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第二十三話 惚れ薬は地雷です!



 最近訓練兵のそばでソレイユが見かけられる。

 ソレイユはどうにも未だにアシュのそばをうろちょろしている様子。

 諦めきれないのねきっと。

 ソレイユは未だに妾を敵視している。妾が本当に妻になる人だと信じ切っている。

 世間の目はいまだにそうだから、有難いこと。


 だけど、ある日ソレイユが何処からか妾とサリスの話や。妾とガニメデ様とのお話を聞いたみたいで。

 妾に直接問いかけてきた。


「ねえ、ちょっと。貴方、他の人にうつつをぬかしてるんですって? 浮気?」

「ふふ、どうかしら。アシュからは許可を得ていましてよ」


 こういえば誰も何も文句は言えないでしょう?

 鬼の首とったかのように邪魔をしようとするソレイユに妾はにこりと微笑めば、ソレイユは可憐な顔に涙を目一杯ためて顔を押さえる。


「そんなのっ。コークス様がおかわいそう!」

「あら、それを貴方がきめるの? 他人の貴方が?」

「わたくしはだって、ずっとコークス様をお慕いしていて……」

「好きなことと理解していることはまた違いましてよ?」

「……貴方のそういうところが気に食わないのよ、イデアローズ!」

「妾は貴方のこと、三文芝居の悲劇ヒロインみたいで好きよ。見ていて不憫になる」

「そうやって威張っていられるのもいまのうちよ! コークス様はいまにわたくしのこと好きになるわ!」

「あら、どうやって。流行のお薬でもお借りした?」

「ど、うしてそれを」

「妾、商人さんと仲良しだから流行り物には聡いの」


 ――世間では昨今、媚薬や惚れ薬が流通している。

 それも高性能のものを安価で仕入れやすくしているらしく、何処かの誰かの作為的なものを感じるとサリスが言っていた。

 本当にアシュに使われてるなら被害を受けるのは妾じゃなく、ルルなのだけれど。

 それは黙っておく、それが妾の役目だから。

 妾はあくまで、ルルの盾にならないといけないのよ。


「とにかく彼はわたくしのものなんだから!!」

「おかわいそうに」

「何よ……何よ余裕ぶって! 生意気なのよ!」

「いいえ、本当におかわいそう。そんなことをしても。勝てない貴方が」


 妾にじゃなくて。ルルにだけれどね。

 妾はびんたされたけれど、妄想して頬に癒やしの力を流し込んでおく。

 鐘ががんごん鳴り続けるので、癒やしの力を使っているのはばればれね。


 ソレイユは何処かへ行ってしまい。残された妾にアシュがやってきて声をかける。



「ローズ、ローズ! 大変だ!」

「なあに、アシュ。惚れ薬でも飲んだの?」

「よくわかったな!? といっても私が飲んだのではない。飲んだのは殿下だ!

 殿下とサリスだ! 今にも睦み合いそうなんだ!」

「殿下攻め地雷ですううううううううううううううう!!!!!!!! いやよそんなの絶対止めなきゃ!!!!!」


 妾は真っ青になって駆けだした。ちょっとだけソレイユに怒りが沸いたわ。

 あとからこっそりソレイユがついてきてるのも知らなかったの。

 

 *



「殿下、殿下はなんとおきれいなお顔なのでしょう……」

「ああ、サリス。君はとても美しい目をしている、カマキリのようだ」

「殿下、もう放さないで……」

「サリス! 君にカブトムシを授けよう!!」


 目の前の光景は異常だった。

 王城の一室にて、密かに呼ばれた理由が分かる。これは大衆に見せてはいけない光景。

 サリス受けだけはともかく、殿下なにか口説き方が可笑しいし、殿下攻め本当地雷!


 ぞっといぼがたち、慌てて解除しなきゃと思っていたのに、後ろからソレイユが出てきて騒ぎ始める。


「嘘よ!!!! 嘘よこんなの! こんなはずじゃなかったのに!」

「ソレイユ、満足した? 貴方自分が何をしたか、判ったの?」

「判ったわ……わたくしは世界一美しいカップルを生み出したの!!」

「え」


 妾とアシュの時間が止まる。そばにいるメイド達も戸惑っているのに、ソレイユは目に涙をためて語り出す。


「こんな美しい光景があったなんて!! なに? なんなのこの感情は!? この情熱の名前はなあに!?」

 

 ソレイユのときめきに、思わず妾は「それが目覚めです同胞よ!」と叫びかけたけれど、この人ガニメデ様の攻めで目覚めるなら異教徒ね。

 ほっといておこう。


「解毒剤はないのですか」


 メイドに尋ねてみる、原因はきっと惚れ薬だと示してから。

 ないから、聖女の力を使って解除して欲しいとのことだ。

 頷いて、妾はリーゼルグ先生攻めのサリス受けを念じれば、教会の鐘が遠くでがらごんがらごん早鐘をついている。

 閃光を放った後、抱き合っていた二人は互いを見つめ、「おえええええええええええええええええええええええええええええええ」と嘔吐き始めた。


「う゛ぉえ、う゛ぉえええええええええええ」

「大丈夫、二人とも?」

「な、何があったんですか、お嬢!? いったいこれは!?」

「そうだとも! ボクの純情をかえしてくれたまえ!」

「なにをいうか!! お前こそ俺の純情を返せ!!」

「落ち着いて二人とも。惚れ薬の仕業よ。二人とも、あの子から貰った物に心当たりない?」

「あっ……クッキーをもらったな……なるほど」


 めらめらと怒り狂っている二人を前に、ソレイユが逃げ出そうとする。

 アシュがソレイユを捕まえ、二人の目の前に出す。


「何か仰ることはある? 弁明したいことは?」

「……お二人は、世界一のカップルです。わたくし応援しますわ!」

「んなわけあるかーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!」


 


 

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