女子が苦手な幼馴染みと恋愛(ラブ)トレーニングしたら幼馴染みを好きになってしまいました
「俺ってこのまま、彼女できずに一生を終えるのかな?」
放課後、幼馴染みの盛岡星夜と教室で他愛もない話をしていると、星夜がポツリと言った。
「あんた昔から女子にモテるくせになにいってんのよ!あんたがその気になれば、彼女なんて何人でもできるわよ!」
そう言いながら私は、星夜の腕を叩いた。
星夜は顔が良くて優しくて、その上勉強もスポーツもできるもんだから、昔から女子にモテまくっている。けど、星夜は何故か昔から女子が苦手で。星夜ママとそして、赤ちゃんの頃からの幼馴染みの私以外の女子とはろくに話せないし、少しでも女子に触れたり触れられたりすると、私の後ろに隠れたり全力で逃げたりする。
「てか、なんで急にそんな話し?もしかして~好きな女子でもできたのォ?」
にやにやしながら私が聞くと、星夜はこくんと頷いた。
「え?マジで?女子苦手星夜が?どんな人?私の知ってる人?」
「……それは教えられないけど」
「え~教えてよ!」
「今はまだ言えない」
「なにそれ~けちぃ」
ぶーっと口を尖らせながら星夜を見ると、頬をほんのり赤く染めていた。恋する人間の顔をしてる。
「……仕方ない。長年の幼馴染みの私が、恋愛トレーニングに付き合ってあげる」
私がそう言うと、星夜は私の眼を見てえっ?と小さく言った。
「その人のこと好きなんでしょ?付き合いたくないの?」
「それはまあ、付き合いたいけど……」
「でしょ?じゃあまずは告白の練習ね。はい、私をその好きな人だと思って告白してみて!」
「え!?なっ、無理だよ」
「無理じゃない!ほら!」
私がそう言うと、星夜は頬を真っ赤に染めながら「わかった」と言い、瞼を閉じそして、ゆっくりと開くと。
「好き……です。もうずっと、貴女のことが好きです。俺と付き合ってください」
と、真っ直ぐに私の眼を見つめながら言った。私に言った訳じゃないのに、ドキッとする。
こいつ、改めてみるとめっちゃイケメンだな。こいつを惚れさせた女子って何者だよ。
そう思っていると、星夜が私の手をぎゅっと握った。
「へ?」
「……好きだよ、千影」
そう言うと星夜は、私の唇にキス、した。
「ん……」
初めてのキス。息苦しいけど、嫌じゃ、なくて。
ちゅぱっと、唇が離れる音が教室に響く。
「あんたの好きな人って、もしかして……」
頬が熱くなる。胸がドキドキする。
こんなの、卑怯だ。
もう……好きになっちゃったじゃん。
ふたりきりの教室。
暫く、恋愛トレーニングは続くのだった──