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完全侵略マニュアル/あなたの為の侵略戦争  作者: C
第五章「征西/冊封体制」

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人間の使い方/Lemming.

『暴力装置』:対象の意図希望欲求を正確に洞察するように努めつつそれを全否定して国際連合決議に従属させるシステム。


「死にたくない」

「生きたい」

「助けて」

などの意思表示を受けて

「念のために頭部に一発撃ちこんでおく」

「墓穴を掘るまで殺すな」

「煩悩からの解放」

に変換される。


本来は国家の強制力、軍隊や警察への揶揄から生まれた言葉。


異世界転移後、国際連合軍事制裁/平和創造活動が盛り上がるに従い反対派に流用された。

しかし国際連合軍の事実上トップである合衆国大統領が気に入って安全保障理事会議事録に定着。反戦運動内では禁句扱いとなる。


「パン屋も軍人もおなじ。パンを焼くか、人を殺すか。それだけの違いよ」


などと言い切る大統領は、


「『バカが気取るなすぐ殺せ』より字数が少ないでしょう?」


と言ったとか言わないとか。


軍や戦争を


「語らせる/記述させる」


場合に限り冗舌になる趣味人からの批判は強いが、異世界派兵訓練キャンプ《ハートマン》の訓練軍曹は


「ヘルメットかけにもならない西瓜頭をナデナデしてもらいたいだけのセンズリ野郎がマスカキながら言葉狩りするならFPSソロプレイでアヘ死してダーウィンアワードにエントリーしてやがれ」


と笑い飛ばしている。

伝統的かつリアルに


「今日からお前ら殺人機械な」


と新兵を罵倒している人々は基本的に趣味人を軽蔑しているので当然の反応ではある。



なお、ダーウィンアワード・webサイトは異世界転移後、ノーベル賞委員会より早く再開されている。



「全財産を失い、投獄を繰り返し、運が良かったから助かった。

あなたはナチスで、ドイツ人で、死の商人です。

何故、ユダヤ人たちを助けたのです?」



なぜ朝日は東から昇るのか教えてくれ。

そうしたら、アンタの何故に答えよう。


――――――――――オスカー・シンドラー




「命令に従っただけだと?

ならアンタは、国家が命じれば父親でもガス室に放り込むのか!」


検察官。

あなたは父親の為ならば法律を無視すべきだと言うのですね?


――――――――――アドルフ・アイヒマン



助けてくれた人がいた。

助けてくれなかった人たちがいた。

助けられなかった人々は何をしていたんだ?


