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第十六話 オズとサリスの初邂逅

 邸宅で買い物をしている。サリスが品々を持ってきて見せてくれる。

 月に一回これをしてくれるというので、買い出しにいかなくていいからとても楽。

 サリスは妾が選んでいる間、にこにこと微笑んで待っていてくれるし、生地を宛がってはぺらぺらとこれが流行とかいうのではなく。ぺらぺらお嬢に似合う似合わないの判断ばかりだからどこか気恥ずかしい。


 しかしこの日にやってきたのはサリスだけじゃなかった。

 オズがやってきて、オズの両手には花束があった。


「まあどうしたのオズ」

「この間のお礼にきました!」

「まあ、そう言って貴方二十回は贈り物しにきてるのよ」

「それだけ偉大なことをされたんです!」

「そうはいっても、さては。貴方貢ぎたいだけ、だなんて言わないわね?」

「そそそそんなわけが」

「動揺が凄い」


 くすくす笑って花束を受け取ると、花に指先を絡める。

 薫ってきた香りに目を閉じ、華やかな香りに妾は目を細めた。


「ありがとう、頂くわ、花なら」

「次回は百万本の金の薔薇もってきますね!!」

「おやめなさい」


 呆れていると、サリスが指先を震わせて、妾とオズを交互に指さした。


「え、え、お嬢のお友達ですか?」

「ええそうよ、お友達になったの」

「お友達です。そういう貴方は何なんですか」

「自分はお嬢の理解者兼商人のサリスです、お見知りおきを」

「理解者?」


 オズが眉をぴくっと潜めた。サリスへ冷たい視線。サリスが気付かずに胸を張っている。


「そうです! 俺はお嬢のおやすみからおはようまでを熟知してます!」

「朝のパンにつけるジャムは?」

「ジャムはグレネード果物店のジャムのみ。しかもジャムはたまにだけ、だいたい蜂蜜です」

「な!? なんで知ってるの!?」

「姫、黙っていて。それならローズの愛用する香水は?」

「そんなの基本中の基本です! ティターニアの薔薇香水!」

「へえ?! 姫の情報だけではだめよ、コークスの情報も持ってないと一流の姫好きとは言えないわ!?」

「姫好きってなあに、オズ!?」

「姫は黙って!」

「そんなの勿論もってますう! コークスの好みは、おっと、これは言っちゃいけない。内緒」

「ああ、そんなこといってわかんないんですよね。どうぞ遠慮なさらず」

「この女腹立ちますね、お嬢、追い出しちゃいましょうよ。そもそも俺とお嬢の水入らずの時間に入ってくるなんて!」

「ああら、姫はだれのものでもないのよ! 誰かを特別扱いしないのがローズじゃない!」

「くっそ、平等万歳!!!」


 サリスは地団駄を踏んで悔しがって、オズはふんと鼻息を強くした。


「ローズ様、行きましょう。お茶にしましょう」

「あら、サリスと仲よさそうだったけどもういいの?」

「ええ、マウントは自分の勝ちです」


 オズはにこっと笑ってお茶に誘って、場に残されたサリスはハンカチを咬んで泣いていた。


「くやしいーーーーーーーーー!!!! 小姑めーーーーーーーー!!!!!」

「次回の挑戦を待ってます、貴方にまだ姫は早い」

「口げんか練習してやる!!!! おぼえてろっ!!!」

「ええと、サリスはお茶はいいの?」

「お嬢の頼まれた品を整えてピックアップしておきます……」


 サリスがいいならいいけれど、二階にあがって見下ろせば寂しげなサリスと目が合う。

 棄てられた子犬みたいで、想わず妾もオズも吹きだした。


「いいわ、こっちきなさいよサリス。大丈夫よ」

「でも」

「誘ってくれた姫を困らす気?」

「はっ!! すぐいきます!!!」


 サリスに妾とオズが呼びかけるとサリスも慌てて二階に来て、一緒に客間でお茶をした。

 今日のケーキはにんじんけーき。お茶はストレートにお好みで蜂蜜を。

 妾は蜂蜜って大好きよ。


「そういえば。ローズ様。自分は、ローズ様におっしゃらないといけないことがありまして」

「何です?」

「コークスが、どうやら。貴方の他に思い人がいるみたいなんです」


 妾とサリスは顔を見合わせて、少しだけほっとする。

 こんな愛のない友情だけの結婚話に、ようやく恋路が纏まりそうな相手ができたのかと。

 それなら妾は応援するだけ。


「放っておきなさい」

「で、でも」

「いいのよ。妾はたくさんいろいろしてもらってる。充分なの」

「お嬢。駄目です、多分そんな言い方では、この小姑暴走しますよ」

「ええ? うーん、ええと、ね。妾とアシュは契約結婚だから。内緒よ? だから、いいの。好き勝手させるのが約束だし。妾も愛をあの人にもっていない」

「そ、れはまた……大胆な話ですね」

「だから恋路を邪魔すれば馬に蹴られるだけよ」

「わかり、ました」


 戸惑っているみたいだけれど理解してくれて好かった。

 アシュは好きな人できたのね。

 ならもうすぐ妾はお役御免になる日が近いのかしら……?

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