私はこの世界の全てを知っている オマケ
……やあ、お疲れさま。
ここは、死んだ者が必ず通る場所。魂の道。
君は……、あぁ、久しぶり。今回も長生きしたね。って、覚えてないか。
ボク?ボクは、ここの管理を任されている神だよ、ってほああぁぁぁぁっ??!
何いきなり?!しかも出会い頭で鼻フック仕掛けようだなんて、なんて人の子だい!!?舌打ちしない!!
……え?記憶?タイミングを考えろ?
あー、アレの事?まだ覚えてたんだ、執念深いね……ってゴメンゴメンて!!謝るからその人差し指中指しまって!!
……で、タイミングなんだけど。間違ってはなかったんだよ、事が…君達の言う、ゲームの通りになってたら、完璧。本来なら、両親を失って、兄妹で途方に暮れてたハズだったからね。
けど、ならなかっただろう?君は、こうして長生きして、家族に見送られて、幸せに生きれた。お兄さんには感謝しないとね。
……ん?違う、違うよ。今世のお兄さんじゃない、前世の君の、お兄さん。
お兄さんも、転生してたんだよ。ただ、君と違って記憶が定着しなくてね。まあそれが当たり前なんだけど…夢に見る程度だったんじゃないかな。見た目も違ったし、君が気付かないのも仕方なかったんだよ。
なんでって…、君、自覚してなかったんだね。君、ずっと会いたいって願ってただろう?魂だけになっても、ずっと。それを未練というんだよ。
お兄さんの方も未練が残ったままだったし、丁度いいやと思って、同じ世界に転生させたのさ。
君は今世も、前世も、強く生きたね。決して悲嘆に暮れず、歯を食いしばって前を向いて。
お兄さんの為だったんだろう?
優しいお兄さんだったんだね、過ぎるくらいに。だから、限界まで追い詰められても何も言わなかった。……ぱわはら、だっけ。お兄さんを追い詰めたのは。
でも、お兄さんは恨み言ひとつ残さなかった。ただ、謝り続けてた。家族に。それがお兄さんの、未練。
君が世の中の理不尽を許さず、戦い続けていたのは、お兄さんのような人を少しでも減らす為。…うん、でもね……いじめ、せくはらぱわはらもらはらする奴は鼻フックって掲げて、本当に鼻フック決める人の子は稀だと思うよ。君は意思が固いんだね。オリハルコンのように。
まぁ、それはともかく。
君に勇気をもらって、救われた人が沢山居たんだよ。だから、君らは選ばれたんだ。
……うん、勿論。お兄さんも、幸せだったよ。ずっと家族を大事に、君と同じく、戦い続けた。今世は寿命を全うできたからね。
さ、時間だよ。向こうで、お兄さんも待ってる。
……そうだねぇ、君のような人の子には、もう一回くらいは……いや、止めとこう。
じゃあね、お休み、人の子。