拝啓、僕の愛する人へ〚Episode1〛
これは僕的には単純にボーイズラブやガールズラブとして受け取るのではなく、もしかしたらあるかもという気持ちで読んでくださると倖いです。
(静かっていいな…)
雑音の一つもない図書室では一人の少年が小説を読んでいた。今頃の少年とは違い穏やかでやんわりとした雰囲気を持つ少年、川倉零だ。
…しかし、そんな雰囲気はまた一人の少年により壊されることとなる。
「零!」
「どうしたの、佑」
ひと目見ただけで明るくお調子者だとわかる見た目をした彼は和泉佑。零のクラスメイトだ。
「零は、クラスの女子では誰が好き?」
また、彼は急に突拍子もない事を言い出すので、その話に対応できるのは一人だけと言われている。
「なに、急に…」
そう、零だけなのだ。
「皆には優しいのに俺だけに塩対応!」
「急に至福の時間に割り込んできたら皆こうなるよ」
「お前に好きな女子知りたい!一生のお願い!」
「ハァ…クラス委員の糸原さん」
よくもまあ何回も一生のお願いをつかえるなと思いながら零は答える。
「え、マジ?糸原かぁ…俺はやっぱ月宮さん」
「マジでお前、月宮一筋だよなぁ」
「なんだよ急に…いいだろ別に!!」
佑は鈍化である。
男が好きになるのは女という固定概念に縛られているからだろうか。
「まあ、お前の好きな女子聞けたしいいや、バイバーイ!」
「うん…」
また、図書室には沈黙が広がる。
「本当に馬鹿だわアイツ」
「僕が好きなのはお前なんだよ」
…もう、“普通”のフリなんてしたくない。
空は雨雲に包まれていた。