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完全侵略マニュアル/あなたの為の侵略戦争  作者: C
第三章「掃討戦/文化大虐殺」
110/994

戦争を欲するならば、平和に備えよ/Si Vis Bellum Para Pacem.


Si Vis Pacem, Para Bellum.

(汝、平和を欲するならば戦争に備えよ)




世界一有名な戦争屋のキャッチコピー。

元はラテン語のことわざで、ローマ帝国時代の軍事学者の主張から。


もちろん、軍拡競争が平和を生んだ事例はない。

とういうことは、素晴らしいキャッチコピーであり、主張であると歴史が証明したことになる。


兵器産業の売り上げと、軍事学者のギャランティに貢献するセンスは「見事」の一言。



ミリタリーマニアも同じ理由でお気に入りだが、由来がばれると怒られるので注意。戦場に行ったことがない人しかいない場所で使うのが推奨される。



※戦争屋とは巨大軍需メーカーDWM社。兵器を開発生産し続けて110年、老舗の軍需産業。

※軍事学者さんは特に何かした記録はなく、著作は様々な資料史料のまとめであり、同じような内容を繰り返し書いており・・・・・・・当時のミリオ(検閲削除)。名前を出さないことをお察しください。

※本編サブタイトルは歴史家(仏)の言葉




【温泉と平和】


睦合い寄り添う影。


薄明るく、そして湯煙にくすむ視界。

霞むように周囲に溶け込む白い肌、硬質なまでに鮮やかな金色の髪。

湯気の中でも鮮やかに白い肌、その白さから浮き立つ白金の髪。


二人の白い姿が、男の体に重なり、長い髪が透明な湯にたゆたう。肌が色づき真っ赤に染まり、かすみながらも肢体がはっきりと浮かび上がっている。


湯の流れる音。

響く声。

高く、それでいて絞り出すような、少女の声が響き続けた。




1、

2、

3、

4・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・







97、

98、

99、

100。


「あがっていい」

――――――――――



「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ご領主様」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ご主人様」



「?」



「「ヒドいです!!!!!!!!!!」」




【私邸/温泉浴場のほど近く】


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――知ってた。


でも、あたしは脱力感をなんとか抑える。

まあ、青龍の貴族自身が、今は忙しいって言っていたし。

その、あの、えと・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・役目が片付けてから、あたしたちと・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・って

――――――――――――――――――――言ってたし。



青龍の貴族が、嘘をつくわけがない。


嫌いにならないかぎ

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・嫌われなければいいのよ!!!!!!!!!!


なら、必ず彼は思った通りにする。



――――――――――どうなるか判らないけど。


Colorfulから聴いた範囲でそうぞ、

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・考えるのはやめましょう。


問題は、そう!!!!!!!!!!

いつ、かよ!!!!!!!!!!

いつなのかしら

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・聞けないし。




<あの子は俺の女です>

<俺以外に指先一つ、視線一つ譲りません>


あたしたちについて話していた青龍の公女、彼、青龍の貴族の会話。

※第76部分 十二日目/After Coming out


それを、あたしたちが聴いていたのは、秘密。何故か聴こえてきたのは、偶然?間違い?


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ワザと?



――――――――――信じればいい。


でも、いつなのかしら。


「HEY!」


この繰り返し。

あたしから聞いたりしたら・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・催促、って思われるわよね。



「Harry!Harry!Harry!」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・それは、ない、わよね。

初めてでそれはダメよ、いえ、以後はわからないけれど。


それくらいで、嫌われ無い

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――たぶん。


人間はどうなのかしら?青龍はどうなのかしら?


