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12☆World  作者: おしゃかしゃまま
2112年7月9日(金) 選択☆迷いのキノコ☆孤独竜
73/85

第71☆

 ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい………ッ!!


 僕は、先ほどチラリと見た2人組を分析する。

 男性の方は、60過ぎの、飲食店とかしてそうな、元気そうなおっさんで、

 女性の方は、鎧を着ている事もあって、キツそうと言えば、そのとおりなのだが、容姿が整っていて美人に分類されるだろう見た目である。


 しかし、そんな見た目からは、想像出来ないはずの感情が僕を襲う。


 チクショウ!


 人の気配がしたから、なんとなく様子を見ようと思って近づいたのが失敗だった。

 そのまま立ち去れば良かったのに。

 フレイを見た時は、イケメンだなーとか、ムカつくなーとか、余裕を持っていたけど、コイツラは……違う!

 体の全てがアイツらを警戒してる!


 胸が激しく鳴り響き、足がガクガクと震える。


 とりあえず、アイツらと戦っちゃだめだ、逃げないと……そうだ、ログアウト!

 僕は震えながら、指でメニュー画面を操作する。


 「なんじゃあ? 出て来んのかぁ? ならしょうがないのう……ワシの【神撃】で、無理やり出てきてもらうかのう」


 ズン!っと地面に重たいモノが落ちる音が聞こえた。

 僕はその音が聞こえた方向。

 つまり、トールと呼ばれていた男性の方向を振りかえる。


 「……太鼓?」


 乗用車くらいの大きさの、和太鼓が二つ、トールの横に現れている。

 そして、手には、巨大なハンマーが握られている。

 頭の部分が1メートル以上。柄だけで2メートルもある大型ハンマーだ。


 「神の命に背くモノは、等しくその身に罰のいかずちが降り注ぐ……【神撃】壱式……バチアタリィ!!」


 男性がハンマーで太鼓を叩く。


 その瞬間。僕は体の反応に任せるまま地面を蹴った。


 そして、太鼓の音が僕の鼓膜に届いたと同時に、僕が隠れていた木に閃光が走る。

 続いて、耳を切り裂くような、音と衝撃が僕を襲う


 「うわぁああ!?」


 衝撃で体が飛ばされ、ゴロゴロと転がる僕。


 回転が終わって僕が見たのは、根元からポッキリと焼け落ちた木々だった。


 「はっはっはっはっは!……避けよったか! 音速に迫るワシの【神撃】を! 良いぞ! 良いぞぉ! 小僧!!」


 豪快に笑いながら、トールは右に左に太鼓を叩き始めた。

 太鼓の音が鳴り響くごとに、僕がいた付近に雷が落ちていく。


 「うおおおお!?」


 全速力で走りながら(転がりながら)、雷をかわしていく僕。


 (ダメだ! ログアウトの操作を出来る隙が無い! 太鼓が鳴ったと同時に、僕がいる場所に雷が生じる! なんだ? このマスター!)


 ゴロゴロと転がり続けるのに精いっぱいで、とてもじゃないけど、画面操作なんて出来ない。目線操作? 出来るか!


 ワハワハと楽しそうに太鼓を叩くトールの横で、カンダと呼ばれていた女性が鼻を押さえながら、つぶやいた声が聞こえた。


 「口臭をいかずちに変えて攻撃するなんて、なんて醜悪なマスターなんでしょう……」


 「違うぞ!? え? 知ってるよね? ワシのマスターが、振動を電気に変えるマスターだって知ってるよね? そのまま電気で攻撃すると、ゲーム上のエフェクトスピードでしか攻撃できないから、振動を電気に変える事で、ほぼ音速で攻撃出来るマスターだって、カンダさん知ってるよね!?」


 カンダと呼ばれた女性へのツッコミで、トールの太鼓を叩く手が一瞬止まる。


 ……今だ!


