね。


女としてより技能を優先した奴隷が、少なめに行き交うだけ。

あたしは一番近い控えの間に妹たちを放り込んだ。

身支度の手伝いは楽しみではあるけれど、ここは専門に任せるべき?


「貴女もよ」


頭目?え?




【太守府/港湾都市/奴隷市場の館/中央庭園】


俺は夜明けとともに出された朝食を平らげて、お茶をもらっていた。

現地のお茶だが、なにやら、元気が出るらしい。


一晩中奮戦した後に最適、とか。

眠くなったり、目がさえたりはしない。


そういうお茶も別にあるそうだが、ノーサンキュー。

サンプルだけ貰った。


出来れば種も、と言ったら輸入品らしい。


とりあえず、俺だけが飲む。数日異常が無ければ採用する。


なんで俺かって?


普段から銃を構えて歩く兵じゃ危険だろ。

神父じゃ薬効か素かわからんし、坊さんが落ちたら軍政が止まる。

員数外の役人(覚えてました?)はあれで仕事は出来る。


よって、俺。


あれ、涙が出てキタゾー。いや、逆に考えるんだ!

頑張る貴方を応援したい!!!!


イイハナシダナー。




【太守府/港湾都市/奴隷市場の館/奥の間/入口】


あたしはそ~~~~~~~~~っと覗き込む。


明かり取りの天窓が解放され、寝台をかねた寝椅子に朝日が集まる。

夜は周りの燭台が光を集めるのだろう。


ここはつまり。


最初に通された広間。


つまり。


見て、触り、話し、試して・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・最高級の愛玩奴隷を品定めする場所。


そんな所を選んだのは。


「最高でしょう?」


あたしは頭目を睨んだ。




【太守府/港湾都市/奴隷市場の館/奥の間】


俺は立つのが嫌いなんだがな。椅子に座るのも爺むさい。


女がファッションショー気分に浸るのは、当たり前ちゃあ当たり前。

お袋、姉貴、女友達、彼女「何人かな?」やかまし。


「ふふ~~ん!どーよ!!」


また見事に断定的な元カノ。

どうかな、とか、疑問文でも良いと思うんだが。

いや、ポニーテールおろしたんだ。


「ソコじゃない!きれいでしょう!!」


自分から言わなきゃ誰かが必ず言うだろうに、お世辞抜きで。


「誰かってどーでもいいでしょう!あんたが言いなさいよ!」


キレイデスネ。


「うわ~ムカつく!DVしたくなるくらい」


いや、ドメスティックじゃないから、単なるバイオレンスだから。


「ちゃんと見てくださいよ!」


と、ハナコ三尉。

実際、見事ではある。


「あのクソダサい制服が、原型ですよ?志願者減少待ったなしで着ぐるみ着ても輝く美人にしか似合わない、野暮と無難とカビもはえない古臭さ」


陸上自衛隊制服、まあ、女性用はヒドいけどさ。

男のものがファッショナブルとはいえないにしても、アレはアレだ、アレすぎる。


「野戦服の方が魅力的ですよね」


あえて言わないが。


「いま、一尉殿(と自分)が身につけているのが、昨夜お見せした物をアップグレードしたものです」


確かに公式の制服とは次元が違う。

元カノと三尉は膝たけタイトスカートと黒ストッキング。ノースリーブシャツはギリギリか?

もともとの制服がもっていた曖昧さをシャープにまとめ直した印象。


服が曖昧ってなにかと思われそうだが、意図不明ということ。


機能性を追求するなら野戦服で良いわけだが、礼服は何のため?


看板だ。

秩序、精悍さ、兵種、所属、親しみ、威圧、なんでもいい。

各国各軍各組織。

看板が無い団体はない。


では。


平時において自衛隊が主張する内容。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あ。だからか。

曖昧、無難、無味無臭。気にしないでください。

特に女性用礼服を見ると二重に。


ある意味、秀逸なデザインか!

着たいと思わんけど。


それに比べてこの制服(陸上自衛隊女性用士官礼服異世界ver)は・・・・・・・・・・・・・・・拍手。


「お見事」


俺の感想に胸を張る三尉。頭をなでる元カノ。


「一晩かけて説得したかいがあったわ」


ん?自分の分も作れってか。


「いや~~~野戦服の改造なら任務って言い張れるんですけどね~」


・・・・・・・・・・・・軍政司令部の支援要請により、余剰装備を提供。

それに際して作戦上必要な装備改修を行う。


問題なし!


だが、しかし。

お前ら二人の装備改修は、合法か?