――――――――――イスラエル建国後、戦後世代から生じた問いかけ


※絶滅収容所移送に伴うゲットー解体時、武装してナチスと戦った者も、いなくはなかった。

研究が進んでいないために詳細は不明。





【異世界大陸某所入り口/迷宮攻略研修】


さて、ここまでが帝国軍の迷宮攻略準備でした。


数がそろい、人材が集結し、技術を行使すれば、後の手順は極めて単純。



まずは組織がくみ上げられます。


槍兵、弓兵、遠距離精密攻撃と使い魔に長けた魔法使い。

あとは、経験豊富な監督官。

――――――――――指揮官ではなく、監督官です。

作戦指揮官は別にいます。


手順が決まっていますから、指揮を執る機会は少ないようですが。


さらに経験を積ませる為に、見習いが伝令を兼ね各所に配置されます。帝国は世界制覇を前提として組織されていますから、後継体制の維持には気を使っているのです。


およそ世界中の迷宮や遺跡を探索しつくしてしまうつもりだったのですね。




では、具体的な事例を。

これはこの迷宮でも、よその迷宮でも行われた作業テンプレートですので。



組織の編成に一週間程度。

終わったら、順次機能開始



まずは徴集された領民たちからなる掃討部隊が前進。


掃討部隊の役割。

地下迷宮内部にて、罠や危険な生物を発動発見「させる」こと。


それで一区画でも安全化出来れば僥倖ですが、そこまでは期待されておりません。

五体満足で健康である、何の特殊能力もない、まあ身分経歴はマチマチですが、能力は一般的な方々ですからね。



彼らにも誰にでもできるように、掃討部隊が命じられる方法は簡単。


十数から百人程度で隊列を組ませます。

迷宮の通路に合わせて人数は調整。


迷宮内の通路や部屋を、隅々まで覆って歩き回れるように、場所場所に合わせて細かく調整するのです。


そして一人一人、丈夫な縄、細い鎖で繋ぎます。

ドラムを鳴らします。


リズムに合わせて

――――――――――前進させます。



落とし穴の中で串刺しになり。

吊り天井に押しつぶされ。

仕掛け矢に射貫かれ。

煮えた脂に焼かれ。

酸の池で溶ける。


モンスターに喰われ、魔法に呪われ、ゴーレムに轢殺されても、迷子にはならないように配慮。まあ、誰もが繋がれて、監視下にあるわけですから迷子になりようもありませんが。


これで、迷宮のマッピングを進めます。



迷宮通路上のトラップの数々。

落とし穴、落石、火攻め、水攻め、仕掛け矢などなど。考えられる限りの、物理的な罠はこれで大半が解除されます。

解除とは、一人一人、あるいは一度に数十人から百人以上が、あらゆるトラップにかかること。


ああ、つまり、地雷原を潰す爆導索と同じですね

――――――――――考え方は。



地雷のもっとも安全な除去方法は、爆破処理。

罠も地雷と同じように、発動させれば終わりです。

多くの場合、一度だけ動く罠が、配置を工夫していくつか仕掛けられてある。罠に罠を重ね重ねるような贅沢は、普通しません。


侵入者を拒む場合はそれで事足りるんですね。

目の前で誰かがミンチになってなお、次の誰かが圧死してなお、前進する勇者はいませんから。

それが

――――――――――迷宮を造る側の想定範囲。



帝国はそんな常識をあっさりと乗り越えてみました。迷宮建設者も、こんな方法を使われるとは思わなかったでしょう。

無尽蔵な人海戦術で、迷宮攻略に挑まれるとは。



掃討部隊の領民たち。

攻略が進むと生存率は徐々に上がるそうです。

罠がへっていきますから1%未満から、最終的には平均30%台まで。



それだけに効果的でしょう?

仮に解除に至らなくとも、複数回、あるいは果てがない魔法の罠も確認だけはできます。

モンスターの位置と能力など、実際に誰かが襲われないとわからないことですよね。


さらに、情報だけではないのです。



モンスターは、つまりは動物。

攻撃性の理由は食欲や縄張り意識、たまに手慰み。


腹が膨れた方がおとなしくなり、扱いやすい。


最大の攻撃要因が無くなるわけですから。

別に迷宮攻略ではなくとも、帝国対モンスター戦マニュアル、らしきものには明記してあります。

――――――――――適当な生き餌を与えて、満腹直後を狙うべし。


モンスターの大きさから、推測される満腹量換算表付き。生き餌を何頭、何匹、何人喰わせれば満腹を狙えるか。

経験で判断できることをマニュアル化しているのですね。



まあ迷宮攻略の場合、生き餌には人間しか考慮されませんが。家畜が貴重な世界で人間は集めやすく、コミュニケーション可能で概ね従順ですからとても使いやすい。



罠やモンスターの口に前進させられた後、無力化された掃討部隊要員は速やかに廃棄。

動けなくなれば使い道がありませんから、死亡確認はしませんね。

員数外廃棄物とみなされます。


罠を人体で埋め潰すならばともかく、放置しておけば邪魔です。

探索の為にも、迷宮通路を塞ぐ訳にはいきませんから。


罠やモンスターに出くわして体が残っていれば、最初から繋いである縄や鎖で後方に引きずり出されます。このやり方であれば、複数回発動する罠や暴れ続けるモンスターを避けて、死体らしきものを排除できます。



死体廃棄の為に死体をだすコストはほとんど生じません。



そして引きずり出した死体、あるいは命が残っているかもしれない体。

ほとんど単純に捨てられます。

一部は落とし穴を埋めたり、その場で必要な対抗魔法の素材になったりもするそうです。


再利用を考えなければ竜の炎で焼いてしまいますが、餌にはしません。毒や呪いで殺される例も多く、竜の餌にするには不適切だとか。



次々と死地に追い込まれて死んでいく掃討部隊ですが、もちろん逃げられません。



距離を置いて槍や弓矢で狙われているから?

