【派生ルート】ガイウスエンド
ガイウスを選んだ場合のifエンディングストーリーです。
最後にキャラのイラスト付き初期設定(最初に作った設定なので本作の内容とは若干異なります)カードを掲載していますのでお楽しみください。
ギイイイイイ…………
中庭への扉が開く。沢山の人が居て、使用人たちは大忙しみたいだ。
ガイウスもいつものように私にべったりとはいかないみたいで、ゲストのおもてなしに勤しんでいる。
漆黒のドレスを身に着けた私を見て、ちょっと驚いたような顔をしているのが見えたんだけど……どうしてかな?
学友たちと歓談して、ひと息ついたところでガイウスが近づいてきて耳打ちをする。
「お嬢様、ドレスが少々着崩れております。お直し致しますので控室までご一緒いただけますか?」
「え? 本当? 気付いてくれてありがとう、ガイウス」
「とんでもございません。お嬢様をお助けするのが私の仕事ですから。ではこちらへ」
パーティも佳境で出し物が続いている。今は大道芸人のパフォーマンスが行われていて、集まった皆さんはそちら釘付けだから、私が抜けても誰も気が付かないだろう。
こっそりガイウスと二人で庭から屋敷の中に入る。
「お嬢様、こちらでございます」
ガイウスが案内したのは、普段は客間として利用している部屋の一室。ここを今日は控室にしているみたい。
「どのあたりが着崩れているのかしら? よく見えませんわ」
「お嬢様、どうして今日はこのお召し物を選ばれたのですか?」
「ああ、そうね……。派手ではないけれど、細かな刺繍が施されているし、上品で大人びていて着てみたらしっくりきたからかしら」
「そう、ですか」
近づくガイウスは私の背中についたシルクのリボンを丁寧に直し、そのまま後ろから私の腰に手を回した。
背中から抱き付かれる格好になった私は、まさかここにきて暗殺されてしまうのでは?と、内心ドキドキした。
「どう……したのです? ガイウス……?」
「あなたは、どうしてそんなに俺の事を翻弄させるんだ? 俺はもう、気持ちに歯止めがきかない」
「まさか、私を殺すつもり……」
「何を仰っているんですか。お嬢様が俺を殺しにきているくせに」
ガイウスが何を言っているのか分からない。甘く耳元にかかる吐息がドキドキを加速させるんだけど……考えがまとまらないから、耳元で囁くのはやめて欲しい!
ん? 少し力のこもった腕が、震えている……?
「ガイウス、あなた震えているの?」
「俺の……俺の選んだドレスを着てくださってありがとうございます。それだけで俺は、あなたの事を好きでいて良かったと思えます。お嬢様……いえ、クロエ様。心よりお慕いしています」
私は震えるガイウスの手を握ると、ゆっくりと言葉を探しながら話す。
「ありがとう、ガイウス。私の事をいつも見守っていてくれるのは感じていました。……そう、あなたの愛情はいつも感じていましたわ」
「……っ! では、お嬢様……」
「ですが、あなたと私の関係はただの執事と主ですわ」
ゆっくりガイウスの腕をほどき、後ろを向きガイウスの顔をまっすぐに見た。今にも泣きそうな、子犬のような顔をしているガイウスを見て、どうして私はこの執事に殺されると思っていたのだろうと不思議に思う。
ガイウスの両頬を両手で包み、思いっきり意地悪な質問をする。
「私たちの関係を覆すことが、あなたに出来るのかしら?」
女王様モードの私に、ガイウスは既に屈しかけているように見えたけど、頑張ってちょっと持ち直したみたい。
「クロエ様。俺……いえ、わたしは命をかけて生涯あなたを守ると誓います」
真剣な眼差しには迷いはない。
よく考えると、私のことを一番分かっていて、いつも両親以上に心配をしてくれて、時には叱ってくれて……ガイウスはいつも私の事を大切に扱ってきてくれたなあと思う。
これは、身体が勝手に動いただけ。だからきっと、私は素直にガイウスを大切に思っているんだ。
「ガイウス、では私も誓うわ。あなたと共に歩む人生を」
そのままガイウスに口づけをする。
時間がフリーズして花が舞い散り、キス後の照れた顔の二人がスチルとして切り取られる。キャラクターボイスの声優が歌う恋愛エンディング曲「Colorful Love」が流れ、脳内に今までの出来事が走馬灯のように流れる。
エンディング曲が終わり、ガイウスの頬には喜びの涙が一筋流れた。
拭ってあげると、本当に子どもみたいに今まで見たことのない笑顔を浮かべたから、私もつられて笑ったの。
私はこの執事と一緒なら、将来に不安は無いと心から思えるほど幸せを感じていた。
今度はガイウスから……もう一度、確かめるようにキスをした。
── ガイウスエンド 完 ──
ここまで読んでくださって本当にありがとうございました。
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