Ⅱ -過ぎ去った愛-
「Ⅰ -大きな愛-」からお読みください。
どこかの惑星、どこかの国。大都会から離れた小さな小さな町
夕方の路地に広がる大きな海。
通行人は大パニックをおこし、遠くから救急車のサイレンが鳴り響いている。
「ハハハ、」
不気味な笑い声をあげた被害者、クレファー。
その横に立っているのは、クレファーに旦那をとられたと殺気を放っている女。レイシーである。
彼女は憎き女、クレファーにとどめを刺した。そして彼女は…自分の左胸にナイフを突き刺した。動揺する様子もなく、一瞬だった。
左胸から、そして口からも大量に血が流れている。
「私は悪くない…」
半年前、レイシーはずっと片想いしていた男、レイズに想いを伝えた。しかし、彼にはすでにシーカという彼女がいた。それを知らなかったレイシーのショックは大きかった。
それからは毎日、心が無くなったように外にでてはブラブラ…ブラブラ。
ある日、いつものように夕日を眺めていた。特に何を思っているわけでもない。
するといつの間にか後ろに黒いフードをかぶった、全身黒ずくめの男が立っていた
「大好きな人の愛、買いませんカ?」
男はいきなり訳の解らないことを話し始めた。
「フフッ、私にはもう何もいらないの。自分のことだってどうでもいい。」
なげやりにレイシーが答えた。すると黒ずくめの男は
「ホー、自分のこともどうでもいいトハ、関心ですネェ。でも、あなたは欲しい愛がありますよネ?」
何も考えられないレイシーの頭によぎったのはレイズの顔。
「ホォー♪レイズさんネェ。」
レイシーはまだ何も言っていない。
しかし驚く様子もなくレイシーは言った。
「レイズの愛、いくらかしら?」
「大丈夫、そんなに高くないデス。」
そう言った瞬間、黒ずくめの男は姿を消した。
何日か経ち、レイズはレイシーの隣にいた。
「シーカにはちゃんと別れを告げるつもりだ。」
次の日の朝、レイズは彼女、シーカの家を訪れた。
「シーカ、ごめん。大好きな人ができたんだ。だからもうシーカと一緒にいられない。」
シーカは依存心が高く、裏切られたという想いもあったため、耐えられず手首にカミソリをあてた。
翌日、シーカの命はなくなっていた。
それを知ったレイシーは急に恐怖をおぼえた。
「殺したのは私じゃない…殺したのはレイズだから…」
そしてレイシーはレイズのもとを離れた。
雨の日の夜。ずぶぬれになり、頭はシーカのことでいっぱいのレイシーが路地に座りこんでいた。
それを見つけたのは…アランだった。
「どうしたの?風邪ひいちゃうよ?」
アランはレイシーのことが放っておけなかった。じきにレイシーはアランに恋におちた。
しかしアランにも彼女がいた。そして日に日に、レイシーが元気になるにつれアランは会ってくれなくなった。
何もできない日々が続いたある日の夕方。
レイシーの前にあのときの黒ずくめの男が現れた。
「愛はいかがですカァ?」
不気味に微笑む黒ずくめ。
「欲しい。欲しいわ。」
今回の恋はその日から急展開をみせた。アランに結婚を迫られたのだ。勿論レイシーはそれにこたえた。
しかし、数日後急にアランの様子がおかしくなった。
「クレファー。クレファー」
アランの呟きを聞いたレイシーは頭に血がのぼっていった。
「どうして…クレファーとは別れたんじゃないの?」
アランはレイシーを睨みつけ、いきなり殴りかかった。
「お前がいるからクレファーに会えない。お前さえいなければ…」
数時間後、ナイフを持ち立ちつくすレイシー。
夜、路地には2人分の血が広がっていた。
愛を買う際にはよく考えて慎重にお求めください。当店では返品・交換を行っておりません。
Ⅲはアランの話です。
番外編はクレファーのお父さんの話です。