「「やだな~改修テスト後に再利用してるだけですよ」」


お前ら姉妹みたいだな。

再利用にしてはサイズがジャストすぎないか?みんなかなりばらついていたはず(神父調べ)。


ハナコ三尉が慌てて奥の扉に呼びかけた。

よし!俺は何もしらないな!


「好評ですよ~みなさんどうぞ~~~」


あ。


ハーフエルフである。5人とも軽やかに小走り。

濃い緑基調の陸上自衛隊女性用士官礼服異世界verをまとっている。

いや、原型がわかるだけだが。


タイトだかフレアだかはっきりしない原型を捨て、こちらはフレアスカートに統一。

元カノや三尉がタイトだから?


「スカートが核ですから、タイト/フレアで分けました。みんなにも両バージョン渡しています。ロングとミニがひとつづつですね。まあ、丈で冒険するのは避けましたから、こころもち、ですけど」


キュロットは許しません!

女性自衛官の主張。


スカート丈は多少バリエーションをつけたが、基本的には膝を守り、動きやすい長さ。

上はグリーンのジャケットだが、あえてサイズ、胸元だけ小さめにしている。

当然、ボタンを全部止められない。

一番サイズが大きい娘は開いたままだ。


なぜ?


「そこですよ!司令官!サイズ毎に魅力的ですけど、だからこそ、視線を集めるべきなんです!!」


胸元に。

握り拳で力説。

しかし、全体としてゆったりめに仕立ててあり、着心地は悪く無さそうだ。


「オシャレは我慢!そんなのナンセンスです!」


指差しキメポーズ。


「シャツはもちろん体型にフィットさせます。スタイルが良いからこそ、全力です」


ジャケット下はノーマルな白Yシャツ。

だが、相当に絞って体型に合わせたらしい。

当然、露出ゼロ。


「一見すると、です」


うん?

マメシバハナコノの悪い顔。


透けたりはしていない。

スカート丈は膝下。これはロングだな。

フィットしているからスタイルはわかるが。

脚はストッキング。


「ガーターですけどね。あの娘たちにも馴染みがあるアンダーですから」


・・・・・・・・・・・・・・・上はどうなんだろう。


「それより!」


三尉に背中を押された。ハーフエルフ達に近づいて、みる。

あれ?


「胸元、シャツ/スカートのサイド、あるいは前後にスリットを入れています。かなり深く」


おお!


しかし、少し離れると全くわからん。

いや、まて、これは!


「生地を複層させて 仕立てました」


なるほど!スリット部分が表裏でズレている為に、一見するとスリットそのものに気がつかない。


「こーするとですね」


三尉がピッタリと近づいて。

だが、近づくと。

例えば前か後ろの上から見ると、深くのぞき込める。


パーソナルスペース突入最接近までいかないと無理だが。



この礼服(看板)が掲げるのは何か。


『侵略』


いや、なんとなく。



服作りってのは、奥が深い。

ハナコ三尉とは旨い酒が飲めそうだ。


あ、上がどうなっているかわかりました。スイマセン。

だが。

そうなると黙っていれない奴がいる訳で。


「マメシバ義勇兵!またしてもあんたは小細工を!」


階級外か!


「特定の誰かだけにチラ見させたい!女の子ならあたりまえじゃないですか!!!」


えー?


「特定の誰かの視線他全てを独占する!女の常識よ!」


恐いわ!


「全ての男が見つめる雌に、自分だけがすり寄られたい・・・・・・・・・・・・・・・それが男ですよ」


元カノ、ハナコ三尉、盗賊ギルドの頭目、三人が見つめあう。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・三尉が手を伸ばし、頭目が応えた。


「男性の視点がありませんでした」

「それが加われば完璧ですね」


いいはなしかな~。




【太守府/港湾都市/奴隷市場の館/奥の間/控室】


わたし、ねえ様、ちいねえ様。あの子と、戻ってらした、あの子のお母さん。


いよいよ、わたしたちですね!

ねえ様。


「そうよ、ええ・・・・・・・・・」


どうされたのでしょうか。

裾を握って・・・・・・・・・・・・。


「パレードでどうでもいい人に見られるなら平気でしょうに」


パレード?え??

そうおっしゃるのはあの子のお母さん。頭目さん、というより、お母さんな印象です。


「嬉しいけど、シーっよ」


あは。ですよね。


ねえ様?何もおっしゃらない、聴こえていないみたい。


「怖いのよ」


ねえ様が、頭目さんを睨みます。なにか、怖くない、ような。


「怖くて恐ろしくて嬉しいこと♪」

おまじない、でしょう、か?

頭目さんが歌を続けます。

「たった一人の目が怖い♪」

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