魔法使いが罠ではなく掃討要員に向けて魔法を練り、使い魔を飛ばしているから?

でも、ないようです。



大半の、死ぬためにだけ集められた彼らは

――――――――――実際には、多くの期間、多くの者が、帝国軍の作業に対して積極的に協力します。


一番危険な場所への志願者を募ると、大抵は応じるそうです。危険を積極的に侵した者は、ある意味で、報われるからですね。


死に向かう作業に協力的な者は、生き延びることができれば配置換えされます。

一時的に死体を運び出す役目を割り当てられます。

危険の度合いが高ければ、期間が長くなる。



死体の大半は、トラップ解除後のエリアに多い。


つまり、比較的安全、なのです。

一度に百人が酸の海に落ちる前方に比べれば、ですが。

最後には最前線に戻されますけれど。


比較的安全な役割は、常にありますが、交代制。

よって、競争が生じます。

他人を押しのけてでも、危険を冒します。それを、見張りの使い魔、その向こうの監督官にアピールして、やや安全な場所に下がるのです。



罠があるのかどうかわからない最前線。

幾度も続けて繰り返す、いつ襲ってくるかわからない死。

絶え間なく続く不安と恐怖。


確実に罠があるとわかっている死地で、わずかな生存を得られればもたらされる安全地帯送り。

一度は死を覚悟することで、一時の安全を得られる可能性に賭けるほういがいい。

――――――――――そう考えるんです。



もちろん安全というのは思い込みで、安全地帯だと思っていた場所が累積トラップで一気に崩落したりすることもあるんですが。

もちろん、そうなれば片付けていた死体と一緒に圧死。


帝国軍は彼らを守ったりしません。

治癒も防御もなく見捨てるだけです。


それでも迷宮探索最前線よりはマシに見えるようです。

こうして掃討部隊の士気を維持しながら帝国の迷宮探索は進みます。




一通り確認が終わった後、また同じ手順で同じ場所を歩かせます。見かけの生存率はここで稼がれるんですね。


通常の仕掛け罠ならば、一通り発動させれば終わるのですが。

魔法トラップが一番厄介だそうで。

効果が一回では終らないことが多い。


いつやってくるかわからない侵入者に備える、長期間維持できる魔法の術式を整えるのは時間がかかる。

手間暇かけるなら、ついでに複数回分仕込んでいこう

・・・・・と迷宮建設者は考えるのだとか。



だから、ソレを解除する側も、複数回を前提に段取りを汲みます。

罠発見用の掃討部隊。

罠を発見した後も、その罠の効果切れが確認されるまで、突入を命じられたりするわけですね。


繰り返し繰り返し。

死ななくなるまで。

死者と生者を入れ替えます。


綱や鎖で縛られた死者が、罠魔法の効力範囲から引きずり出され。

綱や鎖で縛られた生者が、罠魔法の効力範囲へと突入させられる。



この過程を帝国の魔法使いが観察しているのですが。


突入する人間の種類や人数で罠の発動条件が違うのか?

罠に使われている魔法の術式はどのように発動してるのか?


それを見ているのです。



直前に突入させられた者たちが全滅し、次に入った者が助かる。あるいは、魔法の効力が弱まり、突入させられた者の大半が死んでも、一部だけが生き残ることもある。

その瞬間は必ず来ます。


あくまでも複数回、でしかなく、魔法であっても永続することはない。



そこに投入される掃討部隊の要員から見ればチャンスでもある、ように感じるとか。

先に申し上げた志願者が集まるのはこんな時ですね。


なにしろ全滅が繰り返された後で、次の回は全員生き残ることもあるわけです。危険が大きいだけに、効果が切れた瞬間に居合わせれば、迷宮入り口付近、死体を迷宮から放り出す役目になれる。

