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12☆World  作者: おしゃかしゃまま
2112年7月9日(金) 選択☆迷いのキノコ☆孤独竜
72/85

第70☆

 

 「【逆に溶かす英雄の(ウイング・オブ・ヘリオス)】この100万度にも達する炎の翼は全てを溶かす……痛い目……いや、痛いと思う間もなく消えたくなければ、大人しく立ち去ってくれないかな?」


 ニコリと笑うフレイ。

 イケメンが、カッコいい鎧を着て、炎の翼を生やしている……


 なんだ!?


 この胸のムカつきは!!


 男として当然の感情を持っていると、5人組の男たちも同じ感情のようで、大剣を持った男が、前に出てきていた。


 「はっ! マスターか。さすがは10大ギルドの一つ、テンプル騎士団。こんな東の島に来るような部隊の隊長でも使えるなんてな……お前たちは下がっていろ。ここは俺がやる」


 男性は大剣を抜くと、気合いの声を出す。


 「はぁああああああああ……!」


 そして、その男性の声と共に、男の持っている大剣に金属が纏わりついていき、巨大化していく。

 2倍くらいの大きさになった、剣と言うには余りに無骨過ぎる鉄の塊を構える男性。


 「これが、俺のマスター……【鉄塊の大剣(グレート・ツヴァイヘンダー)

鉄の魔力を流すことにより、自身の武器を、巨大に、強大にすることができる! しかも!」


 3メートルほどの大きさになった大剣を振り回す男性。

 しかし、その速さは、通常の剣を振り回しているのと大差ないスピードである。


 「魔力の込められた鉄……魔法鉄の効果によって、使用者の感じる重さが少なくなっている。どうだ? 逃げ出すなら、今のうちだぜ?」


 ギラギラとした目をフレイに向ける大剣の男。

 どうやら、翼の生えたイケメンに怒りを感じていないようである。


 この目は、多分闘いを楽しもうとしている目だ。

 ソレに、この男性も良く見れば中々のイケメン。


 ちっ。仲間じゃないのか。男じゃないな。


 「へぇ……話も出来ない野蛮人かと思ったら、まさかマスターを使えるとは」


 フレイは炎の翼を消し、両手を広げた。

 ソレは、力を見せた大剣の男に対する降伏の証か、それとも


 「どうだい? ユー。良ければテンプル騎士団に入らないかい? 今オリジナルマスターを使える者を探していてね……我々の仲間になれば、世界樹で採取も出来る。悪い話ではないと思うが……」


 ニコニコと笑うフレイ。


 両手を広げたのは、歓迎の意思か。


 突然のフレイの申し込みに、目を広げて驚いていた男性だが、すぐに口元も歪ませると笑いの形を作った。


 「へっ! ビビリやがって! 誰がお前らみたいな詐欺師グループに入るか! 俺たちは【フェンリルの牙】! オオカミは何モノにも媚びないんだよぉ!」



 鉄の塊と化した大剣をフレイに振り下ろす男性。


 瞬間。

 フレイと大剣の男性の周りが光ったと思うと、消えていた。


 大剣の男性の、3メートル以上はあった大剣が。


 柄だけ残して




 「……ッ!?」


 「ふー……言ったはずだ。僕の【逆に溶かす英雄の(ウイング・オブ・ヘリオス)】の熱量は全てを溶かす。月に向かって吠えることしか出来ないオオカミ風情が、太陽に逆らうなんてな」


 いつの間にか炎の翼を生やしていたフレイ。


 大剣は、フレイの翼で燃やされ、消されたのだ。


 「う……うおおおおおおおお!!」


 男性はまた声を上げる。

 すると、柄だけになった大剣に、金属が纏わりついていく。


 「やれやれ。実力差も分からない野蛮人とは……やっぱりいらないな」


 先ほどよりも明らかに小さい鉄の剣を振りかざした男性。

 その男性を、フレイの翼が包み込む。


 「ぎゃぁああああああ!!」


 翼の炎が男性の毛皮の鎧を燃やしていき、男性は火ダルマになった。


 「ロウガ!! よくも!!」


 おそらく、大剣の男性の名前だろう。

 後ろで見ていた大剣の仲間たちが、名前を呼びながら、それぞれの武器を持ち、フレイに攻撃を仕掛けて行く。


 「君たちも消えなよ……【近づくな愚かフレア・ダウン】」


 フレイが炎の翼をはためかせると、無数の炎の羽が大剣の男性、ロウガの仲間達に降り注いでいく。


 「うわあああああああ!!」


 男性達の悲鳴が広がる。


 数分後。

 そこに人影はなく、黒くなった地面だけが残されていた。


 「さて、と。結局PKになってしまったが……まあいい。契約書の写しを見せて、メインク辺りにニボシでも掴ませれば大丈夫だろう」


 鎧の男たちを呼び寄せ、何か指示を出すフレイ。

 僕はソレをただ見ていたのだが、フレイは僕に気付いたのか、急に話しかけて来た。


 「ああ、そう言えば君がいたね……どうする? 君も無駄な特攻をしてみるかい?」


 フレイが炎の翼を広げながら、僕に話しかけて来た。


 自分は強いぞーってアピールされているようで、中々ムカつく。


 目の前で、男性5人組が瞬殺されたのだけど、僕のフレイの評価は、ザコだ。


 なぜなら……


 「いや……ところで、その翼、100万度……でしたっけ?」


 炎の翼を指差す僕。


 「あ? ああ、そうだ。あの天空に輝くライジング・サンのように、この翼の……」


 「その割には……あんまり熱そうじゃないですよね?」


 ……


 突如、空気が重く、冷たくなった。


 あれ? やっぱり悪い事言ったか? 