「OH!マカセナサーイ?」


でまあ、あたしが何をしているのかと、言えば。


「Girl!Girl!Trust ME!」

「何を信じろって?」


あたしはスマキ?の道化を見下ろして、浴場の入り口にいた。


「Not!!Peeping?Recording Only!」


剣を抜く。


「ノンノンノンノンノン!見られただけ、Sorry!Sorry!Sorry!ついうっかりアクシデンツ!でお肌を記憶したら撃ってくるならともかく喉を突きかねないGirlsにちょっかいカケルARIEMASENN!!!!」


ふむ。嘘ではないみたいね。


「Sexual Harassmentはされるものとミツケタリ!!」


ウソデハナイミタイネ。


「OH!!!その眼デ~~~~~~~~~~~~~~ス!!C’monC’monC’monC’monC’monC’monC’monC’monC’monC’mon」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ほっとこう。


「ホワッツ!!放置してイタダケマスカ!!!」




【お嬢の館/温泉浴場】


湯上がりシスターズの小さい二人は、浴衣みたいな薄着。丈が短く、薄いのは湯上がりの熱冷ましの為だな。


春用?

冬はないな、アレじゃ寒い。

夏は

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・サイズ調整しても意味がないか。


生地の薄さは中世準拠なら限界。

魔法的な方法で加工した素材は、流石に王侯クラスじゃないと無理?


二人は、そしてオマケな俺は、温泉から部屋には引き上げない。


俺は籐製っぽい植物素材で水気を吸わない寝椅子に座り、二人は俺の傍らで互いの髪を梳いている。

まあ、ドライヤーがない異世界では、湯上がりにしばらく風呂場?的な湯の中でないスペースで過ごすのが普通らしい。


寝具が湿気るのも不味かろう。

俺たちの備品に携帯ドライヤーはあるが、もってくるほどの事もない。


照明さえしつらえれば、夜を楽しんでもいいしな。

エルフっ子は部屋か

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・同席されたら大惨事。


危うく黒歴史を避けられたのを感謝すべきだ。


魔女っ子とお嬢にじゃれつかれている時に、エルフっ子降臨されたら大事故になりかねないというか、きっとなる。

愛玩奴隷としての自覚にあふれたColorfulや、今カノ気分全開な元カノを先に入浴させたのが無駄になる。

・・・・・・・・・・・・・・アレはアレで惨状だが。


本来、温泉は独りで浸かるもんだよな。

いや、シスターズの小さい二人を邪魔に思ってるわけじゃないからね?

