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12☆World  作者: おしゃかしゃまま
2112年7月7日(木) 七夕☆岩壁☆炎の羊
54/85

第52☆

 「いや、無理だって、諦めろって僕」


 未だに後ろ髪を引かれる思いで、しかさんのお店の方を見る。


 しかさんのお店に出来ていた行列は、あの道にいた人達だけじゃなく、延々と続いていて、目算だけでも軽く1000人を突破していた。


 120名の限定で1000人……しかも、7000人以上の人から残る事を選んだ、厳選された1000人である。どう考えても無理だ。


 けど、それでも、諦めきれない僕がいるのだ。チクショウ!


 なぜって? ソレは決まっている。


 (巨乳美少女……ッ!!)


 行列から離れて、一応しかさんのお店、ディアホースを確認しにいった僕は、行列に並んでいる人達の声を聞いたのだ。


 『なぁ、お前に連れられて並んでいるけど、しかさんってどんな人なんだ? 男か? 女か?』


 『ん? なんだ、知らないのか。女だよ。超美少女。天才クリエイター。[蒼艶のしか]彼女、顔はいつも半分ぐらい布で隠しているから、オレも素顔は見たことないけど、ただな。胸が凄いんだ。作業をするからいつも薄着なんだけど、その薄い布を破らんばかりのミサイルが、彼女が作りだした最強の武器だって言う人もいるくらいだしな。まぁ、実際彼女が作る武器が、課金とか、高難易度イベントクリアの武器を除いて、今の所12☆Worldの中でダントツで強いからな。マスタークラスの職人だよ』


 『へー。けど、顔半分隠してちゃカワイイかなんて分からないだろ』


 『そんな事言ったら、お前の好きなミカちゃ……たん。悪い怒るな、メンドクサイ』


 『ミカたんはなぁ! 顔が半分しか見えなくても、そこら辺に歩いている動く雌豚共が全力で化粧をした10兆倍はカワイイんだよ! ミカたんをなめんなぁ! オレのクナイのサビにしてやろうかぁ!? ああぁん!?』


 『やめろ、悪かったから。しかもお前生産職メインだから、あんまり強くないだろ。てか、しかさんも、顔半分しか見えないけど、目とかクリクリしていて、めちゃくちゃカワイかったぞ。少しその、ミカ……たんにも似ていたような』


 『てめえぇ!!!! ミカたんが! この世の最高傑作であるミカたんが、そんな脂肪のカタマリにしか価値の無い女に似ているなんて、あるわけがないだろうがぁ!! このクナイでタダの肉のカタマリにしてやろうかぁ!』


 『馬鹿! こんな、しかさんのファンが大勢いる所でそんな事を大きな声で言ったら、お前がただの肉のカタマリになるぞ! だいたい、お前の方が価値が無いくせに……』


 『おうおうおう!そこのガキども、なんか今聞き捨てならない言葉が聞こえてきた気がしたが……誰の何が脂肪のカタマリだって?』


 『す、すみません。こいつが勝手に言ったことですから、僕は関係ありませんから……ギャーー!』


 といった会話が聞こえた。


 うん。後半はなんか僕もいらない気がする。


 ちなみに、この会話の後に始まった乱闘に紛れて列に並ぼうとしたけど、すぐに追い返されました。チクショウ。


 本当に、チクショウだ。


 せめて、しかさんが、男性とか、普通の女性だったら諦めもつくのだが、超美少女。

 しかも巨乳。


 一度でも運命を感じてしまった僕の心は、激しく暴れているのだ。狂う程に、無茶苦茶に。


 チクショウ! チクショウ! チクショウ!


 「早くパスコードを入力してくれませんか?」


 「あ、すみません」


 受付のお姉さんに怒られて、現実に……、いやゲームの中だけど、現実に戻る僕。

 お姉さんに急かされてホログラムを操作する。


 僕は今、中央広場に戻ってきている。


 戻ってきて、何をしているかと言うと、キャンペーンのコードを入力するためだ。


 ほら、あれだ。あの、その。たなプレの……な?

 言わせんな! 恥ずかしい!


 ……その。本当に恥ずかしい。

 唯一のたなプレが、150円のジュースに付いているクジ一枚だなんて……


 なんか、涙が出そうだ。


 パシリをして、たなプレがシールで、墜落死して、運命のマイエンジェルに会えなくて……


 だから、いっそ嫌な思い出はさっさと済ませてしまおうと、僕はこのキャンペーンをシールに書いているコードを入力しに、中央広場にあるキャンペーンコード引換所に来たのだ。


 どうせ、ココまで不運が重なっているんだ。このシールのコードも当たらないだろう。


 ホログラムに、プレエク3に読み込ませてあったコードを入力する僕。

 ちなみに、ミツヤリーの12☆World共同キャンペーン。3×4の力は折れないぜ!の商品はこんな感じ。


  C賞 ルーキーポーション×3 応募者全員


  B賞 マジックポーション×3 1200名様


  A賞 3つの蜜のスポーツゼリー×3 360名様


  特賞 スター引換券×3 120名様


 ハズレは無しで、最低でもルーキーポーション3つは貰えるのだ。


 飲まないけど。あんなマズイ物飲めません。

 特賞のスター引換券、A賞のスポーツゼリーなんて、喉から手が出るほど欲しいが、無理無理、当たらない。当たるわけ無い。


 そんな感じでやる気なく、入力ボタンを押す。


 すると、画面が切り替わり、C賞 ルーキーポーション×3などと書かれた文字が画面上を上下に周り始めた。


 お守りのルーレットと同じ感じだ。


 勢いよく回り始めたルーレットは、次第にその動きを止め始める。


 B賞 マジックポーション×3


 A賞 3つの蜜のスポーツゼリー×3


 C賞 ルーキーポーション×3


 C賞 ルーキーポーション×3


 と動いていき、C賞 ルーキーポーション×3でその動きを完全に停止した。


 やっぱりか、と諦めの境地で天を仰ぎ見た僕だったが、ルーレットから流れた、あと一息といった感じのピコンとした音につられて、画面を見直す。


 すると、そこには




 特賞 スター引換券×3


 と金色に輝く文字が……!


 「おめでとーございまーす! 特賞でーす!」


 先ほどまで、若干不機嫌そうだったNPCのお姉さんがにこやかな笑顔と共に鐘を鳴らす。


 「マジかよ……!」


 声が震える。マジか……やっぱり


 澤木さん、マジ天使!


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