 ファイヤーシープの炎と比べるとあまりに熱そうじゃなかったから……アビス・ケルベロスの半分くらいだ。


 謝った方がいいか?


 ムカついていたから、つい言ってしまったが、100万度だー!なんて思っている人に、熱そうじゃないなんて、よく考えれば失礼な話だ。


 「い、いい今、き、君は、なんて言ったのかな? 熱くない? なんて言っていないよな? この、常時100万度、最高で1兆度にも達する、神の翼、【逆に溶かす英雄の(ウイング・オブ・ヘリオス)】に向かって……」


 プルプルと拳を震わせながら、顔を真っ赤にして、内なる何かを耐えているような素振りのフレイ。


 ヤバい。


 ここまで怒ると思って無かった。

 素直に、なぜ熱くないと思ったのか理由も付けて、謝った方が良さそうだ。


 「すみません。【逆に溶かす英雄の(ウイング・オブ・ヘリオス)】……でしたっけ。その翼から、暖房器具くらいの熱さしか感じなかったので…………すみませんでした!」


 ピシリと音が出るくらい綺麗に頭を下げた僕。

 完璧な謝罪だ。

 コレでフレイさんも怒りを鎮めてくれるだろう。

 そう思っていると、


 「ふ……ふふふ、ど、どうやら、君も死にたいようだね……僕の【逆に溶かす英雄の(ウイング・オブ・ヘリオス)】で!!」


 少し低めに設定されたファンヒーターくらいの温かさを感じた僕は、下げた頭を上げる。

 僕の完璧な謝罪が失敗したようである。

 そこには、先ほどの倍以上に羽を大きくしたフレイが立っていた。


「い、いや、100万度って言うから、そんなモノ生やしてたらフレイさん自身もヤバいはずなのに、何も成って無いから、言うほど熱くないのかと」


 弁明を続ける僕。

 しかし、フレイの怒りは収まらない。


 「な、何を言っている! 僕が燃やしているんだ! 僕が燃えるはずはないだろうが!!」


 さらに翼を大きくするフレイ。

 彼の内面を表現しているように、翼はドンドン大きくなっていく。

 それに応じて、彼の翼から感じる熱も……多分少しずつ大きくなっている、と思う。

 炎の翼がさらに倍以上の大きさになって、


 そして、彼は半裸になった。


 ……なんで?



 「消えるがいい! 1兆度の炎……ん? なんだ? なぜ鎧が? え? HPが! なんだ!? 一体何が!? うあああ??」


 ジタバタと暴れ出すフレイ。

 翼の炎が彼に移っている。

 先ほどのロウガ達のように全身を焼かれるフレイ。





 「フレイ様―!?」


 鎧の男たちが、フレイに駆け寄っていく。


 「貴様! フレイ様に何をした!!」


 フレイの火を消そうとしている鎧男の1人が僕に訴える。


 「え……? いや、特に、何も」


 何が何だか分からない僕。

 ん?いや、そう言えばマキが……と昨日のマキが教えてくれたマスターについての解説を思い出す僕。


 「オイ! 応援を呼べ! 全員でコイツを捕らえるぞ!」


 ピーッ!と胸元から取り出した笛を吹く鎧男。

 ドコにいたのか、森じゅうからワラワラと同じ鎧を着た男たちが2~30人ほどやって来た


 マズイ。退却した方が良さそうだ。


 足に力を入れて、駆け出す僕。


 「逃がすな! 追えー!!」


 「ひいいいい!?」


 こんな大量の男たちに追われた経験は……実はけっこうあるのだが、やはり慣れるモノではないし、恐い。


 全速力で走る僕。


 「何だ!? アイツめちゃくちゃ速いぞ!?」


 後ろの方から聞こえる声を微かに聞きながら、昨日のマキの言葉を思い出す。



 『1000人に1人』


 ソレが、βテストでマスターを使いこなせた人間の割合だそうだ。


 『マスターは、思い込むだけで、何でもできるお手軽簡単チートだー。なんて、言う人がいるけどね。思い込むって事はとっても難しい事なんだよ』


 『例えば、マスターの仕様を聞いて、皆がよく思い浮かべるのが、剣とかに炎を纏わせる【魔法剣】の類の能力なんだけどさ。結局、マスターで再現出来ないか、再現出来たとしても、威力が弱いか、武器を失うだけなんだよね』


 『だって、そうでしょ? 武器に炎を纏わせるって事はさ、武器を燃やすって事なんだよ?そりゃ、強度は落ちていくし、強度が落ちない程度の火力を武器に纏わせても、威力は出ない。なぜ、炎を纏わせても、武器にダメージがいかないのか。【魔法剣】を再現するには、ここまで考えないと行けないのさ』


 『思い込むって事は、思いを込めていくって事なのさ。徹底的に、その事に対して、向き合って行く事。生半可なイメージじゃ、再現出来ないか、出来たとしても、矛盾が生じていずれ弾かれる』


 『……だから、サク兄が思っている。透視能力を作って、女の裸見放題だぜー。うひょー。なんて能力。どうやって服を透かして裸を見るかを突きつめないと、再現出来ないからね』










 思ってねーわ!!