子供好きではないにせよ、嫌いじゃない。


風呂に入れるくらい大したことじゃない。


まあ、じゃれつきすぎな気はするが。二人とも湯の中では膝に乗りたがっていたからな。

ネコと子供は膝の上。

どかすと爪を立てる所まで、いずこも同じ多世界共通。


そんなところにエルフっ子に来られたら

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・お互いにトラウマ。


間違いない。


シスターズの頼れるナイスガイなお兄さんなイメージ構築に成功してなくもない俺。

街中で出会って、学校の制服を着てなければ、絶対に声をかける美女か美少女かボーダーなエルフっ子。

・・・・・・・・・・・・・・・・実年齢(256歳)はともかく。


内心で思ってることがしられたひにはそりゃあんた、

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・エルフっ子に怯えられるだろう。



すいません。

胸元太ももインナーくらい、大したことないとか思ってました。

ふつーに魅せてるおしゃれの一種だとばかり思ってごめんなさい。



~~~~~~~~~~殺し合いなら圧倒的に俺より強いのに、偶々稀な偶然の事故でスカートの内側に視線が届いた可能性が否定出来ない状況で、泣いちゃったもんな~~~~~~~~~~。


あの涙目長耳ぺったんは効いたわ~~~~~~~~~~。


※第50部分 異なる世界の同じ街



俺は百人以上の死体を見るより、エルフっ子の涙目の方がPTSDになる。

ソレもどうかと思うが、実際そうなんだからね?




ヨゴレタオトナニハM-84閃光弾ヨリマブシスギテメガツブレル。




小さいほう二人の面倒を見ているおかんエルフっ子。

非常にリアル乙女だと、富士山より高く日本海溝より深く、大変反省いたしました

――――――――――あの悲劇は繰り返せない。



国連決議違反で銃殺になるほうがマシ。


そして更にシスターズは取扱注意。


仮に万一、エルフっ子涙目再発な、そんな場面を魔女っ子とお嬢に目撃されたら?

いや、見られ無きゃいいって訳じゃないが。


でも見られたら

――――――――――二度と1m圏内には近付かれまい。


ふと傍らで、互いの髪を結いあげている二人を見る。


いかん、涙出そうだ。

お父さんキライ!

って言われる感じ?

娘いないけど。


今も俺を見る都度、頬を膨らませてプィってされてるのに

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・温泉で肩まで浸かって100数えるは、マズかったかな?


体が小さい/保温断熱材になる脂肪分が少ないから、子供は体温維持が難しい。

だから熱さ寒さに弱い。

故にお風呂は大人の付き添いがいる、ってか、望ましいのだが。


冬でもないのに、やぶ蛇だったか。




【私邸/温泉/青龍の貴族の傍ら/あの娘の後ろ】


わたくしたちは、ご領主様と目を合わせる事ができません。

青龍の魔法でどなたかとお話し中。声を出さず、音にせずに会話する姿はとても不思議ですわ。まあ、わたくしたちも、ご領主様からいただいた「こつでんどういやふぉん」とやらでできるのですが。


ふぅ。

お待ちしている時は、自身の鼓動しか聴こえなくて、ご領主様しか見えなくて、なんでもなかったのに。こうして、傍らにいるのに、眼を合わせることもできません。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・恥ずかしい事なんかありません!!!!!!!!!!


――――――――――と言い聞かせます。

(はい、ちいねえ様)

あの娘に。


今夜は、残念でしたけれど。


勝敗は兵家の常。

挑まずに手に入る相手など家族だけ。

いずれ時間が出来たら、と、ご領主様は仰いますけれど。ねえ様みたいに待つ

――――――――――――――――――――待ちきれ、いえ、待ったりいたしません。


兵は拙速を尊ぶ、とおっしゃるいました。

なるほど、ですわ。


ご領主様を手にするなら大急ぎ。

御会いした時は、わたくしたちだけでしたのに。

僅か半月で7人(人魚さんとも毎朝お話してます)。

どんどん競争相手が増えてるじゃないですか!!!!!!!!!!




【私邸/温泉/青龍の貴族の傍ら/ちいねえ様の前】


ちいねえ様は、悩み事があると髪を梳きます

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・わたしの。


悩み事が解決しないと結いはじめます。


さらに困るとドレスを着せ始め

