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12☆World  作者: おしゃかしゃまま
2112年7月5日(火) 200万人☆金色リンゴ☆笑顔のおじさん
28/85

第27☆

「いや、けっこうあるじゃん。薬草」


ここはフルーツリーの森の手前の草原。

僕は地面生えているヨモギに似た特徴的な草の周囲を探る。


「あったあった。うーんこの葉っぱ虫食ってら」

僕は形と色の良い薬草を選びアイテムボックスに入れていく。

確かに、あの男達が言ったように街の近くの草原には薬草らしき草は生えていなかった。

しかし、5キロも走ると薬草達がちらほら生えていた。

どうやら、街の調薬師達が採取していたのは街から5キロ圏内の草原だけのようだ。


 僕は、薬草と、ついでに途中で生えていた野菜やら米、小麦などを採取しつつ、フルーツリーの森まで走ってきた。


 時間は9時。


 色々寄り道したのに、1時間で着いた。確実に走るスピードが上がっている。

 僕はアイテムボックスを見て、採取したモノを確認する。


 【良薬草】初めは薬草を適当に採取していたのに、今は吟味して良いモノだけを採取している。

 初めの方の適当に採った薬草は【薬草】だった。形と匂いが良いモノはやはり良いモノなのだろう。

 【薬草】の効果がHPを5回復させるモノに対して、【良薬草】はHPを10回復させるモノだ。


 「さて、調薬とか色々試してみたいけど、そろそろマキの家に行かないと行けないし、今日の締めと行こうかね」


 僕は森の果物を採取しつつ、中心に向けて歩き出す。

 そこには100メートルのリンゴの木。

 マキに聞いたところ、通称、世界樹と言うそうだ。


 「あの金色のリンゴ、また生っているかな?」

 僕は樹の上部を見る。

 美味しそうなリンゴがたわわに実っている。

 金色リンゴをもう一つ採取しようと思ったのは、そのリンゴのSP回復量の多さが魅力的だからだ。


 なんと金色リンゴ。一つ食べるとSPが100回復する。リンゴ10個分。


 ミックスジュースを作るのにリンゴは必要だし、せっかくだし金色リンゴも採っておきたい。


 僕は猫のお守りを装備する。

 「さて、今行くニャ。金色リンゴ」

 僕は樹に爪を食いこませ、肉級で優しく樹の樹皮を掴む。

 「いっくにゃぁああああああああ!!!」



 ドンドン。グングン。僕は樹を駆け登る。


「うにゃあああぁあああああああああああああああああ!!」

「やあまた来たようだね。小n」

「にゃっぁああああああああああああああああああああ!!!」


 一気に。天に駆けのぼる竜のごとき勢いで僕は上に上がっていく。


 何も聞こえない、見えるのは頂上(てっぺん)のみ!


 猫は


 いつでもまっしぐらなのだ!!


 バサッ!!っと葉っぱをはねのけ樹の頂上に着いた僕。


 夜に見る景色は、昼間に見る景色とはまた違ってどこか神秘的だった。

 無数に煌めく星達と、木々のコントラストは、命の輝きを確かに放っていた。


 昼間、山にかかっていた霧も無くなって、山の表面がよく見えるようになっている。

 目を凝らすと、いくつか灯の明かりがぼんやりと見えた。


 村があるのかな? それは確実に人が灯している明かりだ。この雄大な自然の中でその灯はあまりに弱々しく揺らめいていたから。

 さらに遠くを見ようとすると、明かりの奥が、光っているのが見えた。消えたり、見えたり。山沿いをその火は動いている。

 その火は、強く、しかし悲しいように燃えているようだった。


 僕は目を閉じた。


 聞こえるのは虫やカエル、フクロウの声。

 寝静まっているはずの森は、昼間よりも命の鼓動を大きくしているようだった。

 山で動いている火の鼓動も聞こえないかと耳をすませてみたけれど、そこまでは無理なようだ。


 山の火は、また今度にしよう。


 このまま、静かに騒がしい森の寝息を聞いていたい気持ちもあるが、マキを寝かしつけないといけない。

 僕は少し下に降りて調理でジュースにした分の美味しそうなリンゴを採取する。

 そして、もちろん


 「ふむ、やはりあったのニャ」


 相変わらず採りにくい所に生えている金色リンゴも忘れない。

 同じ轍を踏まないように、皮のムチを構える。


 そして、金色のリンゴが生えている木の枝の近くの細い枝にムチを絡ませようとムチを振る。

 ヒュンとムチがうなり、一発で樹の枝に絡みついた。

 1時間の訓練の成果はしっかりあるようだ。


 まあゲームだし。ある程度補正がかかっているのだろう。

 そのままムチを下に引き、金色リンゴを近づける僕。


 「よっ……ほっ……っと採れたニャ」

 僕の手には、金色に輝くリンゴがしっかりと握られていた。


 「さて、ではそろそろログアウトするかニャ?」


 特に忘れている事は無いはずだ。

 忘れているモノ、も無いはずだ。


 前回はヒドイ目にあったが、今回は中々充実していた。

 人を助けることも出来たし、満足だ。

 人助けはいつしても気持ちがいい。情けは人のためならず、だ。


 始めは、走れない間の暇つぶし程度に考えていたが、なんだかハマってしまいそうだ。


 リアルな感覚とリアルなNPC。


 まぁ人工知能のリアルさは今更な気がするが。


 とにかくゲームだと思って舐めていた。

 このゲームは確かにゲームを超えている。

 むしろ現実さえ超えているだろう。


 ログアウトする前に、今の自分のステータスを画像として保存する。

 マキに詳細を見たいと言われたからだ。


 「じゃあ、また明日」

 僕は誰とも知れずに言いながら、ゲームをログアウトした。


 ログアウトする寸前に、


 「じゃあじゃないよ! 一人にしないでくれ~~!!」


 と空耳が聞こえた気がした。


 気のせいだろう。


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