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12☆World  作者: おしゃかしゃまま
2112年7月6日(水) ポーション☆クサリ槍☆友情
42/85

第40☆


 「な!?」


 驚愕した僕の目に見える範囲、周囲360度全てを鎖がぐるりと覆っている。


 『ノゲイラが槍のレベルを120にした時に【子】から貰った特典のユニーク武器』


 『敵を鎖で追尾して拘束する。その槍からは誰からも逃れられない。絶対拘束の狂怖のクサリ槍。その名も……【ゲイ☆ボルグ】!!』


 「ゲイゲイうるせぇなぁ!!!」


 ノゲイラにゲイボルグって!


 そんな僕のツッコミと受けてかどうかは分からないが、鎖の包囲が一気に狭くなった。


 「うわ!」


 唯一鎖が無かった上へ向けて僕は飛んだ。


 しかし回避は間に合わず、右足に鎖が絡みつく。


 「いうぇ!?」


 ジャンプスターの力で高く飛び上がった僕の体は、鎖に引きずられ、地面に叩きつけられた。


 地面に体が当たった衝撃に顔をゆがめる。

 しかしこのまま地面とキスをしているわけにはいかない。

 食べれても、砂は僕の嫌いな食べ物だ。

 僕はすぐに起き上がり、足に絡みついた鎖を外そうと手で鎖を引っ張る。



 僕が鎖に苦戦していると、突然僕の体が宙に浮いた。


 鎖に導かれた僕の体の向かう先には鎧の武者がいる。


 「ウホ! 良いケツ! やらないか!?」


 拒否できない誘いと共に繰り出された武者の攻撃を、僕はかわせなかった。

 武者が繰り出した攻撃は、僕の想像を絶するモノである。


 武者は僕を鎖で導くと、空中に浮いている僕を受け止めた。


 お姫様だっこで。


 お姫様だっこだ。


 うん。大切な事なので2回言いました。


 ふわりと優しく僕を受け止めた武者は、言葉と共に、心を奥底まで抉る凶悪な攻撃を繰り出した。


 「ウホ! 良いケツ! やらないか!?」


 「ひぎゃ!?」


 武者はさわりと僕のお尻を撫でたのだ。


 「なにすんじゃこらーーーーーー!!」


 あまりの気持ち悪さに激怒した僕は、勢いよく武者の顎を右足で蹴り抜く。


 「ウホォォォオオ!?」


 と言葉を吐きながら武者は僕を離してレンガの壁へと吹き飛んでいく。


 そして鎧武者が壁にぶつかった瞬間。


 石で出来た壁が粉々に粉砕した。


 「…………え?」


 自分が起こした現象に驚く僕。


 鎧武者が飛んでいった壁は、トラックが激突したかのように穴が空いている。


 「……これって僕がしたのか?」


 えっと……


 「……ゲームだから。コレはゲームだから」


 現実でも見たことがない程の破壊現象に、一瞬思考が停止したが、納得できる理由を見つける僕。



 「時速50キロの速さで走れるんだ。その脚力で人を蹴ればああなるはずだ。うんうん。……ってゲーム?」


 あることに気づく僕。


 「そうだよ! ここゲームだよ! 真面目に逃げるんじゃなくて、さっさとログアウトすれば良かったんだ」


 僕はゲームからログアウトするためにステータス画面を空中に出したが。


 「……へ? ログアウト不可? なんで?」




 いつもならステータス画面の右上に表示されているログアウトの文字が灰色でくすんでいる。

 視線で操作しても、指で押してみてもなんの反応を示さない。


 「これは……まさか……」


 ある嫌な想像が頭をよぎる。


 (そんな……まさか。いや、アレは無いって……)


 よぎった想像を否定する僕。無い。アレは無い。アレは小説とか物語だけの話だ。

 しかし、そんなぼくの考えを見透かしたかのように、僕の頭から声がする。


 『気付かれましたかニャ? ゲームクリアまでログアウト不能、ゲームの死=現実の死である通称デスゲーム。12☆Worldはそのゲームに突入しましたニャ。まさか私もこんな事になるなんて……ウソからでたマコトって奴ですニャー』


