ガイドライン/ Landmark
『国際連合軍』
(United Nations Forces)
:国連憲章第七章に基づき編成される、軍事力。安全保障理事会が軍事参謀委員会の補佐を受けて指揮を執る。その目的は安全保障理事会が認定した「脅威」に対して武力を行使して無力化すること。なお、指揮を執る安全保障理事会は、その存在と行動に対して、支持も承認も必要とはしない。
※国連総会は安全保障理事会に対して「勧告」ができる。
※国連憲章に規定されている事実であり、物語上の設定ではありません。
経典とは「道しるべ」のようなものです。
教えの通りにするべきだ、というものではありません。
教えの通りをできる範囲で目指すものだ・・・・・でもありませんね。
では、なにかといえば、
「今、此処にいます」
ということです。
北極星を見れば、おおまかな北が判ります。
向かって歩く人はいるでしょう。
他の方角を知る人もいるでしょう。
でも
「北極星に行こう」
とする人は、あまりいないんじゃないでしょうか。
「北極星になろうとする」
にいたっては、まあ、おちついて、考えましょうか?
経典を見て、立ち位置が判ったら。
東に行きますか。
西に行きますか。
南でも北でも、それとも、立ち止まってみますか。
進むにせよ、流されるにせよ、俯くにせよ、星は貴方の向きを伝えます。
「教え」
というのは、そういうことです。
《国際連合軍文官との雑談より》
【太守領西部/西の山/その麓で一番風光明媚な隠しスポット/青龍の貴族、その右ゼロ距離】
「開けた♪」
わたしには、何故か、解りました。青龍の女将軍さんの、つぶやき。
その意味
――――――――――棄てられるはずの、贈り物。
ご主人様の贈り物。
西の山のドワーフさんたちは、見栄をきられました。
絶対に受け取らない。
ご主人様は、試されました。
なら、証してみせよ、と。
贈り物。
受け取らせた後、西の山のドワーフさんたちのお家に運ばせました。
棄ててみせろ。
棄ててみせる。
ご主人様と、よそのドワーフさん。
――――――――――それは、誇りの問題――――――――――
何故そうなるのかは、わかりません。
わたしが魔法使いだから?
わたしが女だから?
わたしが
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・大人じゃないから?
ただ、わたしが見えていなかったモノ。
お酒の席にしか見えなかった、でも、そうじゃありませんでした。わたしには、よそのドワーフさんたちと、仲良くなられたようにみえました。
みなさんは、楽しそうにわらってました。
ご主人様も、楽しんでおられました。
みんながみんな、楽しそうに、憎みあって。
殺し合う前の、大切な、大切な、座興。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・試す青龍、試される西の山のドワーフさんたち。
矜持をかけた、闘い。
青龍の方々と、西の山のドワーフさんたち。
委ねられた贈り物。
委ねたのは山の同朋。
結果。
【太守領西部/西の山/その麓で一番風光明媚な隠しスポット/青龍の貴族、その前】
あたしには、判っていないようには、見えなかった。
青龍の貴族。
西の山のドワーフ、その戦士長。
二人とも、今、何が起きたかわかっている。
西の山の、ここにはいないドワーフたちが、蓋を開いた。
青龍の貴族から渡された宝箱。
戦士長が捨てると断言した宝箱。
黒旗団の連中が揶揄してみせた。
西の山のドワーフたちは卑しいものども。
捨てると言っても口だけで、懐に納めるに違いない。
敵からの贈りものでも値打ちがあればむさぼるだろう。
宝箱を突き返すのは、お前も判っているのだろう?手の届くところにあれば、手を伸ばすやつらだと?
もしそうではないというならば、宝箱を、お前の同胞に託してみろ。
敵に施された賂を、受けるか受けぬか、喜ぶか怒るか。
箱を開けるか、開けずに捨てるか。
結果は判っているがなぁ?