 手を動かし、ログアウトボタンを……


 「させんぞ! 小僧!」


 ドン!と太鼓を叩くトール。

 僕のいた場所に雷が落ちる。


 「うおおお!? っ……! じゃあ……!」


 僕は体制を立て直して、全速力で走りだした。

 ログアウトする隙は無い。だったら、ココは逃げて、それからログアウトした方が確実だ。

 そう判断した僕は、トール達から距離を取るように駆け抜ける。



 「おお! 速いのぉ! しかし、逃がさんぞ!」


 トールが太鼓を叩く。その音が僕の耳に聞こえた数瞬後に、目の前に次々と雷が落ちていく。


 「げっ!?」


 僕は慌てて急ブレーキをかけて、何とか立ち止まる。


 「【神撃】弐式、ドラムラインじゃ。半径50メートル程に、雷の壁を作らせて貰ったぞ」


 ニヤリと笑いながら、ハンマーを肩に乗せるトール。


 「……クソ! 何なんだよあんた等! 僕が何をしたって言うんだよ!」


 大声で訴える僕。

 こんな攻撃をされる覚えは無い。


 しかし、トールはきょとんとした顔で、顎に手をやる


 「何って、お主がワシらの仲間を傷つけたからじゃろ……」


 「いや、だからソレは多分自爆だし、そもそも……」


 「どちらにしてもじゃ!」


 トールはハンマーを地面に叩きつける。


 「大切なのは、お主と戦うのは中々面白そうだという事じゃ……さぁ! 戦ろうぞ小僧!」


 目をランランと輝かせる50代の男性……

 コレは話とか聞きそうにない。

 チクショウただ闘いたいだけとか……いい加減にしろよ!


 「こっちは痛いんだよ!」


 意を決して、先ほどとは逆に、トールへ向かって走る僕。

 勝てないのは分かっているが、逃げられないのなら、立ち向かうしかない。

 トールまでの距離はおよそ50メートル。

 時速100キロなら、約2秒。


 「おお! 良いぞ! 良いぞ! 来ぉい! 小僧!」


 トールが太鼓を叩く。


 その瞬間、僕はピッチとストライドを変えて、さらに加速する。

 そして、僕が前に足を踏み出した瞬間。

 後ろで雷が鳴り響く。


 「やるのぉ!!」


 ニヤリと笑うトール。

 いい加減、攻撃のタイミングも掴んだ。

 何回転がったと思ってるんだ。


 「喰らえ!」


 トールに向けて、翁を伸ばす。


 「む!」


 トールは、横に少し動いただけで、翁をかわす。


 けっこう速い。重い鎧とハンマーを持っているくせに。


 「ちっ!」


 一番の武器をかわされた。

 だったら、このまま……

 僕はトールにまっすぐ突っ込んでいく。


 「黄金の竹槍【翁】か、かなりのレアアイテムじゃのう。じゃが! そのまま突撃してくるのわ、関心せん!」


 トールはハンマーを振りかぶると、太鼓ではなく、そのまま僕に叩きつけてきた。


 速い!


 轟音が響き、辺りに雷と土煙が舞う。


 「……このハンマーが、太鼓を叩く専門とでも思ったか? もちろん。当然。 直接ぶつける事も可能じゃ」


 土煙で、空間が満たされている。


 「……しかし、やりすぎたかのう? 土煙で何も見えん……感知も効かんし、殺してしまったか? 小僧に話を……」





 そんなトールの声を遠くで聞きつつ、走る僕。


 あっぶねぇ! なんだあのハンマーを振り下ろすスピード! 死んだかと思った!


 トールがハンマーを叩き付けた瞬間。翁を地面に刺して、上に飛んで何とか難を逃れた僕。

 そのまま土煙に紛れて、逃げ出す事に成功した。



 「よし! ここまでくれば……」


 その後、念のため一分程走って、画面操作をする僕。


 とりあえずログアウトして、そのあとマキに相談しよう

 そう思って僕はログアウトを、ログアウトを、……





 右手で、ログアウトを選択しようと思ったのだが、気付けば、右手が消えている。


 肩くらいから。



 「え?」


 そして、そのまま視界が低くなっていく。


 「は?」


 ゴロンと仰向けに転がった僕は、自分の腰辺りを見る。

 そこには、小さめのフラフープみたいなモノが付いていて、その先に僕の下半身は無かった。


 「【瞬間の円盤(ワープ・フープ・アルティメット)】」


 そう言いながら、人間の腕と下半身を持った、黒髪の女性。


 カンダが歩いてきた。


ワシの【神撃】は、壱〇八式まであるぞ!!


※ウソです。

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