そこであれば死ぬことはありません。

――――――――――しばらくは。




もちろん、最終的には殺されます。

動員された領民は一人残らず、殺されます。


迷宮攻略が終わった後に生き残っている領民。

生き残りは必ず出ます。

物量至上の帝国軍。

消耗品の罠感知・排除用の領民は十分な余裕をもってそろえられますからね。



しかし帝国が、せっかく入手した迷宮の情報。

それを最前線で見聞きした部外者を生かしておくわけがありません。


そもそもがいなくなっても困らない者を中心に選んでいるわけです。

足りなければそうした配慮も後回しにはなりますが、迷宮の情報と引き換えならば領地が荒廃して邦が滅んでも何の問題もありません。


――――――――――帝国にとっては。



では、動員される領民にとっては?

この段階に至っても、領民は従ったままです。

帝国は、一応、最終段階においては兵を増強するようですが

・・・・・・・・・・・・・・・反乱に備えるのではなく、後片付け用です。


後片付けに領民を動員していたら、また情報漏えいを危惧しないといけませんからね。動員された兵士たちも地元に関わりがない遠隔地の徴集兵を使います。


ああ、兵士が領民に同情する、なんて考えていません。言葉が通じなければ始末する領民から情報が漏れないからです。



そんなポジションに選抜された領民たちは、なぜ最後まで帝国に従って死ぬのでしょうか。




つまりは、こういうこと。


人は死刑執行の順番を遅らせる為なら、なんだってやる。

毎日毎日、繰り返し虐待された者が、ある日、あまり殴られなかっただけで虐待者に感謝するようになる。


それが当たり前なんですよ。



わたしたちは、期待します。

自分のイメージに合わない人間の行動が異常であることを。


その他に理由を創る。


脳の隠された機能が原因?

超常の力が及んだから?

洗脳された?

精神異常?


科学的な結論は出ています。

まったく残念なことに

――――――――――――――――――――――――――――――悪魔なんていない。




強制収容所や絶滅収容所が、驚くほど少ない警備で円滑に運営されていた様々な事例の通り

――――――――――地球人と、変わりません。



殺されるくらいなら闘う。


ソレは人類の少数派

・・・・・・・・・・・・・・・・だから、帝国兵に、直接殺される数は、少ない、と。




かくして、罠の大半が解除されれば?

地下迷宮の探索は半分終わったも同然です。




人海戦術によるローラー作戦が地下迷宮を無力化していく。

それが迷宮攻略作業の大半です。

しかし、中心ではありません。



作業の進捗に合わせて攻略チームも投入されていきます。


無数の罠やモンスターがの中で、いくら人間を投じても無力化しなかったモノ。

それは迷宮深部に進めば進むほどに増えていきます。


貴重な何か、がしまわれている場所に、近づけば近づくほどに凶悪化するソレ。

ソレを最終的に解除撃破するのが攻略チームです。




――――――――――最終的に、といいましたね?


