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【完結】悪役令嬢は引きこもりたい  作者: MURASAKI
エンディング
87/92

【派生ルート】ハルエンド

ハルを選んだ場合のifエンディングストーリーです。

最後にキャラのイラスト付き初期設定(最初に作った設定なので本作の内容とは若干異なります)カードを掲載していますのでお楽しみください。

 ギイイイイイ…………


 中庭への扉が開く。かわいらしいピンクのドレスに身を包んだ私は、中庭の中央にお父様のエスコートで進む。

 沢山の中に、名前の通り春の光のような笑顔でハルがこちらを見るのが見えた。なんだろう、緊張が解けてすごくほっこりする。

 ほわほわ笑顔になった私は、集まった皆様へのスピーチを終えると、立食パーティーのテーブルを巡りながら、学友と語り合う。本当はみんなと話したかったけど、行く場所行く場所で捕まっちゃうのよ……トホホ。


 今日は主役だから仕方ないかと沢山の人と話していたら、気付けば結構な時間が経っていたので驚く。

 まだ招待したみんなと話せてないのに。


 あちこち見回してみたけど、知った顔を見つけるのは至難の業のように思えた。



「うう、人が多いなあ。もうちょっと小規模だと思ってた」



 ちょっと人に酔ったみたいで、気持ち悪くなってきた私は裏庭に避難する。裏庭にはベンチがあるし、流石に家人しか使わない場所だから誰も居ないはず。


 屋敷の横を通り、裏庭に出ると先客が居た。



「……ハル!」



 ちょっと具合が悪そうに見え、自分も気分が悪かったことを忘れて駆け寄る。



「なんだか顔色が悪くない? ハル、大丈夫?」


「うん、だいぶ良くなってきたところ。クロエさんもなんだか具合が良くないように見えるけど?」


「ちょっとだけ、人当たりしただけだから……少し休めば元気回復すると思う。今、ハルに会えたからだいぶ回復できたしね!」



 サムズアップして大丈夫アピールをすると、ハルがクスクスと笑う。

 なんていうか、本当に短髪にしたハルは程よく色気が出てかっこよくて、大人びて見える。

 ──クロエよりも年齢は上だから、十分大人なんだけど。


 ハルの腰かけるベンチの隣に座ったら、意図せずハルの手の上に手が乗ってしまった。



「ごめんなさい」



 慌てて手を離すと、ハルは困ったような笑みを浮かべている。



「どうしたの? ハル。やっぱり、具合悪いなら客間に案内しようか?」


「ううん、違う。そうじゃないんだ、クロエさん。ボク、やっぱり……」



 そう言って、ハルはうつむいてしまった。次の言葉がなかなか出てこない。

 ゆっくりとした時間が流れていく。なんだかもう言葉は出てこないのかな?と思って、私から静寂を破ることにした。



「うーん、だいぶ気分が良くなってきたー! ハルの隣は落ち着く。ね?」



 ちらっとハルの方を見ると、ハルの頬が赤くなっているように見える。あれ? 熱でも出てる?



「ハル、やっぱり具合悪い? 熱でもある?」



 自分のおでこに手を当て、ハルのおでこにも手を当てる。んー、ちょっと熱いかな?



「ち、違う! 違うんだよ、クロエさん。これはその……嬉しくて」



 ハルは、おでこに置いた私の手を取ると、ギュッと握りしめて真っすぐに目を向けてくる。

 静かな時は一瞬なはずなのに、スチルの時みたいにちょっと長く感じてしまうから不思議よね。



「そのピンク色のドレス、ボクが贈ったものなんだ。似合うと思って贈ったんだけど、やっぱりクロエさんにとっても良く似合う。選んでくれてすごく嬉しかったよ。


 クロエさん……ボクは、あなたの事が心から好きです」


「ふぇ? え、す・好き?」



 真剣なハルの凛々しい顔と声。いつもの可愛いイメージとはギャップが激しすぎる。

 呆けた私の顔は、さっきのハルの比じゃないくらい真っ赤に染まっている。自覚はある、全身の血が顔に集まってるみたい。



「ふふ、その反応。少しはボクを異性として認めてくれているってことかな?」



 いつものハルの表情は、ちょっと楽しそう。もしかして、私はからかわれたのかな?



「もう! ハルの意地悪。からかうなんてヒドイ!」


「からかってなんてないよ、意地悪でもない。ボクはクロエさんが好き。愛してる」



 伝えてスッキリしたのか、もうハルの顔には迷いもなく晴れやかだ。さっきまでの緊張感が嘘のよう。ハルは穏やかないつものぽわーんとした空気を纏っている。

 私は、どうだろう? こうしていつも精神面で私を助けてくれるハル。いつも弱音を吐く私を叱ってくれるハル。私にとって太陽のような温かさを持っているハル。



「ハル……ありがとうございます。私も、ハルのことは大好きです」



 ハルの誠意に応えるために真っすぐハルを見る。ハルも真剣に受け止めようとしてくれているのが分かる。



「正直、まだ愛というのは良く分かりません。けれど、ハルとなら一緒に探せると思います」


「本当!? クロエさん! 嬉しい!」



 私は握られたハルの手を、もう一方の空いていた方の手で握り返す。

 私の返事と同時に、時間がフリーズして花が舞い散り、お互いの手を取り合うスチルが出現する。キャラクターボイスの声優が歌う恋愛エンディング曲「Colorful Love」が流れ、脳内に今までの出来事が走馬灯のように流れる。


 まだ、始まったばかりの恋。

 ハルとなら、ゆっくりでもきっと大きく育てていけると思う。




── ハルエンド 完 ──


挿絵(By みてみん)

ここまで読んでくださって本当にありがとうございました。

他のエンディングもぜひお楽しみください。

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