・・・・・・・・・・・・一応、味方ながら、嫌な奴ら。
西の山のドワーフ、己が同胞を信じるかどうか。
そう問われて、戦士長は迷わなかった。
それがどういうモノであるか伝えた上で敵、青龍の貴族からの贈り物を、山に運ばせた。その上で自分たちは青龍の貴族と共にやってきて宝箱を見張ったりはしない。
同朋を信じるがゆえに。
西の山のドワーフ、全員が恥を知るものであると、外来の侵略者に示すために。
結果。
西の山は、毒々しい煙獣に、箱の中に封じられていたモノに、のみこまれた。
戦士長。
屈辱ではなく、怒りでもなく、悲しみでもない。
裏切られた、その刻の、空虚な眼。
――――――――――今、青龍の貴族、と同じ眼。
信じていた訳じゃない。
仲間を、同じ西の山に生まれ育った、同朋を
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・知っていた、と思っていたのだ。
そうあるべき、そうなるべき、そうなったのに
――――――――――覆された。
西の山、戦士長が守っていた、ドワーフたち。
彼らは、敵からの贈り物を、棄てたりしなかった。
潔癖なんかじゃなくて、真面目でもなく、矜持の有無。
悪いことに、ドワーフは自由奔放に見えて、規律正しい。だれか一人か少数が、気の迷いで盗みを働く、とは考えにくい。
しかも、箱は、山の中でも重要な役目に在る戦士長から託されて、何人もで運んだのだ。
で、あれば、相応の、戦士長と同等以上の者が指示したのだろう。
箱を開けろ、と。
あたしは、今の今まで、何が起きているか気がつかなかった。
ドワーフの戦士長は、ソレが在る、と断じて。
青龍の貴族は、ソレがあるのか、疑ってみせた。
どちらも本気じゃない。
これから殺し合う者同士、その通過儀礼。
だから、二人とも、同じ。
一族に裏切られ――――――――――期待を裏切られ。
侮蔑でも怒りでも憎しみでもない。
眼に浮かぶのは、失望。
【太守領西部/西の山/その麓で一番風光明媚な隠しスポット/青龍の貴族、その左密着】
わたくしは、震えていますか?
震えて、いますわね。
間違いなく。
それでも、眼を離せませんでした。
ご領主様の眼は、まるで上の空。
興味を失った、お顔?
それなら、まだしも。
見てすらいただけない、お顔
――――――――――最初から、そうであったかのごとく。
先ほどまで、ほんの一瞬前までは、西の山のドワーフを楽しんでおられました。
それが、わたくしの間違いだと、そう言いきれます。
わたくしが、今まで見ていた、嫉妬していた、ご領主様の笑顔。
それを覚えています
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・理性は。
それはなに、と問います
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・感情が。
在ったモノが、在り得ない。
在り得ないものが、在った。
わたくしも?
ご領主様にとって、わたくしも?
ある瞬間から、最初から無かった事になるのでしょう、か。
とてもお優しい、とても暖かい、とてもとても大好きな笑顔が、ある刻、わたくしをみて。
誰か?
――――――――――おそろしくおそろしくおそろしく。
わたくしは、眼を逸らせません。
ご領主様が、わたくしを気遣うように、かすかに浮かべる微笑みが
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・最初からなかったことになりそうです。
【太守領西部/西の山/その麓で一番風光明媚な隠しスポット】
俺は思わず化学戦のマニュアルを反芻し続けるトリップに陥ってしまっていたが、戻ってこれた。これが俺一人の問題だったら戻ってこれなくて全然OKなのだが、仕方ない。
なにがなんだか判らなかった、いや、解りたくなかったのだが、仕方なし、二回目か。
やりやがった
――――――――――贈り物。
元カノに丸投げして、さらに誰かに投げたのかすら確認しなかった、西の山に住むドワーフたちへの贈り物。
俺の責任ではある、が、元カノにも責任を押し付ける。
『まっかせー!』
と元カノ。
振動感知マイクで器用に伝達。
声をまったく出さず、こちらを見てもいない。こういう緊迫した、一触即発でスープが冷めない距離に敵味方が混在している時はとても役に立つ、骨伝導振動利用マイク&スピーカー。
採用時には砲爆撃の轟音やら、空挺降下中の風切り中の通話をスムースに行える、という趣旨だったとかいうが。
私用マニュアルを改訂申請しておくか?