そう、攻略チームが障害を排除する前に、解析チームが調べるからです。両チームは共同行動をとることが多く、前衛と後衛を切り替えます。


まず最初は、解析チームが前衛。

なぜならば、罠やモンスター自体が、宝でもあるからです

――――――――――帝国にとっては。



撃破して解除する前に、確認して知識を収集しなくてはなりません。




迷宮は何がしかの施設跡、もしくは墳墓や宝物蔵の一種だと考えられます。

いずれにしても貴重品には鍵をかける。

それは多世界共通でした。


その鍵が、防犯ベルや罠やモンスターであっても、目的は同じ。




―――――貴重品を守ること―――――



まあ、貴重、というのは迷宮建設者にとって、です。実際に解明が終わると、罠の方が貴重な場合は少なくなかったとか。



名も知れぬ太古の要人の死骸。

死骸を守るのが、失われた呪いの術式。



どちらに価値があるのかは、言うまでもありませんね。


ゆえに帝国は、まっすぐ宝物には向かいません。

まずローラー作戦中にも大雑把ではありますが記録をとっています。動員され罠の中を歩く領民の周りには、監視の使い魔、監視役に抜擢された領民などがいますから。


被害、帝国側から見て、成果が生じれば聞き取り調査が行われます。もちろん、複数回発動する罠やモンスターの場合はその場で追試が行われ、更に聞き取って証言を比較検証。


更に詳細を確認する為に、解析チームが現場に派遣。

チームには子供が3人つけられてるそうです。

専門家による追試の為ですね。


もちろん攻略中の迷宮内には、常に兵站部隊が巡回。

どんな装備でも、減ればすぐに補充されます。


それは扱いやすい、しかも状態を申告出来る、使い捨て偵察ポッド。これで呪いや仕掛けの効果、モンスターのスペックなどを確かめます。


迷宮の性質上、遅効性の罠はあり得ません。守るべき物や情報を盗まれた後で、盗人を殺しても意味がありませんから。

ですので、その時点でかなりの成果が見込めるようです。



そして見極めが済んだら、攻略チームが前衛にたち、罠を解除してモンスターを倒す、と。まあ、可能なら罠やモンスターを回収しますが。




こうして、地下迷宮の最深部まで踏破します。

概ね、帝国が地下迷宮を知ってから踏破完了まで3ヶ月。

実質2ヶ月は攻略資源準備にあてますから


――――――――――口伝の回収、人材の確保、領民の集結(収容所の建設を含みます)――――――――――


実質的な作業は1ヶ月ほどでしょうか。




数百年、世代を超えてそびえ立っていた、ナニか。

それが帝国のアーカイブに収められます。

それはこの異世界全体を解析する貴重な情報であることは言うまでもありません。


帝都調査作戦の主目的、の一つ。



ああ

踏破完了後、ですか?



迷宮は博物館扱いですね。

基本的に立ち入り禁止として、帝国異端審問官が管理します。魔法使いや魔法学校の生徒などが、研究や研修に使うようです。



ですから基本的に迷宮は攻略前の状態に戻されます。


なにぶん異世界では記録装置が発達していないですから。ほぼすべてが文字とイラストで記録されますけれど

・・・・・・・・・・攻略や解析チームには優秀な絵描きが随伴するそうです。


ですが、限界があります。

記憶が薄れず、攻略用に使用した領民が残っているうちに迷宮の復元は行われます。

以前以後に確認された、別の迷宮との比較検証に使われる。


復元した迷宮は、それ自体が貴重な記録として扱われ、保存されます。そのために必用とあらば、迷宮補修人員が永住する街をつくるくらいです。



罠。

モンスター。

魔法。

構造。

装飾や意匠。


幾多の迷宮を比較検証すれば、現在の異世界以前、どのような文明があったのか。それは明らかになるでしょう。

楽しみなことです。




ですから、皆さんの前にある迷宮も、罠が張り巡らされています。


ええ、中に逃げこんだ方々も、地下第一層あたりで足止めを喰らっているようですよ。帝国が攻略を開始する前の段階で、地下三層までが踏破されていたみたいですけれど。



・・・・・・・帝国の復元作業は、迷宮建設時にまでさかのぼりますからね。


素人のトレジャーハンターや学者が乱雑に解除した罠の記録や痕跡、倒されたモンスターの伝承や骨。

帝国の専門技術で確認された生きている罠やモンスターの情報。

広くほかの地方で確認されている類似迷宮の構造や仕掛け。


それらを帝国の専門官がまとめ上げて、ありとあらゆる仕掛けを再現しておくわけです。



解除済の迷宮第三層までの記憶しかない人々が踏み込めば、いい餌食になるだけですね。

なりましたけれど。



幸いモンスターが居ませんから、全ての仕掛けを傷つけないように、迷宮の掃討は可能でしょう。ああ、さすがに迷宮内部のモンスターを再現すると、それ自体が迷宮を破壊しかねないので。

帝国が攻略後に再現するのは、トラップ類や構造物だけのようです。




中に逃げ込んだ方々の素性、ですか?



なんやかんやあって、UNESCO調査部隊ともめた方々です。





では、とりかかりましょう。



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