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12☆World  作者: おしゃかしゃまま
2112年7月6日(水) ポーション☆クサリ槍☆友情
39/85

第37☆

 「こんな事になるんだな」


 僕は猫のお守りを外した。


 猫のお守りを付けた状態で全力で走ろうとすると、自然と猫のように4足歩行になってしまったのだ。


 全身の筋肉をバネのように伸ばして駆け抜けていくのは、2足歩行では味わえない肉体の動作であり、カラダを動かすという事に対して新しい感動を覚えたが、2足歩行との感覚が違いすぎた。

 4足歩行で走ると、多分普段の倍くらいのスピードが出て気持ち良かったが、僕が12☆Worldで走るのは練習の意味も強い。

 とりあえず、ブドウの樹で採取するまでは猫のお守りを付けていたが、採取も終えて、フルーツリーの森を抜けた以上、練習のために猫のお守りを外したのだった。


 「……恥ずかしいしな。この年で四つん這いになって動くの。……まぁ、それは置いておいて」


 まずは、今日教室で聞いた情報から、すぐに使えそうなテクニックを使ってみる。

 まぁ、今のホログラムとかが当り前な現代なら使えて当然のテクニックなのだが。


 【目線操作】という奴だ。


 今まで僕は、目の前に現れたホログラム画面を手の動きで操作していたのだが、コレを目線の動きだけでするというテクニックだ。


 普段は、カードの画面なんかも手で操作するのが好きなのでゲーム内では使わなかったが、走りながら調理とかするし、使った方が楽だと思い練習する。


 いや、練習というほど練習する必要はないけどね。


 【目線操作】は人のために開発された技術だ。


 技術は基本的に人が楽をするために生み出される。

 何時間も練習しないと使えない技術なんて必要ない。


 とりあえず、僕はアイテムボックスから【目線操作】を使い【美味しそうなミックスジュース(錬金)(ブドウ&リンゴ)200ml】を取り出す事にする。


 ステータス画面よ出ろ!と思うと、僕の目の前に画面が出てくる。

 普段なら、コレを指の動きでカーソルを動かして操作するが、今回は目線だけで動かす。

 集中して見ただけで白い矢印が動き、【美味しそうなミックスジュース(錬金)(ブドウ&リンゴ)200ml】の所へいく。


 僕はミックスジュースを見ながら、素早く3回瞬きをする。


 すると、アイテムを選択したことになり、僕の手元に【美味しそうなミックスジュース(錬金)(ブドウ&リンゴ)200ml】が現れた。


 【目線操作】は成功したようだ。


 「さて、お次は……」

 僕は【目線操作】を使って、【設定】の項目を選択する。


 今僕がしているのは、【ログアウトの時間設定】だ。


 VRMMOで良くあることが、ゲームの世界に没入してしまって、現実の事をおろそかにしてしまう事だ。……餓死とか。

 それを防止するための機能の一つがこの【ログアウトの時間設定】。

 指定した時間に、自動でログアウトしてくれるという機能だ。


 これを使えば、ゲームに夢中になって約束をすっぽかしてしまうなんて事もない。

 ……まぁ、本当のゲーマーはまずゲーム以外の行動で時間を使わないかもしれないが。


 一応、プレエク3のゲームは全て、8時間以上の連続プレイは出来ない仕様になっている。

 8時間連続でプレイしてしまうと、強制的にログアウトされ、その後6時間プレエク3を使う事が出来なくなるのだ。

 だから、廃人の方々は、7時間50分ゲームをプレイした後、15分休憩をしてゲームを再開するらしい。

 ……それで誤魔化せてしまうのはいいのかと思うが、逆にコレくらい規則が緩い方が統制がとれるのかもしれない。

 

 話が逸れてしまったが、とにかく僕はログアウトの時間を今から1時間30分後の18時30分に設定する。

 今日の夕食は、夏だし、スッキリ爽やか、そうめんだ。


 やることといったら、薬味として、ネギやワサビ、ゆずやレモン、モロヘイヤなどを用意してそうめんを茹でるだけだし、ログアウトの時間はギリギリでいいだろう。


 そういえば、僕がなぜブドウを採取していたのかというと、一番効果が高いミックスジュースがこの【美味しそうなミックスジュース(錬金)(ブドウ&リンゴ)200ml】だったからだ。

 この【美味しそうなミックスジュース(錬金)(ブドウ&リンゴ)200ml】は、


 効果が SP60回復 MP24回復 HP36回復だったが、


他の組み合わせのミックスジュース。


 例えば、【美味しそうなミックスジュース(錬金)(ブドウ&イチゴ)200ml】だと、


 効果がSP60回復 HP36回復になる。


 リンゴを組み合わせた場合も

 【美味しそうなミックスジュース(錬金)(イチゴ&リンゴ)200ml】の効果は、

 SP60回復 MP 12回復 HP20回復だった。


 ブドウとリンゴが特別に効果が高いなんて、少し宗教みたいだなと思いつつ、僕はジュースを一気飲みしてMPとSPを回復させた。


 「さて」


 走る前にすることがある。

 僕は暴食のスターを外して、調薬のスターを付ける。


 ポーション作成だ。

 