 はっ!

 回想に突っ込んでしまった。


 しかし、多分コレが、フレイが燃えた理由だろう。

 100万度の炎に、なぜ自分は焼かれないのか。

 そこを、考えていなかったのだろう。

 考え込んで、思い込んでいなかったのだろう。

 だから、僕の言葉で簡単に火が付いたのだ。



 「待て! 報告は聞いたぞ!!」


 気付けば、僕の10メートル程前には、鎧の男たちがいた。

 何人いるんだよ、テンプル騎士団。

 その向こうには、餓死の川が流れている。


 「おとなしく投降しろ! そうすれば、まだ……」


 鎧の男の警告を無視して、飛び上がる僕。

 10メートルくらいだ。

 まだ飛べそうだなと思いつつ、アイテムボックスから、翁を取り出す。


 「伸びろ!」


 川底に翁を突き刺し、そのまま鎧の男たちごと川を超える僕。


 「なんだと!?」


 「この野郎! 逃げるな!」


 対岸でギャイギャイと叫ぶ鎧の男たち。


 「何も悪い事してないのに、責められる趣味は無いんだよ」


 べーっとあっかんべーをして、そのまま僕は立ち去った。




 「クソ! 逃がした! なんてスピードだ」


 「なんだアイツ? 10メートル以上ある川を飛び越えやがった。しかも、あの武器。マスターか? 伸びやがった!」


 「ココは誰も通すなと厳命を受けていたのに……」


 「まぁ、あの人達が何とかしてくれるさ……この先にいるのはテンプル騎士団最速のお二人だからな」






 フルーツリーの森は2つに分かれている。

 サクラが餓死の川と呼んでいる、バウンドの川を境に、西と東で。


 始まりの街から遠い方。


 東の森に二人の男女がいた。


 女は20代。男は60代くらいだろうか。


 2人とも、荘厳な鎧で身を固めている。男が金。女が白。

 腰まで伸ばした黒色の髪を一つにまとめながら、金色の鎧の男性に話しかける女性。


 「……予想通り、こちらのフルーツの方が質は良さそうですね。錬金術に耐えれそうなフルーツが約5割……西の森の5倍です」


 顎の無精ひげをいじりながら、金色の男性が頷く。


 「うむ……錬金術で作ったジュー……」


 「息が臭いのでしゃべらないでください」


 「えー……」


 言葉を遮られる男性。女性から話しかけてきたのに、あまりの仕打ちである。


 「ま、まぁ、ソレがカンダの良いとこか」


 「……顔面を二つに分けたら、口臭は無くなるのでしょうか?」


 金属で出来た輪っかを2つ取り出す女性。


 男性は思わず身構える。


 「ちょちょちょ! カンダの【瞬間の円盤(ワープ・フープ・アルティメット)】はさすがにワシでも危ない! まったく……そんなに息臭いかな?」


 手で自身の息を受け、匂いを嗅ぐ男性。


 「確かめなくても臭いですよ、トールさん。だから死んで臭い」


 手に持つ輪っかの数を増やす女性。


 「ヒドすぎるぞ! いくら神のごときワシでもそろそろ怒るからな……ん?」


 メニュー画面を開き、突然来た彼の部下からのメッセージを確認する男性。


 「……フレイのヤツがやられたおった。若造が。報告を見る限り、おそらくマスターでの自滅じゃがな。フレイを倒した奴は、バウンドの川を越えてこっちに来ているらしいぞ」


 部下からの報告を読み進めていくにつれ、笑みがこぼれる男性。

 無精ひげをいじりだす。


 「フレイ……あの雑魚ワキガか……自滅って、炎の翼なんて一周回って逆にダサいマスターを使っていたら、当然でしょうね。けど、自滅なら、なんでそんなに嬉しそうなんですか?」


 「いや、中々面白そうだと思ってのう。 部下の報告では、ソイツは物凄いスピードで……」


 「だからしゃべらないで臭い」


 「……お前」


 ガシガシと頭を掻き、立ち上がる男性。


 「まぁ、いいわい。テンプル騎士団特務部隊【七曜の盾】最速のワシより速いか、確かめてやるとするか……のう小僧?」


 男性は、20メートル程後ろの木陰に隠れていた、サクラに話しかけた。


冬の童話祭りに参加しました。


ポクパエリアとたーくんというタイトルです


     ↓

http://ncode.syosetu.com/n1328bn/


小説というより、絵本の文章みたいになっていますが、お時間がございましたら是非一度ご覧くださいm(_ _)m

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