↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
2/4

私はこの世界の全てを知っている その2






……突然だが、第三王子の話をしたい。

彼はメインのキャラクターではない。確か、魔王が生まれた理由を主人公達に教える役だった。

友人によると、第三王子は息子さんが魔王になったのは自分のせいだと責めに責め、遂には患い、青白い肌の翳り目、やせ細った、けど儚い美形であるとのこと。

彼は息子さんを助けて、と主人公達に想いを託し亡くなってしまう。魔王が唯の魔王ではないと分かった主人公達は複雑な想いを胸に戦いを挑む……らしい。

今、私と兄の目の前で、バトル漫画並みの戦いを繰り広げてるあの人が、多分、儚い美形だと思う。

…うん、魔王にならなかった領主の息子さんが、第三王子ー!?って呼んでたから間違いない。

何故こうなっているのか。説明しよう。

私と兄は十五歳になり、学園に通う事になった。光属性は珍しく、教えられる者が外には居ないからだ。属性限らず、魔力を持った平民は皆通えるらしいが…貴族達からの好奇の視線が痛いわ。そんなに見なくても関わる気はないから安心して欲しい。

まぁ、ジロジロ見られつつも無事入学を果たした私と兄に声を掛けてきたのが息子さんだった。

息子さんも同入学だ。そりゃそうだな、領民だし把握してるよねぇ。と和やかに挨拶交わしていると、走って乱入してきたのが第三王子だ。王子最初から超元気だった。

王子、どうやら息子さんに会えるのを、それはそれは楽しみにしていたようだ。さり気なく私と兄を牽制している。私は察した。

まぁ、衰弱するほど思い詰めた人だ。裏を返せばそれ程息子さんを想っていたのだろう。

勿論だが、私は邪魔しない。兄もだ。

それにしても、雷属性の上、あの戦闘能力。何故メインキャラじゃないのか。雷なんて、勇者が持つ技だと思うのだが。

その疑問は息子さんが答えてくれた。

第三王子は、子供の頃は全く、魔力コントロールができなかったらしい。息子さんと出会った時も、上手く出来ず静電気を常に纏った状態。寒い時に、バチッと来るあれが必ず起こるのだ。その上、かなり痛いのだとか。

それは、周りの人間は遠巻きになるな。苦手な人も居るだろう。

けれど魔力は、引けを取らない程保有している第三王子。制御が出来るようになれば、普通に生活できる筈。と、息子さんは静電気に負けず、王子と共に特訓したという。最終的には慣れて、静電気で遊んでいたらしい。息子さん、強い。

成程、シナリオ通りに進んでいたら、特訓どころではないだろう。ゲームの王子は制御できないままだったのだ。

二人はそれもあって、今では身分を超えた友人同士らしい。

王子の方は友人の域も超えているようだが、息子さんは気付いてないようなので、そっとしておくのがいいだろう。兄も優しい微笑みを浮かべていた。

因みに、王子にボコられてるのは、息子さんに喧嘩売った輩貴族である。






なんやかんやあったものの、穏やかな学園生活を送れている。

特訓の成果もあり、兄も私も順調に光魔法を体得していた。今の所は世界に異変は起こってないし、魔物の異常発生も、別の魔王も出てきていない。平和である。

何人かのメインキャラに出会ったが、平和ならば関わる事もない。挨拶程度だ。

このまま無事卒業できたら、折角得た魔法だ。人の為に役立てよう。

……と、兄と話していたのになぁ。

私は目の前に立ち、不躾な視線を寄越す女子生徒を眺めた。

ピンク色の…キラキラした髪色の美少女。この子が今、噂の男爵令嬢だ。

光属性の編入生。光属性が三人も、と教員は驚き、兄と私は巻き込まれ中なのだ。


 「なんだ、大した事ないじゃん。ねぇアンタ、なんかした?全然ゲームと違うんだけど」


おっとぉ…。この子、私と同じか。

しかも前世プレイヤーか。貴重な仲間かもしれないが、仲良くするなと私の本能が囁いている。私は基本、本能には逆らわない。なので、ちょっと何言ってんのか分かんないです。で通しておいた。

諦めて行ってくれたが、あんな子居ただろうか。友人の話にも、出てこなかったと思う。

調べる必要がありそうなので、兄の手も借り、情報収集。


 「え…?あの子も出てきたの?お前の当たりそうで大幅に外す予知夢に」


記憶うんぬんは説明が難しいので、兄には予知夢的なモノと言ったのだが……。兄よ、私にも傷つく心はあるのだよ?






あの男爵令嬢、色々やらかしているらしい。メインキャラ全てに接触している。

兄にも探りを入れてきたらしいが、ちょっと何言ってんのか分かんないです。で終わったそうだ。

彼女も貴族とはいえ、侯爵やら伯爵やらに気軽に話しかけていい立場ではないだろう。王族なんて雲の上と言ってもいい。平民だって承知している事を、彼女は、学園では平等でしょ?と言い放ち、好き放題に振る舞っている。周りは敵ばかりだ。

いや、見た目美少女なので、見る人が見ると、天真爛漫に映るらしい。少なくない令息が、彼女にやられていた。

厄介なことになりそうなので、近付いてはいないが、一応見張っている。

彼女は何度すげなくされても、メインキャラを諦めていないからだ。可愛らしい甘い声で突撃し、撃沈している。

あの不屈の精神と行動力と自信は、一体どこから来るのか。

彼女が、彼らを攻略する事は、まず無い。何故なら彼女は初めから盛大に、やらかしているからだ。その件で、見るのも嫌だと兄は付き合ってくれなくなった。

それは領主の息子さんが関わっているから。兄は尊敬通り越してファンになっているからな。

彼女がプレイヤーだったのが、駄目だった。攻略には記憶があれば便利だろうが、裏目に出る時もある。


 『なんでいるの?』


彼女が息子さんに言い放った、最初の言葉である。

第三王子はその時点で、敵認定。目が笑っていなかった。他の方々も似たり寄ったりだ。

息子さん、おおらかで穏やかな性格だからか、メインの方々とも仲良くなってたんだよな…。煌びやか過ぎて、平民な私たちは近付かず、遠くから眺めていたのに。

彼女は物ともせず、それどころか場の空気を荒らす始末。

当然ながら、言われた意味が分からずポカンとする息子さん。

 

 『だって、家族も領地も奪われたんでしょ?なのになんで、なにもしないの?』


……彼女は、思った事をすぐ口にしてしまう性質らしい。それ言ったらアカンやつ。

私は出来ればそこから逃げ出したかった。だって、王子筆頭に皆さんやべぇ空気放ってるんだもの。そして隣に居た兄も。

が、そこは皆さん大人な対応。そんなありもしない事いうもんじゃないよ、と笑っていない笑顔で諭していた。






やらかした自覚がない彼女は、今日も突撃している。あいつの心臓、オリハルコンで出来てんのか。最近そう思い始めた私である。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。