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12☆World  作者: おしゃかしゃまま
2112年7月5日(火) 200万人☆金色リンゴ☆笑顔のおじさん
26/85

第25☆

 「なんか、とんでもない出来事に遭遇した気がする……後でマキに相談するか」


 スターの習得には主に3つの方法があるそうだ。


 お店で買う、スター取得条件をクリアする、イベントでNPCから貰う、だ。

 今回のスターは後者だろう。


 そして、マキいわく、スターをくれるイベントはそのイベント自体がレアで、イベントで貰えるスターも貴重で効果が良いモノが多いそうだ。


 それはそうだろう。

 通常の、基本スターでさえ買うのに12万Bもするくらいだ。


 NPCがくれる特別なスターの価値は計り知れない。

 マキもβテスト中に一度だけ遭遇したことがあるだけだそうだ。


 おじさん、コウテイさんの事も気になるが、これは、初心者の僕が分かることではない。

 僕は気持ちを切り替えて、当初の予定通り、東の森に来ていた。

 フルーツリーの森に向かうためと、あるモノを採取するためと……


「とにかく、あのおじさんが何であれ、いっちょ走りますか!」


 走るためである。


 先ほども50キロほど走ったが、まだ僕には物足りない距離だった。

 いや、ゲームの中の走るスピードが速すぎて、50キロも走った気がしないのだ。


 現実では、僕がどんなに頑張っても出すことのできないスピードで、ゲームの僕は走る事が出来る。


 そう考えると、ゲームの世界って楽だな。

 レベルを上げれば簡単に速くなるんだもんな。


 現実では、どんなに走っても、速くならない奴はならない。

 努力と実力は比例しない。

 

 まぁ、トップ選手はすべからく努力してるけどさ。

 

 

 ストレッチをしつつ、周囲を見渡す僕。

 昼間よりも人が多い気がする。

 僕が見える範囲でも100人はいる。

 夜だし、モンスターを倒すのを控えているのだろう。


 夜になると、モンスターの討伐難易度が上がるらしい。

 理由は、暗いから。

 夜になるとモンスターの攻撃がよく見えないのだ。


 「けど、こんなに鮮明に見えるのになー」


 僕は森の方を見る。

 むしろ昼間よりも良く見えた。

 昼間、山の方にかかっていた霧がかかっていない。


 100メートル程の巨木に、その手前にうっすらと昼間では見えなかった大きな岩壁。

 そして、4000メートルクラスの山に、頂上で輝きを放つ群青色の大岩。


 綺麗だ。


 「やっぱあの大岩は間近でみたいなー」

 と群青色のフェチの僕はつぶやく。


 そしてストレッチをあらかた終えた僕は、思い出したようにスターの変更画面を開く。


 「そうだ、せっかくだからおじさんから貰ったスターを……あれ?」


 僕は自分のスター一覧を見て首をひねる。

 そこには見覚えのないスターがあったから。


 「【暴食】? なんだこれ?」


 【暴食】特殊スター Lv☆

 (効果)あらゆるモノを喰らい あらゆるモノを飲み込む事が出来るようになる。


 ……おそらく、先ほど餓死した時に習得条件を満たして手に入れたスターなんだろうけど、なんか暴食なんてカッコいい名前が付いてるわりに、コレって


 「どうやって使うんだ?」


 ……いや、考えてもみてほしい。


 あらゆるモノを喰らい~なんていかにもカッコいいし、強そうだけど、基本的に、SPを回復出来るモノは食べれるモノのはずだ。

 ポーションを飲んでもSPは回復しないように、多分そこらへんの岩とかを、このスターを使って食べても、SPは回復しないだろう。


 なぜなら、アイテムの効果に、SPを回復すると表記されていないから。


 SPを回復出来ないモノを食べる必要は、このゲームには無い。


 ってか、例え岩とか砂を食ってSPを回復できるようになっていたとしても、僕は食べない。食べたくない。


 先ほどの餓死で、僕の嫌いな食べ物ナンバーワンの座は 砂 になっている。

 ぶっちぎりだ。ダントツの一位。

 類似している岩とかも同様だ。

 


 ではモンスターを倒すのに使えばいいかというと、そうでもない。


 僕に、モンスターに喰らいつく度胸があったら、多分ムチなんて武器スターを選んで無いだろう。


 「名前を見て期待しただけに、残念だな」

 僕は肩を落とす。

 暴食って! カッコいいだろう! ワイルドだろう? 確か7大欲の1つだっけ?

 なのにこんな効果。


 この分だと、おじさんから貰ったスターも期待できないかもしれない。

 

 おじさんから貰ったスター【何も持たざる者】の効果を見る僕。


 【何も持たざる者】特殊職業スター Lv☆

 (効果)あらゆるモノを持てるようになる。さらに、あらゆるモノを装備する事が可能になり、その効果を最大限発揮させることが出来るようになる。


 「あれ? これって……」

 僕は効果の欄を良く見る。


 「あらゆるモノを装備することが可能……なに!?」

 僕は目を見開く。


 「つまり、コレがあればわざわざ武器スターを買わなくても済むって事だよな?」

 さっそくマキが出してきた課題をクリアしてしまった僕。いや、正確にはあとは槍か剣を買わないといけないのだが。

 それでも、コレはほとんどクリアしたようなモノだ。


 せっかく錬金術師の実力を見せようと思っていたのに、少しやる気が削がれた気分なったが、まぁいい。


 「……いや、まぁ金策は必要か。食料も買う必要があるし。服も変えたい。お金はあればあるだけ良いよな」


 ニ度と餓死はしないと心に決めている僕。

 金は何に使うか分からない。


 目的は無くなったが、当初の予定通り、金策を行うためにあるモノを探しつつ走る事にする。


 目的と手段が混ざるのは僕の得意技だ。


 調薬のスターとムチのスターを外し、【何も持たざる者】のスターと【暴食】のスターを装備する僕。

 【暴食】は使えないと思っているけど、名前がカッコいいし、付けておきたい。


 走って採取している間は、調薬は使わないしね。

 ムチも【何も持たざる者】があれば必要ない。


 「さて、走るかね」


 準備を終えた僕は駆け出した。


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