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・今日は香油ですか!

あの!

その!

塗り込め、くすぐったいですぅううううう!




【お嬢の館/温泉浴場】


俺は空間投影ディスプレイを閉じる。ノートパソコンは部屋だし、ペン型端末は防水。首にかけてもってきたのは好判断。


しかしまあ、幸いだった。

いまチェックした限り、のぼせた6人は一晩休めば、というか、もう回復して普通の就寝状態の様だ。マメシバ三尉の所見もおなじ。

俺たち兵士用はドッグタグ、現地向けばチョーカー/ネックレス、ブレスレット、アンクレット。傍らで香水?で遊んでいる二人を含めたシスターズにColorfulは後者。


国連軍兵士だけじゃなく、現地協力者のシスターズ、軍属のColorfulまで網羅するバイタルチェッカー。

設定ひとつで脳波心電図連動のデススイッチにも出来る。

心停止脳波停止でC4が起爆

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ヤメロ。



まあ普通は、警報を出す間もなく殺られた兵士、を感知する為に使う。

オマケの俺、前衛突撃の元カノと違い、キチンと個々人データをチェックしていた、マメシバ三尉。

さすが混成部隊指揮継承順位第三位。



いや、俺もアラート設定はしている。

誰かが死亡したら鳴るように。


ただ戦闘中以外に常に時々バイタルマップを開いたりはしないだけ。今みたいに傷病者、に近い状態にある者がいれば別だけれど。


のぼせた6人に気がついたってことは、マメシバ三尉は作戦中以外もバイタルチェックしてるのか。

すげーな軍医の鏡。


『なわけないです。作戦中だからチェックしただけです。あ、でも流石に最後まで確認するつもりはないですからね?ほんとーですから!!!!!!!!!!』


既に6人の様子確認じゃなくて雑談になっているマメシバ三尉。

もちろん、臨時病棟(俺に割り当てられた部屋)に詰めており、温泉にはいない。患者から離れられない以前に、警戒配置のため。俺と同じく、ガバメントを傍らに置いているだろう。

俺のは防水ビニールケース、入れたまま引き金を引けるタイプ、入り。


警戒中の佐藤は温泉と病棟の中間でフル装備待機。ドワーフたちは車両と合わせて交代警戒。屋敷自体の警備は、お嬢の使用人のみなさん任せだけどね。



でまあ、モニターの話。

一覧表なんかどーでもいいしね。

でまあ、必要に応じてバイタル確認していたマメシバ軍医。


・・・・・入浴、って、作戦なのか。


入浴組の体温上昇、入浴だけとは思えない異常上昇を確認したが、スルーしたらしい。

Dr.マメシバなにゆえに?

『そりゃ全身運動ですから』


しかしてのし、元カノ含む、6人同時という異常に気がついた。


『物理的に5人までしか有り得ません!』


と言われても、何がなにやら?

どう見たって、この温泉は100人だって同時に入れる。でも、使用人用の風呂は別で、館の主人であるお嬢、家族、客しか入らないらしいが。


そして、6人がのぼせて倒れたときに、俺の現在位置を確かめて、慌てて風呂場に突入したマメシバ三尉。


順番おかしーだろ!!!!!!!!!!!

患者を先に位置確認しろよ!!!!!!!!



『閣下がいないからびっくりしましたよ!!!』


オマエより先に気がつくわけねーだろ!!!





【異世界大陸某所】


「格を変えたか」


清潔な化繊の衣服は地球製。通気性に優れ、吸湿性に長け、保温性に勝る。

だが、それを纏う男の豪奢な雰囲気により、乞食装束に見えた。


『失礼をお詫びしましょうか?』

「いらぬ。我を捕らえた貴様等にはさよう権利がある」


プロテクターを付けた国連軍兵士囲まれた帝国捕虜、その一人。


「だが、木偶人形を遣わした意味は判ろうな」

『申し訳ありませんでした』


女は丁寧に一礼。


「赦す」


外務省の役人から、毎日のように訪問を受けて、なお寛大。


「気触れに腹を立てる我が器に、思うところもあったからな」


征服戦争の前線に立つ帝国貴族は鷹揚だ。まあ、異なる習慣や侮りにいちいちキレていたら、役目が果たせない。


「奴儕は我を奴隷扱いしよったが、奇妙なことよ」


帝国の高位高官は多忙だ。多くが拠点にこもり、自ら行うべき案件は魔法を媒介して交渉に赴く。直接相手と接するのは下級官吏の、下層民への対処となる。


腹をわって、話す為に日参する外交官らには辟易した。行動にも、言い分にも。

帝国を、今のところ、圧倒している青龍。それがどんな奇妙な風習をもっていてもおかしくはない。だからこそ、敵である帝国の習俗を青龍が熟知して当然。


