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第十八話 旦那様はきっとこれでハッピーエンド、残るは妾

 邸宅に招くとルルは手土産に紅茶を持ってきてくれた。

 茶葉は缶からも良い香りが漂う、良い匂い。

 センスの良いお土産だ、とアシュの人を見る目に感心する。

 紅茶なら好みが別れにくいものね。


「お招き有難う御座います、宜しかったらどうぞ」

「あらあ、ありがとう。ふふ、夕食後に飲みましょうか。此方にいらして」

「はあ、有難う御座います」


 ルルは少しだけ妾を苦手そうにして一緒にアシュの居る書斎にまで向かう。

 ノックをして書斎に入れば、アシュは此方に気付き目を輝かせる。

 顔を朗らかにして手にしていた書類を置き始めた。


「やあやあ、いらっしゃいルル」

「……どうも。コークス様」

「じゃあ妾はおいとましますわね」

「え?」

「妾、明後日に戻るわあ。ゆっくりお過ごしになって」

「え? え? 客が来て奥様がいなくなるなんて訪問初めてですよ」

「ルル、貴方だから言うわね。貴方は旦那様に必要な方だろうから。妾とアシュは契約結婚なの」

「……? どういうことですか」

「アシュは女性だと不能なのよ」

「やあ酷い言われようだけど、そのとおりなんだ。それで。私は、男性が対象で。君もその気質があるんじゃないかと、思ったんだけど。違っていたら、すぐに帰って良い」

「……何か仰ることがあるなら、情熱的に言わないと逃げられますよ」


 ルルは目を瞬かせながらやっとのことしぼりだした言葉は、可愛らしいもので。

 妾がもう視界に入らないみたい。

 ルルとアシュは見つめ合っている。アシュは柔らい眼差しで、手を伸ばした。


「君が好きなんだ、ルル」


 きゃーーーーーーーーー、もう、この光景絶対忘れない!

 実生活のホモってこんなに刺激的だなんて!!

 聞いてる妾が真っ赤なら、ルルはもっと顔が紅い。

 言葉を失っているルルにつついてやる。


「だ、めです。いけません、貴方には奥様が」

「妻公認だ。それに、妻に好きな人が出来るまでの関係なんだ妾たちは」

「……本当ですか、お嬢様」

「そうよ、妾たち体裁があまり取り繕えなくてね。好ければ良い返事してあげて。

 あとはきっと妾聞いちゃいけない二人のロマンスになるだろうから。そろそろ別荘の方に移動するわね」

「ああ、有難うローズ。君は素晴らしい淑女だ」

「そんなこと言ってくれるの貴方だけよ」

「他にもいるだろう? 君は魅力的な人だよ」


 アシュが手をひらひらと振ったので、妾はそっと部屋を出て行く。

 部屋の中から何か騒ぎが聞こえてもそしらぬふり。

 準備していたトランクを抱えて馬車に乗れば、別荘まで妄想していよう、としていた。


 なのに。


「お嬢、随分お早い乗りですね」

「サリス?」

「コークス様が、馬車を俺に手綱握って欲しいってお願いされました。

 貴方のそばにいろと。お金もたっぷり貰いましたし、何よりお嬢と二人きりの

 湖畔ですからね!」

「サリス」

「お嬢の呆れた吐息! だめえ、そんなの好きイ!」

「サリス、判ったわ。行って頂戴、貴方だからきっと任せたのね」

「しかしコークス様どうしたんですかね。やけに気前よくけちなあいつが金貨くれましたけど、お小遣いにって」

「……幸せのお裾分けよ。ねえ、サリス」

「なんですかお嬢」

「むこうついたら、モデルになって。速攻で書き上げたい絵があるの」

「……ホモ関連ですか」

「すごかったのよ、ほんとに。アシュ受けが主食だったけど、アシュ攻めも好きになれそう」

「受けってなんですかい」

「女の子役っていみね、貴方に判りやすく言えば」

「コークスのやつが女の子役なんて出来るわけないじゃないですか! あんなやつ、ど攻めですよ!」

「ふふ、妾も今日からそうみえそう」


 馬車の中に座れば、馬車はやがて出発する。

 湖畔までは妄想をしていればあっという間だった。

 途中でガニメデ様が沸きそうになりかけたけれど、三回くらい地中に埋めれば諦めて帰ってくださったわ。


「お嬢大丈夫ですか」


 ガニメデ様が馬車の中に何回か現れたのだけれどサリスは気付かなかったみたいで。

 サリスのエスコートで別荘につけば、目の前の湖に目を細める。

 水面が揺れてきらきらしてる。


「サリス、妾ね。恋が怖かった」

「どうしてですか」

「自分に纏わると、だいたいがよくない結果になるから。でも、今日初めて、いいなって思えたの。あんなに愛する人が、思いを与えたい人がいるのって、いいなって」

「……お嬢、大丈夫ですよ。愛されるのが嫌いな人なんていません」

「それはそうね、貴方は……その本気なの?」

「? なにがですか」

「ううん……なんでもない。中に入りましょう、使用人がすでに待ってるわ此方でも」

「そりゃいい、腹が減りました。チキンたべたいなー!」

「作って貰いましょう」


 サリスにそっと手を握りしめたらサリスは、顔を真っ赤にしていた。

 今は。この可愛らしい顔を見ていれば、満足かしら。

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