敵に近づくなって怒られそうな気もするが。
しかし、責任とれんのかよ。
『だいじょーぶ!アタシはサインしてあるよ!』
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
婚姻届じゃねー!!!!!!!!!!
山のアレだアレ!!!!!!!!!!
揺蕩うオレンジ色の警戒色。遠くからでも近くからでもよく見える、風にも負けにくい粘性を帯びているようにすら見える、煙状の塊。
まあ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・言わずとしれた、ガスである。
贈り物の、コンテナの、中身。
何故にガス?
何故にガスを選んだ?
贈り物だよ贈り物????
初対面でなぜか、西の山のドワーフが、敵対的に出てきたからか?
敵に送ろう弾とガス。
いやいや、そりゃ、結果論だろう。
友好的とまで言わなくても、中立的交渉の余地あり、だったらどうしたのか?
わざわざガスなど贈ったら、それが原因で戦争である。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・最初から開戦前提、っていうことは、無いよね?
『大きい葛籠と小さい葛籠、さあ、どっち?』
そうきたか。
実行犯はマメシバ三尉かも知れないが、命じたのも、全体を管掌していたのもコイツだろう。
大小葛籠の意味するところ、まあ、判るがな。
こいつ(元カノ)にしては珍しく、選ばせてやったわけだ。
最初から戦争前提だったら、出会い頭で決めている。
西の山のドワーフ、その戦士長が率いる精鋭をM137の斉射(7.62mmNATO弾毎分3000発)で瞬殺。
西の山のドワーフたちの主戦力を消したら、事前に用意した掃討部隊でバルサン作戦開始。
・・・・・・・・・・・わざわざ贈り物をするもんか。
実戦経験が豊富、ってよりも、実戦経験しかしていない元カノの黒旗団。
想定される状況に、備えるくらいは呼吸と同じ。
つまり最初から二種類以上、贈り物を用意していたのだろう。
最低でも、不快な時用と愉快な時、それぞれ。
え?
愉快不快って何か?
もちろん、元カノの、個人的な印象が基準。
それもあって後ろの木陰にいた、元カノの子分、黒旗団のドワーフたち。状況に臨機応変に対応する為に、具体的には、相手の出方次第で贈り物のコンテナを切り替える為に。
・・・・・・・単に、遮蔽物に半ば身を隠しているだけだと思っていた。予備戦力をちらつかせて威嚇しつつ、総戦力を把握されないように。
まあ、おとなしいと思ってはいたのだ。俺が罵倒されているときに、元カノが撃ちださなかったからな。
原則身内びいき、ダブルスタンダード上等、ウチはウチ、ヨソはヨソ、なコイツ。
煽り耐性はけっこう強い
―――――と言うより、自分への悪口や揶揄、皮肉が聞こえてない―――――
が、身内をバカにされたら、普通に殴る。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・今までは。
今じゃ、死にかけるまで蹴る。
もしくは射殺斬殺刺殺、と異世界ナイズされてしまった。
そのコイツが、まったく乱入しなかったもんな。はらわた煮え繰り返しながら、仕返しのタイミングを練っていやがった。
西の山のドワーフたちにワナを仕掛けて嗤っててやろうと思ってたんだろう。
『TPOを弁えてるだけよ?』
よむな!
しかもTPO?
オマエが?
時、戦時下。
場所、非友好的勢力圏内。
場合、外交答礼が罵声で報われた状態。
なら、ガスだ!
ってか?
異世界だからこうしたけれど、日本だったら?
『拳、肘、膝』
わーい、なら、日本社会復帰は可能だね!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・オマエ、異世界に永住したら?