帝国貴族はそう考える。


戦争を常態とする彼らは、成否はあれど、敵を知る事を呼吸以上に重んじるからだ。

ならば何故、わざわざ帝国から見て不自然な、奇妙と言って悪ければ、病人の譫言のような事を聞かせにくるのか?


そろそろ相手の正気を疑い始めていた。



『話しを受けた者が居たので誤認したようです』


外務省の、というより、官僚機構が策する対帝国講和政策。相手側の習俗や国情を知ってなお理解しない。外務大臣や国会に報告すらしない。

明治以来の官僚的日常。



彼らの計画は?

捕虜から高位にあるものを選抜し、保釈、帝国に交渉の意志を打診するというもの。


人間に対する根本的な誤解。

助ければ、感謝される。

感謝されれば、こちらに従う。

利益を与えるか不利益を無くせば、助けたことになる。


手段から入り目的がついてくるあたり、創生以来の平常運転、いつも通りだ。



彼ら官僚は文化人類学に縁がない。

文系の大学で履修していたとしても、その知見は官僚機構の中で、必ず消去される。

異なる価値体系を自明とするなど、官僚という在り方そのものへの否定に他ならない。



「貴様等の道化はよほどしつけが行き届いておるな」

『それは大変な時間と労力が必要でした』


ざっと22年以上は。


「わざわざ、気ぶれを創るなど、悪趣味なことよ」


外務省の活動は、当たり前に失敗。

もちろん、成否は自分たち官僚内部のみで決めるのだから「目立った成果はないが推進中」と記録される。他の誰も読まない内部文書に。

まあ、考えればわかる。



例えば。


宇宙人が突然攻めてきて、戦争になりました 。

生死不明だった兵士が捕虜になっていたが、帰ってきた。

何のペナルティも負わず。


信じる人、挙手。

挙手した貴方は詐欺に気をつけましょう。




しかも、その帰還者が、宇宙人が平和を望んでいる、と言っています。


信じる人、挙手。

挙手した貴方は新興宗教に気をつけましょう。




しかも、降伏勧告に等しい内容を条件に持ってきました。


考慮する人、挙手。

ご家族は速やかに病院へ。後見人制度を紹介しましょうか?




思考能力を持つ帝国の人々は信じなかった。

15秒以上思考出来るので。



『皆さんの正常さが確認出来て嬉しい限り』

「挑発は無駄だ」



話に乗った捕虜は、戦争神経症患者か世間知らずの零細騎士、大半は、はなから脱走狙いのものばかり。

みな、帝国に捕まった。

っていうか、身代金も無しに帰ってくるあたりで話にならないのだが、一応、帝国側も尋問はしたので、話は伝わった。




解釈不能な謎として帝国史に刻まれたのだが。




「で」

『ここから西方に馬で3日ほど進むと、帝国の哨戒部隊がいます』


帝国貴族は一応、聴いている。


『馬と一週間分の食料、従者の分も用意しましたわ』

「・・・・・・・・・」


聞き始めた。


『お使いを願えますか?』


ニヤリと笑う帝国貴族。


「我が帰らなければ?」

『笑います』


破顔した。


「よかろう。身代金交渉付きならな」

『貴方を手放したく無いのですが』

「やっと会話が出来るわ!主とは戦場でな!」





【太守府王城】


通信を切った。


よくある話。

中世で、約束した身代金が払えないから、戻って来た王侯貴族。



まったく。

日本という幻想に育まれた幻想種ども。

マヌケ過ぎて、失敗にすら気が付かない。

それを自覚しないからこそ狂気なのだが。

好きにやらせれば良いかと思えば・・・・・・・・・・・・・・・ああ、有史以来(150年ほど)、役にたった事がない組織だったわね。


歴史上、無用有害な集団が権威を得た事など珍しくもない。

帝国を創る過程で発生し、全盛期で完成し、その毒で母体を滅ぼして、なお生き残る。



・・・・・・・そこまでいけば珍しいわね。


まったく、教えられる。

体系化された狂気育成システム。

ある種の宗教。


おそらくは、江戸期世襲官僚制の成功を利用した信用詐欺。試験官僚体制が成功した事例など、大元の大陸にもないというのに、この島国で・・・・


いや、なぜ、は置きましょう。


こちらでお膳立てしてあげるのだから。







周囲が間違っている時に一人だけ正しい。

間違いなく、放逐される。


周囲が間違っている時に同じように間違える。

十中八九、出世できない。


周囲が間違っている時に敢えて自分も間違える。

おめでとう。

君は出世できる。

末は事務次官か枢機卿だ。



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