犯人はみんなそういうんです。/世界最優秀警察規準
登場人物&設定
※必要のない方は読み飛ばしてください
※すでに描写されている範囲で簡単に記述します
※少しでも読みやすくなれば、という試みですのでご意見募集いたします
一人称部分の視点変更時には一行目を【語る人間の居場所】とします。
次の行、もしくは数行以内に「俺」「私」などの特徴となる一人称を入れます。
以下設定を参考に誰視点か確認いただければ幸いです。
(書き分けろ!と言われたら返す言葉もございません)
【用語】
『Colorful』:ハーフエルフの最高級愛玩奴隷たち。髪の色がいろいろなために神父により命名。一人一人の名前も髪の色に合わせて白・朱・翠・蒼・橙と主人公に名づけられた。前領主(帝国太守)が奴隷商人に発注し、引渡し前に戦争開始。占領軍の太守資産接収に伴い軍政司令官に引き渡された。軍属として雇用契約を結んでいるので日本の労働法が適用される。
『ハーフエルフ』:エルフと人間の間に生まれた混血種族。エルフに似た美しい容姿と不老、不妊、それ以外は人並みの種族。異世界全体としてすべての種族から迫害されている。出会い頭になぶり殺しにされるのが、異世界の常識。
『国際連合』:the United Nations/連合国、の超訳。異世界転移後の人類社会の総意を体現する組織。と国会で決まった。加盟国のほぼすべての外交防衛権を委託されている。黒幕は日本の一衆議院議員であるとマスコミに報道されている。
『連合与党』:日本の政権与党連合。幹事長が全権を握っており、異世界政策が与党連合最大政党内の会議で決められていく。
失敗する可能性がある限り必ず失敗は起る。
これは工学上の常識だ。
努力、理念、精神力、資金に資材、積み重ねた体験に研鑽された技能。
無意味である。
何をどれだけつぎ込んでも、失敗一つですべて失われる。
投じたモノが多ければ多いほど、それが価値あるものであるほど、損害が大きくなるだけだ。
訂正しよう。
無意味というより有害だ。
で、あれば、解決は簡単。
「失敗できない仕組み」を作ればいい。
それは意外に簡単な構造で出来ているのだが。
一番簡単で解りやすい例がある。
日本国憲法。
大日本帝国憲法を切り刻んで、造られた仕組み。
合衆国を追い出された理想主義者たち。
合衆国の歴史上唯一他民族を支配することに成功した合衆国軍のエリートたち。
史上最悪の敵を倒すために総力を挙げてかき集められた「日本」についての研究家たち。
彼等は主に合衆国軍の欲求に基づき、日本を維持することを優先した。
冷戦がまだ熱戦となる可能性を含んでいる時代。
策源地たる日本を失うことは、合衆国軍の半分を失うこと。
そのための仕組み。
ひとつ。
平和主義。
正面切って唾棄することができない大義を掲げて盾とする。
これでどの国に対しても、少なくともゼロではない一定の支持層を確保できる。
リアリストは全ての人から恐れられ警戒される。
ロマンチストはバカにされても恐れられない。
そういうこと。
ふたつ。
憲法第九条。
戦争ではなく「日本独自に行う戦争」を不可能にする。
明文化された規定。
規定を破ろうとすれば必ず国論が分裂する。
その時点で戦争遂行は不可能になる。
みっつ。
憲法前文。
国際社会への関与を謳いあげ、国際連合とのかかわりを強制する。
ゆえにこそ、国際連合の行動に協力せざるを得なくなる。
国際連合には戦争遂行規定が存在する。
三つを合わせる、こういうこと。
日本は単独で戦争に訴えることができない。
日本は国際連合が主導する戦争には参戦するしかない。
結果。
日本は「常に多数派に寄り添い勝ち馬に乗る」ことしかできない。
制度的に。
民意がどうあろうと、指導者が何を考えようと。
最高法規を変えない限り。
これは地球社会があり続ける限り、効果を発揮する。
これは一例だ。
そして、これが二例目になる。
地球社会が無くなった、地球人類社会において。
社会工学上の常識にのっとり「失敗できない仕組み」をつくる。
一年以内に。
つまり、そういうこと。
《東京都世田谷区某所衆議院議員私邸》
【国際連合統治軍/第13集積地/駐屯地居住区/共同浴場】
俺はColorfulを見た。
もちろん、通訳してもらう為。
日米友好和英英和コミュニケーション相互理解。
それを異世界人に取り持ってもらうため。
狂ったのかオマエは
――――――――――って思うじゃん?
驚く無かれ、理論的には成り立つのだ。
仮名メンゲレ大尉がドイツ系かは知らないし考えない。
合衆国最大人口はドイツ系って話だけどね。
だがここで注目すべきは、話し言葉。
ややなまった発音だが、明らかに英語圏。
ヒスパニック系が無理やり英語している感はない。
もちろん英語といっても、英国か豪州北米か、俺の耳では判らない。
まあ判らないことは、どうでもいい。
俺は目先のことしか知らないし気にしない。
好奇心は猫を殺す。
いかん。
猫を殺してまで何を知りたい?
