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12☆World  作者: おしゃかしゃまま
2112年7月5日(火) 200万人☆金色リンゴ☆笑顔のおじさん
27/85

第26☆


 「なんか、あんまり生えていないんだな」


 今僕がいるのは、街から1キロも離れていない草原だ。

 ここらへんに生えているらしい、あるものを僕は探しているのだが……

 「……やっぱり無いな。新聞も買って確認したのにな……」

 実は攻略サイトで、ある程度情報集していた僕。


 しかしマキが『12億がかかっているゲームだから、攻略サイトも信用しない方がいいかもね』と言っていたので、おじさんと別れた後、街にある、NPCが運営している情報屋さんで、作物の情報をまとめた新聞を買っていたのだ。

 一部200B。


 そこには、僕の求めているモノは東の草原で採取出来ると書いていたのに……

 

 「攻略サイトと一緒でウソばっかりか?」

 首をひねる僕。


 実は、新聞を買うために手持ちのリンゴを売ったのだけど、一つ 30Bで売れたのだ。

 攻略サイトには、リンゴの売値は10Bって書いてあったのに。効果も 5SP回復するってウソばっかりだ。リンゴを食べれば 10SP回復する。


 「ウソの情報に頼っても仕方ないな……」


 とこれからどうするか悩んでいると、男の話し声が聞こえてきた。




 「はぁ……やっぱここら辺にはもう生えてないな」

 「ああ、もう帰って畑でもいくか?」

 「ああそうだな。くそーまだファンクラブには入れないのか」


 (ん? どこにいる?)


 僕は周囲を見渡し、声の主を探す。


 いた。僕から500メートルほど離れた所に、男性の二人組が見える。


 え? あんな距離にいる人の声が聞こえたの? どんだけでかい声で話しているんだあの二人。

 とか僕は思ったが、良く考えると、それは違う。


 (ああ、そうか。感覚スターか。聴覚が発達しているからよく聞こえるんだな)

 僕はせっかくなので、男性達の話を聞くことにした。

 この二人組も何か探している途中のようだ。話を聞けば、僕の目的のモノが無い理由が分かるかも知れない。


 「しかし、皆同じこと考えるんだな」


 「ああ、最初はオレも、お前が言っていた「ポーションだ! NPCが売っているルーキーポーションには限りがある。皆西の森で戦いまくってボロボロになるから、ポーションが足りなくなる。薬草を採取しまくってポーションを作れば俺たちは大金持ちになれる!」って話を聞いて、これはイケルと思ったんだがな」


 「まさか職人スターで調薬師になるやつがこんなにいて、しかも皆薬草を採取してポーションを作りまくるなんてな」


 「鍛冶師とか調薬師以外の職人を目指している奴もわざわざ調薬のスターを取って資金稼ぎにしてるって話だしな」


 「マジか……あぁ、ファンクラブに入って、ミカたんの忍になって護衛をしたかったのに」


 「護衛という名の、のぞき魔だろ?」


 「違う! ミカたんに群がる邪悪なるモノを片づける一刃の刀になりたいだけだ」


 「邪悪なるモノはお前だと思うけどな。ミカちゃんの方が強いだろうし」


 「ミカちゃんじゃない! ミカたんと呼べ!!」


 「……」


 「そ、そういえば、確かファンクラブに入って、一定金額ギルドに収めると、そのミカ……たん。……と、街で一番景色の良い展望台でツーショットデートが出来るって話らしいな」


 「何!! マジか!! いくらだ!! 俺はいくらミカたんに捧げればいい!? 命か!? この命でいけるか!?」


 「お、落ち着け。お前の命に価値は無い。……確か……100万Bだったかな?」


 「ぐ…………いや、それくらいは必要だろう。ミカたんはそんなに安い人じゃない。ふぅ……こうしてはいられないな。さっそく畑に帰って、唯一見つけたこの薬草を栽培して、ポーションを作らなくては……100万Bか。僕が必ずミカたんを守るんだ。」


「……お前、幸せだな」




 ……なんだこれ?


 後半の内容が気になりすぎて、前半の重要なはずの情報があまり頭に残らなかった。


 どうも、ロリコンの奴が考えていた金策は、僕が考えていた金策と同じらしいって事は分かったが。


 そう、僕は薬草を採取して、錬金術師の調薬でポーションを作ってお金儲けをしようと思っていたのだ。

 ザ☆王道。しかしそれも無理なようだ。

 材料の薬草が無くなっては、いくら錬金術師でもポーションは作れない。


 うーん。また計画が頓挫してしまった。


 

 てかアイツどこかで見た気がする。あの二人組の、命に価値が無い方だ。


 気のせいだよな? 僕の知り合いにロリコンは……知っているだけなら大量に存在するが、アイツじゃないと思う。

 さすがに、高校の同級生にあのレベルの変態は存在していない。存在を認めていない。

ロリコンの汚名はしっかりと刻みつけてあげたはずだ。

 ……だから大っぴらに認めているのか?

 まぁいいや。


 それよりもマキ……ここではミカか。


 あいつ。何考えているんだ?


 ここはゲームの中とはいえ、キスとかなら普通に出来る。

 それなのに二人っきりでデートなんて……これは帰ったら問いただす必要があるな。


 と僕が思っていると、話をしていた男性二人組がこっちの方に歩いてきたので、僕は慌ててその場を離れる。


 さて、今時間は8時くらいか……フルーツリーの森で採取して今日は終わりかな。


 僕は、今やただの草しか生えていない草原を後にして、フルーツリーの森を目指して駆け出した。


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