 今日の学校での情報収集のおかげで、ポーションの作り方は判明している。

 ロリコン野郎が自慢げに話していた。


 薬草を細かくして【薬草(粉)】を作り、それに井戸から採取した【井戸水】を混ぜ合わせれば良いそうだ。

 僕はアイテムボックスから【薬草】をとりだす。

 【薬草】は、【調薬】と【分解】どちらも出来るようだ。


 「これ、どっちをしたらいいのかなー」

 悩む僕。


 「まぁ、いいか。とりあえず【調薬】をしてみよう」


 【薬草】を分解した場合は、【薬草(粉)】ができるかな?と、ある程度予想できるが、調薬した【薬草】がどうなるか良く分からない。


 僕はまず薬草を【調薬】することにする。


 果物達を【調理】した時と同じように、【調薬】を選択して、システムの補助を受ける。

 そして薬草を手に持ち魔力を流すふりをする。


 すると手の中の薬草が光った。


 出来たかな?っと、僕は手の中の薬草を確認する。


 そこには黒い物体が、ブスブスと煙を出していて、ちょっと焦げた匂いが漂ってきた。

 熱くは無い。


 僕はその黒い物体をステータス画面ですると


 【失敗ゴミ】錬金術に失敗した時に生まれるゴミ。


 と書かれていた。


 「……え? 失敗とかあるの?」


 初めての事態に驚いた僕。

 どうして失敗したのだろう?


 「薬草をいきなり【調薬】したのがいけなかったのかな?」


 気をとり直して、今度は薬草を【分解】する。


 手の中の薬草が光り輝き、僕の手の中には黒い物体が……


 「……え? 何? もしかして、錬金術でポーションって作れないの?」


 その後、手持ちの薬草を、【分解】と【調薬】で交互に変化させていったが、全て【失敗ゴミ】に変わっていった。


 MPの値を見ると、あと【調薬】一回分の7しか残っていない。先ほど【薬草】が切れたので、今度は【良薬草】だ。


 僕はシステムの補助を受けて【調薬】を発動させる。

 手が輝き、手の中から試験管に満たされた薄緑色の液体が……


 「おぉ!!」


 僕は感嘆の声をあげる。


 【ポーション(錬金)】HP50回復


 遂に出来た手作りポーション。金の成る液体だ。


 しかし、なぜ急に成功したのだろう?

 MPを回復させるためにブドウとリンゴのジュースを飲みつつ、僕はステータス画面を確認する。

 原因はすぐに分かった。


 「レベルか……」


 錬金術師のレベルが9→10になっていた。

 10とかいかにも節目のレベルだ。

 10まで薬草の【調薬】は成功しないか、成功する確率が極端に低いのだろう。


 で、失敗でも錬金の"経験"値は蓄積されていき、最後の【調薬】の前の【分解】でレベルが上がり、ポーションの調薬が成功したと。


 「まぁ、そんな事はいいか」


 ポーションさえ作れたら問題は無い。


 ジュースを飲みほしたあと、今度は、【分解】を試してみる。


 手の中の薬草は輝き、【良薬草(粉)】となっている。


 こっちも大丈夫。さすがレベル10。


 ではさっそく粉からもポーションを作ろうと思い……

 と、ここで一つの問題に気付く。


 「あ、水が無い」


 そう、ポーションを作るのには、【井戸水】が必要なのだ。


 「あー……こんな時は定番だけど……」


 僕は調薬スターを発動できるアイテムを確認すると……


 「やっぱり、ジュースでいけるか」


 1本だけあった50mlのいちごジュースと【良薬草(粉)】で調薬が出来ることを発見した。


 「さて、ではいちごジュースと【良薬草(粉)】で何が出来るかな……っと」

 二つを持って調薬する。


 ジュースでポーションを作れば良い効果になる事が多い。

 小説とかだと。

 なんかワクワクする!


 光り輝き、現れたモノは……


 【ストロベリー・ポーション (錬金)】効果 HP50回復 美味しい


 通常のポーションに比べて、美味しくなるだけだった。


「いらんわ!!」


 いや、いるか?味覚スター持ちの僕にとって、美味しくなるのは重要だ。

 けど、ジュースを使ってただ美味しくなるって、ガッカリすぎる!

 その後、色々なジュースを使ってポーションを作る僕。

 すべて回復量は変わらず、美味しくなる効果だけだった。

 ガッカリである。

 ホント、ガッカリ。

 重要じゃないけど2回言いました。


 「まぁ、ポーションは作れたし、そろそろ街に向かいますかね」


 一通り調薬のパターンを試した僕は、街に向かって走りだす事にする。


 走る→薬草補充→MP回復→調薬→走るのパターンを繰り返してポーションを作っていく。

 とりあえず、普通のポーションを20本ほど作り、街で売って見ることにしたのだ。


 ジュースのポーションは自分用。

 回復効果は変わんないし、味覚スター持ちの僕に普通のポーションはツライ。



 一時間ほどで街に着いた。



 僕は大きく伸びをして、街に入って行く。

 僕の頭の中には、ポーションを売る事しかなかった。

 ポーションを販売して、少し街の散策でもしようと。


 それが僕の予定だった。


 この時、僕はまだ知らない。


 僕の背後に迫る恐怖を


 「……ウホッ! 良いケツ!」


 僕はまだ知らない。


☆おしゃかのお勧めそうめんの食べ方☆


 めんつゆに、レモン果汁とモロヘイヤを細かく刻んだモノを入れる→すする→レモンの爽やかな香りが食欲を増進させて、モロヘイヤのネバネバが つるり とそうめんを胃に運んでいく→ウマー(^O^)/


 いつもの味に飽きてしまったら、是非お試しを。

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