好奇心のためなら、多世界を壊しても気が付かない
――――――――――――――――――――――――――――――最近表面化した方々。
学者学生研究者プロアマ問わない好事家趣味人マニアにヲタク。
国際連合謹製〔AHURAシステム〕。
国連軍部隊が収集した画像や非戦闘データをただただただただ垂れ流しているオンラインサービス。
レイオフ率60%オーバーで識字率ほぼ100%。
インターネットアクセス不可能な人間ほぼ0%
そんな異世界転移後の日本人。
そんな暇と余力と好奇心を利用した、地球系人類の知識神。
そんな中。
インターネットは匿名と信じ込んでいる利用者。
まったく登録も何も必要ないサービスだから大丈夫と思っている情報弱者。
アクセス履歴や発信データを特定され、次々とUNESCOに徴兵されている
インターネット、すでにして日本列島限定のナショナルネットだが、まあ、国連加盟国は全部そろっているので間違いはない。
その基幹部分が国際連合軍に物理的に抑えられていることは、意外に知られていない。
調べればすぐにわかるけどね。
よくあるよくある。
だからネット接続している端末がどこにある端末かということまでリアルタイムですべて特定できる。
通信内容もなにもかも、全て確認できている。
そりゃー、国連軍発足前の準備期間に、武力で抑えようって気になるわ。
ふらいんぐの部分はともかく、いまそれを完全に国連軍が管理していること自体は合法です。
国際連合協力法(国連平和維持活動協力法の改訂版)に基づい、都内各所に国連軍が配置されているのと同じ。
水性塗料でUNって書かれブルーヘルメットを付けた国連軍、国連平和維持軍。
実態は?
政権与党有力議員の、出身県県警部隊。
国連の黒幕と、大抵の日本人が知っている政治家と仲がいい合衆国大統領が率いる在日米軍。
さらに日本政界の黒幕と日々ニュースで糾弾されている幹事長と仲がいい国々の、アジアアフリカから中東欧州南米にまたがる国々の部隊。
嘘か真か、日本列島内部で活動していた公式には昔から変わらぬ友好関係にある国の破壊工作組織がどこかの個人に降伏して、傘下に加わっているとかなんとか。
ニューヨークの国連本部だって合衆国の施政権は及ばないしね。
だからわざわざ、都内各所に国連施設を散らしたんだろう。
場所が無いとかなんとか言い張って。
そんなこんな、な事情であらゆる知的好奇心を全開放して過労死するまで戦える人たち。
彼等は法律で言われる、休ませる義務、すら超越したところで趣味に耽溺している。
もちろん違法だが。
労働法的に。
異世界。
解剖して解体して再構成して理解して人倫ってなに?
もちろん合法だが。
国際法的に。
俺はそーいう好奇心の奴隷とは違うのだよ。
国際法も、それより重要な労働法も、人としての道もだいたい守っている。
ほんとです。
で、いますぐに必要な非異世界コミュニケーションの円滑化。
地球人同士に生じた文化摩擦。
それは誤解に違いない。
具体的には俺とメンゲレ大尉の間。
距離3m。
なんか、心と体の距離が開きました。
事態は悪化中。
英語文化圏人が日本語を学んでも、その逆でもだが
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・絶対に翻訳仕切れない。
所詮、頭の中で置き換えてるだけだからね。
同一文化でもなければ、概念が一致することは有り得ない。
同一文化でもズレが出るくらいには、難しい。
だからまあ、地球人同士は、諦め合うしかない。
諦め、の表現にバリエーションはあるけどね。
だいたいこんなもの、で妥協していると言えば聞こえがいいか。
しかし、異世界人と地球人の間なら?
――――――――――そう!!!!!!
魔法翻訳!!!!
文化の相違や個々人個体差を超越!!!!!!!!!!
これならダイレクトに概念同士を直結出来るのである!!!!!!!!!!
ならば?
そう。
AとBを繋げる。
BとCを繋げる。
さればAとCは直結したも同然??????????
つまり魔法翻訳を、地球人同士に導入出来る。
と、思いついた。
ならColorfulじゃなくてもいい?
異世界人でさえあれば、地球人とのやり取りに自動で魔法がかかるじゃないか?
