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12☆World  作者: おしゃかしゃまま
2112年7月10日(土) 最強の戦い☆シュウカツ☆幻の少女
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第78☆

「トールさん!」


 トールと共に現れた、ほかの5人が叫ぶ。


「くそ!真っ先にトールさんを狙うなんて……」

「これはマズイぞ……」

「そんな……まさか……」


 口々に、困惑の言葉を漏らす5人。

 よほど、トールさんは信頼されていたみたいだ。


「くっ……トーテムさんがいないなんて……」


「違う、トッポさんだ。間違えるな……って誰かツッコめよ!!」


「……無理ですよ。私たちはボケですよ? はぁ……。一人しかいないツッコミから潰すなんて、噂以上の鬼畜ぶりですね」


「鬼畜小学生……ふぅ」


「ロリコンとドMか……だが、それでいい」




「……って困惑の原因はそれかよ! もっと状況をよく見ろ!」


 我慢できずに叫ぶ僕。トールさん。余りに不憫すぎる。

 その叫びを聞いて、5人組が僕の方をみる。


「ツッコミ……?」


「助かった。コレでカツル!」


 ……ダメだコイツ等。

 マキもため息をついている。


「なんか変な人たちだけどさ……あんた達が、テンプル騎士団の七曜の盾でいいのかしら?」


「イエース、ロリータ! 超タッチしたい!」


 盾を持った男性が勢いよく返事をする。


「ハ、ハハ。そいつ等は、僕が、見つけた、マスター、使いだ! たった、二人で、勝てるとぉ……、思う、な、よ」


 息も絶え絶えで、呻く団長さん。


 ……勝てると思うのは僕だけだろうか?

 トールさん瞬殺でしたけど。


「ふーん……ところで、この中に、カンダって人はいるのかしら?」


 マキが、盾の男に聞く。


「はぁ……はぁ、こ、ここにはいないよ。12時から開催されるシュウカツの試合を見るって言っていたから……というか、ミカちゃん本当に可愛いねぇ……おじさんと、良いことしようよ……はぁ……はぁ……ふぅ……おわ!!?」


 チッ!

 僕はマキを見て興奮していた盾男に翁を伸ばしたのだが、盾を使って上手く避けられてしまった。


「なにすんだ! このツッコミ男! ツッコミは死なない程度に優しくって教わっただろうが!」


「今のはツッコミじゃねーよ!」


 本格的に、ダメだコイツ等。


「……サ、サク兄ぃが、私を守るために攻撃してくれた……」


 目をキラキラさせながら、うっとりしているマキ。

 マキもダメだった。

 どうしよう。ダメな奴しかいない。

 


「ミ、ミカちゃんが興奮している……おじさんも興……ぐはぁ!?」


「どうした!? シンシ……けぽぉ?」


 マトモな人はいないかと思っていると、急に盾のロリコン男が吹き飛び、長剣の男の首が飛んだ。


 なんだ!?


「……ミカさんにあんな下劣な言葉を浴びせるなんて、許せませんね」


「はっ! 俺が来たって事は、つまり、心配する事なんて何も無くなったわけだ」


 広場を見渡すと、中央にある3本の大きな柱の上に、二人の少年がいた。

 見覚えがある。


 白銀の髪をたなびかせて立っている、少年。その少年は白銀に光る杖を持っている。顔はまるで陶磁器で作られたかのように真っ白で、その切れ長の目は冷たい印象を受けるが、同時に神秘的な美しさを見ているモノに与える。この少年の名前はシュウ。


 その横に立っている少年は金髪の髪をツンツンと立てている。

 肌は健康的な小麦色で、その目は狩猟犬のようなたくましさと、生命力に満ちあふれている。

 この少年の名前はカツヤ。


 確か、星空12の中で一番か二番目に人気のイケメンくん達のはずだ。

 そのイケメン君達は、スッと消えたかと思うと、いつの間にかマキの横にいた。


「この人たちの相手は、僕がします……ミカさんは休んでいてください」

「とっとと蹴り入れて、ケリつけてやんよぉ!」


 マキと七曜の盾の間に立つ二人。

 おお、なんか、少女を守るナイトのようだ。

 マキのお転婆ぶりを知っている僕としては、中々好感を持てる光景である。

 やっとマトモな人が登場したよ。


「さぁ、行きますよ!『芸術の宝剣』!」


「はっ! 『想像の創造フリークリエイター!』」


 シュウの周りに、煌びやかな剣が現れる。


 カツヤの手には、黄金で出来た棒。


 輝きを増した二人は、遠目で見ている僕でも震えるほどの威圧を放っている。

 カッコイイ……

 そして、二人とも首と胴体が離れた。


 ……え?


「……人の獲物取ろうとするんじゃないわよ、このクズ!」


 マキが倒れていく二人に向かって怒鳴ってらっしゃる。

 その両手には二本のクナイ。

 えーっと?

 マキが倒したの?

 ……なんで?



「さて、邪魔者が消えたし、カンダって人がいないなら、とりあえずアンタ達から消すか」


 マキは残った3人の女性にクナイを向ける。


「まさか、仲間であるシュ……カツ……えーっと、シュ……カツ……」


「あと一文字ですよ! 頑張って!」


「頑張る女性を応援する……それでいい」


 3人の女性は、なんか余裕だった。


「……戦わないの?」


 とマキ。


「ああ……実力差ありすぎですし、あきらめます。今回の件は私たちが悪いですし……団長さんがイケメンだから、このギルドに入ったんですけど、泣きわめいてる姿を見たら気持ち悪かったんで、殺された後はギルドを辞めようかと思います」


 と杖の女性。


「な、に、ぉ……カメ、さん……」


 倒れている金髪の団長さんが、驚愕の声を出している。


 カメさん? あの杖の人って、カメって名前なの?


「じゃあ、私も辞めるー」


 と弓の女性。


「リザー……も?」


「私も辞める……それでいい」


 無手も少女も賛同する。


「フシギ……ちゃん……」


 団長の顔が徐々に絶望の色に染まっていく。

 というか、カメにリザーにフシギ……止めよう。考察すると、危ない感じがする。


「じゃあ、せっかくだから、3人でギルド作りましょうか?」


 と杖の女性。


「いいね。どんな名前にする?」


 と弓の女性。無手の少女が頷きながら


「マッサラ・タウン……それでいい」


「はい、それよくない!!」


 僕は無手の少女に思わずツッコんだ。

 色々ギリギリだろ。その名前。むしろアウトだ。


「……ねぇあの子誘わない? やっぱりツッコミって大切だと思うんだ。顔も可愛くて悪くないし……」


「そうだねー」


「異論はない……それでいい」


 なんか、3人の女性達が、円を組んでヒソヒソ話している。


「よっし! そこのキミ! おねぇさん達と……あれ?」


 突然立ち上がった女性……カメさんが、僕に向けて指を指すと、その下半身が消えていた。

 立ち上がったばかりの上半身は、重力に引きずられるまま、地面に落ちてく。

 他の二人も、下半身が消え、上半身だけになっている。


「……男子高校生は私のモノだ!」


 と意気揚々とした声が聞こえる。

 同時に、僕の胸に強烈な吐き気。


 ……この声は。


「シュウくんとカツヤくんには会えなかったけど……サクくんがいてラッキー。団長も満足に動けないみたいだし……二人ともペロペロしてあげるね」


 黒い髪を風に揺らしながらやってきたのは、僕が知る限りトップクラスのヘンタイ。


「カンダ……!」

『瞬間の円盤ワープ・フープ・アルティメット』という、瞬間移動をする輪っかを操る、女性だった。

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