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12☆World  作者: おしゃかしゃまま
2112年7月10日(土) 最強の戦い☆シュウカツ☆幻の少女
84/85

第81☆

「あいつら名前なんだけっか……テ……テン?……ああもういいニャ。とりあえず、その騎士団に対するPKと、窃盗の容疑で、貴様等をタイホニャー!」


 警官の格好をしたデブ猫が、マキ達に近づいていく。

 僕も、マキのところへ駆け寄った。


「また、めんどくさいのがきたわね……」


「あいつメインクッショ! テンシンハン騎士団に賄賂をもらっていた警官……けっこうやばいかもしれないッショ!」


 マキとヤクシが、ひそひそと話をする。


「いいかニャ? そこを動くニャ…………?」


 ぐふぐふ笑いながら近づいてきた警官猫メインクが、突然その歩みを止める。


 というか、止められている。

 メインクの周囲は、透明な氷で覆われていた。


「……以外と手が早いんですね」


 僕は思わず敬語で話しかけながら、青い髪の少女。

 レイカを見た。

 レイカは恥ずかしそうにうつむきながら、両手で杖を握りしめている。


「…………何するニャーーーーーーーーー!!」


 パリンと音を立てて、メインクの周囲を覆っていた氷が割れる。

 レイカの氷を割ったのか。

 以外とすごいな、このデブ猫。


「まったく、この世界の法律、正義である我々ケーサツに攻撃を加えるとは、ケーサツ隊副隊長メインクの名にかけて、必ず……」


「悲しい飴状のシクシクレイン


 バシャンっと、メインクの頭上に、如何にも毒々しい色をした液体が降りかかる。

 その液体を振りかけたと思われるヤクシは、ただ、ニヤニヤと笑っていた。


「…………」


 ぶるぶると、体をふるえさせて、降りかかった液体と落とそうとするメインクだが、全然落ちない。

 よく見てみると、液体は糸を引いていた。

 おそらく、ヤクシがメインクにかけた液体は、粘着性の高い、納豆のような液体なのだろう。

 とりあえず、手で顔にかかっている液体をおとしたメインクは、明らかに憤怒の感情を持っていた。


「ふ……にゃっにゃっ……お前等……絶対許さないニャ……掲示板にお前等の悪行をさらし、必ず社会的な抹殺を……」

「スラッーーーシュ!!」


 そう、声が聞こえたかと思うと、メインクの体の中心、上から下にかけて、まっすぐ赤い線が走った。

 その声を発した少女……マキは、満足げに、鼻息を鳴らしている。

 ぐらりと、メインクの体が、二つに別れて、崩れ落ちる……と思ったら、メインクの手を動き、崩れる体を自分で閉じて、くっつけた。


 ……グロ!


「ふーっ!ふっー!貴様等ーーーーーーーーーー!!」


 メインクが、叫ぶ。

 まぁ、凍らされ、液体をかけられ、ぶった切られたら、ブチ切れて当然だろう。



「……ていうか、なんでお前等アイツを攻撃してるの?」


 警官だろ?アイツ。


「え? どうせ何言っても無駄だろうし、ここは試しに実力行使してみようと」

 とマキ。クナイを両手に持って臨戦態勢だ。

 ……いつの間にか、両手が戻っている。

 まぁ、カンダを倒したし、そのときに戻ったのだろう。


「警官を倒したことのあるプレイヤーは今の所いないッショ! 倒したら何かイベントがあるかもしれないッショ!」

 とヤクシ。

 両手に毒々しい液体を球体状にして持っている。


「……勝てるのか?」


 ああいう、プレイヤーに罰を与えるタイプの敵って、結構強いんじゃ?


「……たぶん」


 と、小さな声で、レイカが答えた。


「……ふーん」


 僕は、チラリと、デブ猫メインクの方をみる。


「……あれでも勝てるの?」


 ミシ ビキ 

 パンパンの洋服がちぎれていくような音が、メインクから聞こえてくる。


 始め、僕の腰くらいの大きさだったメインクの体は、徐々に大きくなっており、虎とかライオンくらい大きさになっていて、それでも巨大化は止まらずに、ドンドン大きくなっていく。


「……たぶん」

 とレイカ。

 声に抑揚が無くて、なおかつ声が小さいので、感情が読めない。


「はぁああああああ……小さなクソネズミがぁあああこの世界を統べる力で……ギタギタにしてやるにゃん……」


 メキメキと、大きくなったメインクは、さらにその体の大きさを増し、小さなアパートくらいになった。

 大きくなっただけでなく、体の周りから、ドス黒い、オーラのような物も出しており、明らかに強そうでやばそうな感じである。


「……たぶん、ムリ」


「だよね!? 強そうだよね?」


 感情の無い声であっさり言ったレイカに、思わず詰め寄る僕。


「貴様ーーーー!レイカ様に近寄るなぁあああ!!」


「うお!?」


 いきなり、白い外套に、笑っている表情のマスク……よく、トランプのジョーカーとかに使われている感じの奴を付けた男が、僕に氷の固まりを投げつけて来た。


「レイカ様とお近づきになりたいならば、我々レイカ様ファン倶楽部『レイ闘誇レイトウコ』に許可をとって頂きたい!」


 白い外套マスクは後ろに同じ格好をした……若干僕に氷を投げつけてきた奴の方が、衣装が豪華だが、そんな、マスクを付けた男達を引き連れて、歩いてくる。


 どっかで見たような光景だ。


 そんなマスク男たちは、くるりと振り返り、巨大化したメインクの方を向く。


「我ら、『レイ闘誇』レイカ様に近づく全ての困難を払いのけ、そして破壊する者。さぁ、邪悪なる者よ、我らの魔術によって、その身を止めるがいい」


 なんか、長ったらしい台詞を吐いて、指をビシッとメインクに指したマスク男


「ああ? 邪魔だにゃ」


「ギャーーーーーーーーーーーーーーーー!!」


 そんなマスク男達は、すぐにメインクが振るった猫パンチに飛ばされていった。


 どっかで見たような光景だ。



「さて……覚悟はいいかニャ?」


 巨大なメインクがニヤリと笑いながら、左手を挙げた。


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