第34☆
「えー……2000年代の……中国などの低賃金労働者による……このデフレとインフレの境目になった………を暗黒の谷といい……私達超高性能人工知能、AIが開発されるまで続きました。これにより資本主義は終わり、今の……主義へと……」
と世界史を教えてくれる、人工AIを搭載したロボット教師、レキシン先生が眠くなる授業をしている。
今は5時間目。
お昼ごはんを、壮絶な学食戦争に参加出来ずに困っていた1年生と食べた僕は、机に伏せている。
昼飯を食べた後の授業を起きていられるだろうか?
いや、いられない。
僕と同じ考えを持つ同志達は全員机に伏せている。
歴史の人間の先生である……えー……と、なんだっけ?
名前が思い出せない。
この先生に教えて貰った事ないしな。
とにかくそのハゲた先生も教室の後ろで寝ている。
(……この糞爺!! こんなんだから、日本は遅れているんだよ! やる事無いならさっさと教師止めちまえ! 無理やり仕事をしようとするな!)
とかどうでもいい悪態を心の中で吐きつつ。
今日聞いたクラスメイトからの12☆Worldの情報でも整理しようかな。
クラスに12☆Worldを購入していた人は僕を除いて3人いた。
予約していたけど届かなかった人もいて、おおよそ半分のクラスメイトは夏休みまでにプレイするらしい。
一応、12☆Worldの初出荷本数は200万本だが、その人気からドンドン生産しているらしく、12億という賞金もあって、今予約しても手に入る頃には夏休みは終わっているらしい。
そう言えば、賞金ってどうなるんだろう?
プレイ人数×600円だから、とんでもない事になるんじゃなかろうか?
まぁ、僕には関係ないことだが。手に入れれないだろうし。
とにかく、今はマキのためにB稼ぎの情報整理だ。
テクニック的な話もあったけど、その検証は実際にプレイしてからだ。
昨日からプレイ出来ていた人たちの声を盗み聞きしていると(ちなみに、購入している奴らは、女の子を除き、僕の苦手なタイプだった。1人は暴走族に所属しているという噂の奴。ロンリーウルフとかいうギルドで盾役をしているらしい。もう1人の男はロリコンだった。女の子、金田 凛華に情報を聞こうとしたが、話しかけると慌てて逃げて行ってしまった……チクショウ)
子守の森にいるモンスターを1体倒すと、だいたい5B。
それで、剥ぎ取ったアイテムを売ると10B稼げるとの事だ。
うーん。どちらにしろ、マキから西の島に行くことは禁止されているので関係ないが、モンスターを倒してのB稼ぎは厳しそうだ。
やはりここは正統に行こう。
ロリコン男も
「昨日栽培していた薬草を朝収穫してポーションに変えたんだが、一つ300Bで売れた。付加価値を付ければまだ値段も上がるし、序盤の金稼ぎはやっぱりポーションだな!」
と言っていた。
うむ、やはりポーションか。
お決まりだしな。
ロリコン男と同じ方法をとるのは正直嫌だが、可愛い妹のために我慢しよう。
今日、12☆World内でポーションを作って売る!
一つ300B。
100万Bを稼ぐには3千本くらいか。
3千本のポーションだ。
ポーションを作る為には……
そして作ったポーションを売る為には……
とポーションを作って売るイメージトレーニングをしながら夢うつつになっていると、
「秀早紀さん! コレについてアナタはどうしたら良いと思いますか?」
とレキシン先生に当てられてしまった。
レキシン先生が示している電子黒板には、
【今の日本を過去のような経済大国にするにはどうすれば良いか?】
という壮大なテーマが書かれていた。
半分寝かけていた僕はこの質問に
「ポーションを作って売ります」
と答えたのだった。
一応注意!
今回のお話で資本主義が終わったって言っていますけど、じゃあこの世界が共産主義かというと、違いますからね。
ルーズ「資本主義? 共産主義? なんニャ? それ?」
中学生から勉強し直してください。
ルーズ「ニャー! 猫だから勉強なんて無いニャー!」
いや、お前……
ルーズ「ニャ?」
……なんでもないです。
まぁ、この世界の経済体系は色々と作者の妄想が混ざっていますので、そこまでお気になさらずに。