――――――――――とは、いかない。
ダイレクトに直結した場合、魔法翻訳のデメリットも受けるからだ。
互いの感情や先入観の影響を受け、バイアスがかかる。
一般異世界人では、地球人と重なる認識が少なすぎる。
その不明確な部分を埋めるのは、恐怖と怯え。
俺たち地球人
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・黒髪と黒い瞳への。
だから、この思い付きを実現するには条件がある。
地球人の思考に慣れている。
異世界の広い知識をもつ。
ここまでなら、シスターズでもいいよね。
ソレに加えて、翻訳対象に偏見が無い、ことが必要。
恐れとか、畏怖とか、強い感情を俺やメンゲレ大尉に抱いていたら、翻訳結果がそれに引きずられてしまうからだ。
俺だけなら、シスターズ&Colorfulは怖がったりしていない。
んが、メンゲレ大尉に、好感を抱いていないのはわかる。
馴染む間もない初対面。
パーソナルスペース越えの近距離。
無防備な入浴中。
子供が怯えるのも仕方がない。
まあ、メンゲレ大尉はあまり子供慣れしてないようで、気がついていないが。
通りすがりの猫に逃げられるタイプ。
姿勢を低くして、身動きを少なくして、ちょっとした合図から始めましょう。
猫と子供への接触方法。
だが、大きい子たちColorfulは、それほど怖がっていない。
既に湯船にいたから、メンゲレ大尉と距離がある、っていうのがまずある。
メンゲレ大尉が俺たち、俺とシスターズに注目しているから外野の立場にいた、ってのも大きい。
単純に小さい子、お嬢と真ジョット、それを守るエルフっ子ほどには警戒してかかる理由が無い。
ということだろう。
よってColorfulが最適だ。
普段から」国連軍の作戦で、翻訳作業をしてるしね。
フッフッフ、マルチリンガルを超えた、スーパーソウルリンガル。
地球のあらゆる言語を話し聞き読み心情まで理解して伝えられる。
理想的同時通訳者。
異世界=地球間を越えた価値。
異世界と関わらなくても生きていける価値。
これは将来にわたって、大きなアドバンテージ。
必要である限りは尊重され守られ続ける。
美しいこと自体が弱点になりうるハーフエルフ。
必要なのは自身を含む個人の力なんかじゃない。
あやふやな同情や、あいまいな嗜好、ふわっとした理想じゃない。
もちろん、一時滞在者でしかない国連軍将校の感情じゃない。
地球人類社会に組み込まれることだ。
偉い人たちに認めさせてやるぜ!
【聖都北辺/青龍の軍営/幕舎内湯殿/青龍の貴族/背中側】
あたしにも判る
――――――――――青龍の貴族、その求める物。
遠慮がちに湯舟の縁に座っていたColorful。
今夕の湯あみで、いち早く湯殿に入った五人。
先に肢体を磨き上げ、あたし、あの娘や妹分に場所を譲った彼女たち。
隠す物がない肢体。
姿勢と互いで半ば隠し、半ば開き彼には見えるようにして。
いつ求められても応えられるよう、湯あたりに気をつけて。
待つ姿勢をはっきり魅せる。
何気なく囁き合い、待たれる重荷を被せぬように。
そんな彼女たちに彼、青龍の貴族、彼の身振り。
みながそろって、応え、皆、いそいそと寄って来た。
橙が滑りかけ、碧が支える。
先に跳びだした朱は、二人見て速度を落とす。
翠が彼、青龍の貴族を見てから、あたしを見る。
ゆっくりと湯を分けて進む白。
仲良しね。
主を巡って、争わないように、そのように育てられている。
それは美しさの敵で、主に可愛がられる邪魔にしかならない。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・反省しよう。
滑らかで、互いを支える姿も艶っぽいけど
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・緊張してたのね。
彼の身振りに応え、命令を求めたとき。
返事が揃えてるんじゃなくて、揃っていたわ。
ずっと、ずっと、緊張しているように見せずに、備えていたの。
ずっと期待して、一瞬の機会も逃さぬように。
だからみな同時に返事。
だから、本番で失敗、と。
橙だけじゃなく、みんながどこか、ぎこちない。
それもまた、愛らしく、微笑ましい。
だから青龍の貴族に、呼ばれた
――――――――――側にいるのに、あたしたちが。
ダメダメダメダメダメ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・妬む前に、見習わなきゃね。
彼は問う。
目の前のメンゲレ卿を見て。
寄り付き跪き、彼の左右についたColorfulへ。
彼、青龍の貴族を覗う娘たち。
その肢体に一瞥もしない、青龍の貴族。
もう!
「メンゲレ卿の意向が判るな?」
一言。
当たり前のことを、問いかけられた。
これは質問じゃない。
Colorfulが、あたしも、あの娘も固まる。
――――――――――言わせるの??????????
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・言わせるんだ。
羞恥で真っ赤なColorfulに、容赦のない命令。
秘め事を、あえて言葉に変えさせて、刻みなおす、玩ぶ。
Colorfulは、あたしたちだって
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・うん、逆らえない。
橙が、口を開いて口ごもり。
翠が、あたしを見て許しを請い。
碧が、皆を見回して。
朱が、真っ赤になってうつむいて。
白が、頷いた。
【国際連合統治軍/第13集積地/駐屯地居住区/共同浴場】
「我が君が、皆を孕ませるところを確かめる、そうです
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 」
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りぴーと、てる、みー?
「その、あの」
あ、まずいか。
やっぱ中止。
「「「「「我が君がこの場にいる女を孕ませるように見張っているそうです
」」」」」
わかった。
聴こえた。
大丈夫。
「 」
「 」
「 」
「 」
「 」
すっごく、赤い顔をさせて悪かった。
深呼吸~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~。
謂われのないペドフィリア疑惑が俺を襲う!!!!!!!!!!