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12☆World  作者: おしゃかしゃまま
2112年7月9日(金) 選択☆迷いのキノコ☆孤独竜
75/85

第73☆

前の話は、実はこの話を含めて一話の予定だったのですが、文字数が多すぎて2つに分ける結果に……


前回の話の簡単なあらすじは、

カンダの【瞬間の円盤(ワープ・フープ・アルティメット)】で体をバラバラにされた主人公は、カンダの能力で高所に移動させられて大ピンチ!

さて、主人公はこの絶対絶命の窮地から抜け出せるのか!?といった感じです。


ちなみにこの話も、火星を支配している害虫の王が出てくるため、一応注意です。


面白いよテラ○ォーマーズ。

 数分ほどたっただろうか。

 高所から飛び降りると、着地前にヒトは意識を失うという話を聞いた事があるが、ゲームではそのような事はないようだ。


 だから、僕がコレから落ちるだろう場所を、僕はしっかりと視認出来る。

 最悪な事に。


 ウソだろ?


 なんだよ今日は。厄日か? 大殺界か?


 落ちる場所がせめて普通の地面なら、文句は無い。

 いや、あるが。

 死にたくないが。

 痛いし。


 けど、コレは無い。

 あんまりだ。

 何がしたいんだ? 神様?


 「ゴキブリ……!!」


 僕の眼前に広がるのは、以前見た黒き閃光の群れ達。


 ムービング・コックローチの大群が森を横断していた。

 そこに、コレから、僕は落ちる。


 いや、ホント、ふざけるなよ?


 「うがああああ!!」


 ムリヤリ手を動かして、何とかログアウトを試みるモノの、やはり強風で上手く動かない。


 万事休す。

 せめて意識を失っていれば、何も知らずに死に戻り出来たのだが。


 何とかしなければ、何かしなければ。


 ない知恵を絞っていると、急に僕の腰辺りが振動を始めた。


 「……翁?」


 ワープされた時、僕の腰に戻っていた翁は、さらに振動を強くし、そして腰から外れた。

 僕と一緒に自由落下する翁。


 「……そう言えば、黒き帝王が苦手だったな」


 このままだと、翁も一緒にブラックナイルに落ちてしまう。

 だから一生懸命抜け出したのだろう。


 「悪かったな、気付かなくて」


 せめて、翁だけでも、害虫の王から逃がしてあげようと翁に手を伸ばす。


 そして、なんとか翁を掴んだ瞬間。

 力強くブルッと震えると翁はその身を伸ばした。

 あの、黒い四万十川に。


 「翁!?」


 ダークマターの群れに突っ込む翁。


 手には、しっかりと地面に食い込んだ感触。

 翁は、その身をゆっくりと傾ける。

 僕はそのまま、何事も無く、何もない地面に着地出来た。


 「翁? 翁?」


 着地後、すぐに地面から、黒と油の集合体から翁を引き抜く。

 翁の体は、汚れていた。

 土と、それと、……ダメだ!コレは言葉で表せない!

 翁のあまりの惨状に、僕はただ息をのんだ。


 翁は不規則に、ビクッ! ビクッ! と痙攣を繰り返す。


 「お前……! 僕のために……!」


 翁の痙攣は徐々に弱くなっていく。

 それは、まるで生命の灯が消えるように……


 「おい!? しっかりしろ! 僕は、まだお前に何もしてやれてないんだぞ?」


 思えば、僕はこの竹槍に助けられてばっかりだった。

 《オキちゃんを大切にしてね》

 というノゲイラの言葉が再生される。


 「しっかりしろよ! そんな、まだ出会ったばっかりじゃないか!」


 翁の振動は、手で感じるのが難しいくらい弱々しくなっていき、そして、完全に沈黙した。


 「うわああああああああああああああああああ」


 今日一番の絶叫が、僕の口から絞りだされた。








 「いや、まぁそうだよな」


 僕は自分の右手を見る。


 そこには、元気にピコピコ動く翁の姿があった。


 あの後、せめて翁の体をキレイにしてあげようと、ポーションと【子鬼の布】(売らずに取っていたもの。一応、モンスターが落としたモノは2つずつ確保して、売却している)を使って、翁の体を拭いてあげたら、普通に復活して、元気に振動を始めたのだ。


 なんでも、失神しただけらしい。



 ん? 誰から聞いたのかって?


 翁自身からだよ!


 言わせんな! 恥ずかしい!


 ……うん。僕も驚いたのだが、なんと、振動の機能を使って、音声を出せるようになったとか。


 《今度彼奴等と対峙いたした時は、まろは全力でお主を守るでおじゃるよ!》


 と右手の翁が話かけてくる。

 ちょっと、平安風なのは、アレか、一応竹取の翁から来てるからなのか。


 《あの太鼓オヤジも、輪っか女も、今のまろなら勝つ事が出来るでおじゃる》


 その自信はドコから来るのであろう。

 ただ話せるようになっただけの分際で。

 しかし、助けられたばかりである。

 そこは追及せずに、普通に感謝の言葉を述べる僕。


 「……ありがとう。でも、今回の件は、マキに相談した方がいいと思うんだよな」


 普通に翁と会話する僕。

 いや、驚いたりとかのくだりはもう終わっているし、それよりも重要な事があるのだ。


 《それは、なぜでおじゃる? 復讐しないのでおじゃるか?》


 くにゃりと、首を傾けるように、曲がる翁。

 ホント、コイツの構造はどうなっているんだろう。自由すぎる。

 とりあえず、翁の疑問に答える僕。


 「いや、アイツらがやっているの普通にマナー違反だろ? だったら、個人的に報復するんじゃなくて、しっかりと運営とかに報告した方がいいと思うんだよ。けど、僕は、報告とかの方法を知らないからな。マキに頼もうと思っている。アイツ有名人だしな」


 素人の僕が報告するより効果があるだろう。


 《なるほど。それでは、これからどうするのでおじゃる? ログアウトでおじゃるか?》



 「うーん。そのことなんだけどな」


 僕は再びメニュー画面を開く。


「ログアウトできないんだよな」


 灰色になっているログアウト画面。

 押しても目線操作しても、一向にログアウト出来る気配が無い。

 マキに連絡を取る事も出来ないようだ。

 まさかな……


 「にゃはははは……大変な事になりましたニャー」


 背後からの突然の声に翁を構えて振り返る


 《何モノでおじゃる!》


 翁が震える。


 「……お前は!?」


 だぼだぼのダルダルな靴下を履いた、指揮棒を持った黒い猫。


 コイツは


 「お久しぶりですニャ。サク様。あんニャい人ルーズ。今回は12☆Worldの監視人として、御前に参上しましたニャ」


 ペコリとお辞儀をする黒猫。ルーズ。


 「さて、お気づきでしょうが、今、12☆Worldはログアウト出来ないデスゲームになってぐぼはぁ!?」


 黒猫の顔面に蹴りをめり込ませる僕。


 ふははっはは! 復讐の時間だぜぇええ!

 僕は意気揚々とルーズを蹴りまくった。


……なんかしゃべり始めました(^_^;)


あ、12☆Worldはデスゲームじゃないですよ(・_・)

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