【派生ルート】シモンエンド
シモンを選んだ場合のifエンディングストーリーです。
最後にキャラのイラスト付き初期設定(最初に作った設定なので本作の内容とは若干異なります)カードを掲載していますのでお楽しみください。
ギイイイイイ…………
中庭の扉が開き、パーティ会場の中庭に足を踏み入れると、祝福のクラッカーが鳴り響く。
あちこちから「おめでとう」と祝福の言葉が飛び交い、嬉しくて心がふわふわと浮いてるみたい。
ただ、集まってくれた人の中からシモンだけ見つけることができない。どうやら急な討伐で夕方しか戻れないそう。お仕事なら仕方ないよね、うん。
ちょっと悲しいけど、こんなにたくさんの人が祝福してくれるのだから、贅沢を言っても仕方ない。
少しの時間だけど来てくれたゲスト全員に声をかけてまわる。過去のパーティだったら一周するのに一時間もかからなかったのに、気が付いたら結構な時間が経っていた。
もう夕方も近くなり、お開きの時間となる。
シモンはまだ現れない。
最後のお客さまを見送って、自室に戻ろうとしたところで呼び止められる。
「クロエ様、遅くなり大変申し訳ございません」
振り向くと、そこにはシモンが居た。正装したその姿はいつもよりマシマシで素敵に見える。
急いだのか少し息が切れているみたいだけど、でもその様子をこちらに悟らせまいとしているところが、ちょっと萌えポイントだ。
どこまでも騎士なんだなあと思って、そんなシモンを年上なのに可愛いと思ってしまった。
「ふふ、シモン様。いらしてくださって嬉しいですわ。お忙しいのに、私の為に息まで切らせて……こちらへどうぞ」
「これは……さすがクロエ様でございます。私の息が上がっているのを見抜かれるとは。まだ鍛錬が足りておらず……」
「シモン様、今日は私が主役でしてよ? 堅苦しいのは辞めてくださいませ。もう少し砕けてください、ここには私とシモン様しかいないのですから……」
後片付けを済ませるために使用人たちがせわしなく屋敷と中庭を行き来しているから、本当は二人っきりとはいかないんだけど……まあ、細かい事はいいことにしよう。
「もう後片付けをしている時間なのですね、申し訳ありません」
「いいえ。シモン様は何があっても行きますと誓ってくださり、本当に来てくださった。それだけで十分ですわ。
庭を少し歩きませんか? 庭師が丹精を込めて手入れしている庭をご案内いたしますわ。ここは少々騒がしいですし」
庭園に出て薔薇園の方へ足を運ぶと、シモンが感嘆の声を上げる。
「ほう、素晴らしい。このような美しい庭はなかなかお目にかかれませんね」
「そうでしょう? うちの庭師はとても優秀なんですの」
薔薇から取れるフレグランスオイルの話をしたり、料理の話をしたり……シモンとの話は尽きない。好きなことが同じだから、年齢が離れているとは思えないほど話が合う。精神年齢は似たようなものだからというのも、あるかもしれないけど。
話題にあげた花に手を出したのが同時で、シモンの手が私の手に触れる。ごつごつとした大きな暖かい手。ふとシモンを見上げると目が合った。私を見つめていたの? 薄いブラウンの瞳に吸い込まれそう。思わず呟いてしまった。
「シモン様、私あなたの事が好きです」
はっと口を押えたけど、もう言ってしまったものは仕方ない。シモンは無言で、優しい笑顔を向けてくれる。そしてゆっくりと深呼吸をしたあとに、返事をくれた。
「クロエ様。不敬なのは元より存じ上げております。
……こんな気持ちはもう二度と訪れないと思っておりました。あなたと一緒に居ると、私の心に温かい感情が広がっていくのです。乾いていたはずの心が潤うのです。
──私は、あなたの事を愛しています」
「嬉しい!」
思わずシモンに抱き付くと、シモンも抱きしめ返してくれて幸せな気持ちが溢れ出してくる。
夕日を背にした二人の姿がフリーズして花が舞い散り、スチルが出現する。キャラクターボイスの声優が歌う恋愛エンディング曲「Colorful Love」が流れ、脳内に今までの出来事が走馬灯のように流れる。
曲が流れ終わると、シモンがブレスレットをプレゼントしてくれた。
「私がプレゼントしたドレスを着てくださってありがとうございます。やはりあなたにはその色が良く似合う。そしてこのブレスレットも……」
「シモン様の色だから、このブラウンベージュのドレスを選びました。素敵なプレゼントをありがとうございます。幸せすぎて怖いくらいですわ」
それから、シモンは私に大人のキスをする。
やっぱり同じ趣味を持つ人と一緒が一番良いと思う。それに、シモンなら私がお屋敷に引きこもっても気にしないでいてくれそうだし、大人の男性の深い懐に包まれるのもいいんじゃないかと思う。
── シモンエンド 完 ──
ここまで読んでくださって本当にありがとうございました。
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