 ゲームの案内人。ルーズの声が、僕の頭に響いた。


 「おい……いや、またウソか?」


 以前、この猫がついたウソを思い出す。


 けど、


 『ニャハハハー。疑うのは自由ですが、ログアウト出来ないのはホントですニャ? まぁ、信じないまま死ぬのも一興かと思いますけどニャー』


 「……っ! マジかよ」


 確かに。


 突き付けられたログアウト出来ないという現実は、現状をデスゲームだと表しているようである。


 ルーズのウソである可能性も高いが、ログアウトが出来ない事を考えると、危険は0では無い。

 

 なんて事だ。

 

 って、そういえば、マキは今強力なボスと戦っているんじゃ……


 マキに連絡を取ろうとするが、通話の部分も灰色になって選べなくなっている。


 コレでは、マキの安否を確認することも出来ない。


 受け入れたくない情報が多すぎて、思考がはっきりとしていない。


 けど、とにかく、マキの所へ行こうと足を出したその時。


 「ウホォオオ!! 良いケツゥ!!」


 崩れたレンガを押しのけて、鎧武者が復活してきた。


 しかも元気だ。まるで堪えていない。

 

 鎧武者はピョンと飛び上がり


 「良いケツゥウ!!!」


 と、声と共に槍を突きだしてきた。

 僕の頭目がけて。


 「ひッ!」


 条件反射でその槍をしゃがんで避ける。


 気の所為か、先ほどよりも速い。


 僕の体中から冷や汗があふれ出てくる。


 だってそうだろう。


 避けてから気付いたが、もし本当にデスゲームになってしまっているのなら、この槍が刺さったら死んでしまうのだ。


 冗談じゃない。

 たかがゲームで死んでたまるか!


 「ちょっ、ちょっとまってくれ! アンタも聞いただろ? も……」


 僕は鎧武者に、デスゲームに突入してしまったから停戦しようと呼びかけたのだが


 「うほぉおおおお!!」


 武者の鋭い突きで僕の呼びかけはキャンセルされる。


 「うわああああ!」

 武者の突きを避け、避け、避け。


 ゴロゴロと転がりながら、必死に、体裁など気にせずひたすら避ける僕。


 (ダメだ……僕に蹴られてのムカついたのか、頭に血が昇ってるみたいだ。話が出来る雰囲気じゃない)


 どうにかしないと、と僕が思っていると、執拗に槍を突いていた武者の動きが止まった。


 (……止まった? もしかして、少し頭が冷えて来たのかな? これなら話出来るかも)


 確かに、この時、武者の頭は冷えていたんだと思う。

 けどそれは、イコール戦闘停止ではなく、効率よく僕を倒すための冷えだったようで。


 武者は自分の槍の持ち手の先に付いている鎖を手に持つ。

 その鎖の先には、僕の右足が巻きついている。


 (……まさか!)


 武者が鎖を引っ張る。


 僕を、引き寄せるために。

 僕を突き刺すために。

 もしくは撫でるために。


 どれもヤダ。


 「ウホォオオ!! ……ウホォ?」


 しかし武者が引いた鎖の先にあるのは鎖だけだった。


 何メートルあるか分からないくらいの長さがある鎖を引くには、若干のタイムラグがある。

 その若干の時間を使って、一瞬早く鎖を手にした僕は、鎖を噛みちぎったのだ。


 スター【暴食】


 僕の口の中で消えた鎖は少しだけ鉄の味がした。血の味だ。


 口を切った訳ではないけど。


 なにかスイッチのようなモノがガチリと自分の中に入る気がした。


  (腹立つなぁ……!)


 何に怒っているんだろう。


 逃げ続ける自分に? 人の尊厳を軽視している武者に? 命で遊ぶクソ猫に?


 多分全てだ。



 「や ら な い か?」


 鎖がちぎれて驚いていた武者は気を取り直したのか、今までで一番の速さと鋭さの突きを繰り出してきた。

 圧倒的なレベル差のある武者の突きは、素人目で見ても分かるほどの洗練された姿勢から繰り出されており、その一挙手一動全てが美しく見えた。


 そう。


 見えた。


 全てが、僕には見えている。



 今度は体勢を気にして。


 僕の体の中心を突こうとした槍を少しだけ回転しながら避けて。


 その回転の勢いを右足に込めて武者の胸部を思い切り押し込む。


 「グホォ!?」


 武者は10メートル程道を吹き飛んでいった。


 「陸上部なめんな」


 武者に向かって僕は言った。


 陸上部の前蹴りを喰らって、腕の骨を折った経験のある作者です。


 その僕の腕を折った相手とゲーム友達だったりするから人生って不思議。


 

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