向いてるから。
『トリガーは奴らに任せたわよ?』
今回は、コンテナが開封されずに捨てられたら、勘弁してやる。
・・・・・・・・・・というところか。
脳筋め。
なら時限式でもなく遠隔起爆でもないわけか。
間違いなく、よそのドワーフさんたちは、コンテナを開けちゃったわけね。
元カノの脳味噌筋肉な発想とは別に、俺も期待しては、いた。
つまみ食い的に受け取るやつが出るんじゃないかな、と。ドワーフの戦士長は潔癖みたいだけど、まあ、多少融通が利く奴はいなくもないだろう。
コンテナをだれから開けてくれれば、受け取らせたことにできる。開封後返品不可とごねて見せ、一度受け取らせてしまえば、あとは酒に食事の接待攻勢。
かくして、西の山のドワーフたちと、魔女っ子+俺はお友達。
・・・・・・・・・・・・とか、普通、期待するよね?
贈り物にガスが入ってるなんて思わないものな、開けちゃったドワーフも。
気持ちはよーく解ります。
俺も思わなかった。
【太守領西部/西の山/その麓で一番風光明媚な隠しスポット/青龍の貴族、その前】
あたしには彼、青龍の貴族の弱点が見えたような気がした。
矜持も、名誉も、誇りも、当たり前だと思っている。
ソレが通じない相手を知ってはいるだろう。
ソレに備えられないわけでもない。
でも、彼にとって、ソレは異物なんじゃないかしら。
知ってはいても、理解できない、理解する気もない、どこまでいっても、どこか、彼自身と関係のない、そんな場所から眺めているような。
ソレに向き合うことをしない、のではなくて、出来ない。
贈り物の箱。
その中身を用意したのは、彼じゃない。
これは、彼のやり方じゃない。
人を試すのは好きだとおもう。
意地悪で、嬲るように、いたぶるように、執拗に。
・・・・・・・・・・・特に女を。
でも、これは、彼じゃない。
青龍の貴族が相手を試すときは、相手がそれを乗り越えることが、当たり前だと思っている。苦しむ様ではなくて、それを乗り越える様が楽しいんでしょうね。
・・・・・・・・・・・・・・途中を、愉しんでない、とは、言え、言わないけれど。
だから、こうなるのよ。
西の山のドワーフたち。
あたしは、大っっっっっ嫌い、だけど。
ドワーフだし、いきなり罵倒してくるし、ドワーフだし。
でも、青龍の貴族は、気に入っていた。
西の山のドワーフ、の戦士長。
強者を罵倒する勇気を
・・・・・・・力関係を知らなかっただけかもしれないけれど。
闘いべき時に戦う矜持を
・・・・・・・戦いにならないと、知らなくても仕方がないし。
利害損得より為すべきをあるべきようになす、その存在を、気に入っていたのに。
西の山のドワーフたちは、そうではなかった。
それは、罪があったとは思う。
箱を開いた上で贈り物を断った、なんて言い分は通じない。
間違いなく、敵の贈り物、施しを受け取った。
当たり前といえば当たり前。
不思議な素材でできた、宝箱。
ドワーフを魅了する、細かな細工。
中身が見えない、見たい箱。
・・・・・・・・・・開いてしまう、のも仕方がない。
だから、侮蔑をうけるのも仕方がない。
自分たちを侮って、見下してきている敵からの施しを受け取るなど、物乞いにも劣る。
そうと思わぬ者はいないだろう。
敵からの施しを受けない。
欲しければ、奪えばいい。
奪えなければ死ねばいい。
でも、そう思ったとして、そう在る者がどれだけいるだろうか。
誰も見ていない場所に転がされている宝物。
それを懐に納めることは悪いこと。
ソレは誰でも知っている。
ソレは誰かがしでかすのだから。
ソレを責めても、罰するべきだとは、あたしは思わない。
誰もが同じと信じれば、必ず皆を傷つける。




