もうそろそろ引きこもりたい!
「はあ、どうしよう?」
何度見ても、ものすごく上がっているクロムとの親密度にため息をつく。あのままデート(?)を続けていたら、完全に恋愛エンディングに突き進む流れだった。
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クロエ・スカーレット(17歳)
Lv.23
属性:火・地・風・闇・光
HP(体力)…………… 150
MP(魔力)…………… 6500
ATK(物理攻撃力) … 100
MAT(魔法攻撃力) … 3000
DEF(物理防御力) … 70
MDF(魔法防御力) … 3000
LUK(運の強さ) …… 785
親密度
アメリア(幼馴染)…… 579/999
クロム(婚約者)……… 925/999★
ナイル(婚約者の弟)… 790/999★
ガイウス(執事|暗殺者) 907/999★
ハル(占い師)………… 565/999
ルカ(魔法局長)……… 550/999
ジーン(用心棒)……… 645/999★
シモン(近衛師団長)… 650/999
特別スキル
スチル耐性……………… 750
虫の知らせ……………… 825
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人助けイベントが終わった人の横に、ウエンディが★マークを付けてくれたので、より私の焦りはピークになっている。
「クロムは昨日のいい夢見せるイベント、ガイウスは呪いを解く、ジーンは溺れているのから助ける……ナイルって何だったっけ?」
『ハイ、お答えします。ナイル様は鉱山解毒イベントが人助けイベントでございました』
「あ、あれ……私が直接飲ませてないけど、一応カウントされるんだ?」
『ハイ。解毒をされたのはあくまでもクロエ様です。ちなみにクロエ様が制止を聞かずにご自身で口移しをされていた場合は、スチルはクロエ様とのシーンに挿し変わります』
あっっっぶない! 私が名乗りを上げてたら、あの美しいスチルは手に入らなかったのか!
一瞬冷や汗をかいたけど、そこにホッとしている暇はない。誕生日までにあと四人の人助けイベントをこなさないといけない……のは、もう積んだと言っていい。
発生条件も分からないし、親密度900越えがふたりも居る以上、下手に動きたくない。
「ううう、あと数日程度でどうやって人助けイベントを四件も発生させたらいいの~?
あと、何もしてないのにジーンの親密度が上がってるのなんで?」
『ハイ、お答えします。ひとつめの質問については攻略対象が居る場所に行って頑張るしかありません。
ふたつめの質問については、ジーン様がゼリーをお召し上がりになったため上がりました』
「そうなんだ。ジーンはすぐに食べなかったんだ、ゼリー」
その日のうちに食べてもらえなかったことには多少モヤっとしたけど、食べたうえで親密度が上がっているなら問題はないのかな?
溺れたことで、やっぱり体調にダメージがあったのかもしれないと思うと心配になる。
「ジーンは大丈夫かな? それからウエンディ、頑張るしかないってアドバイス、ナビゲーターとしてどうなの!?」
『そうは言われましても、システム上、ワタクシにも言える範囲がございます』
「なるほど、システムなら仕方ない……ってなるかーい!」
『見事なノリツッコミでございます。クロエ様、念のため申しますとクロエ様はいつ消えてもおかしくないくらいだったLUKを、信じられない速さでここまで成長させられました。昨日もクロム様を見つけるのに時間がかからなかったのは、LUKの高さのおかげです。強くお望みであれば、叶うかと。
ただし、いつもの禁止ワードは厳禁でお願いします。せっかく上げたLUKが下がってしまいます』
「そっか。ご都合イベントが発生するポイントじゃなくても、それ以上ならラッキーが起きる確率は上がってるってことか」
『ハイ、その通りでございます。お誕生日までの間、学問所はバースデー休暇を申請されてはいかがでしょうか?』
「バ、バースデー休暇!? なにそれ、そんなのあるの?」
『ございます。お誕生日の当日を含む前後五日間はお休みすることが可能です。クロエ様は成績も優秀、討伐に関しましても怒涛の追い上げで優の成績に加えまして、出席日数も十分足りております』
「そんな制度があったなんて……今から申請して間に合うの?」
『大丈夫でございます。申請されるのであれば、ワタクシが届けを出しておきますがいかがされますか?』
「うん、制度としてあるのだったらお願いする」
『かしこまりました。申請完了しました』
「早っ! 流石ね、ウエンディ!」
『それで、クロエ様。ひとつご提案がございます。イベントが終了している四名以外は、お誕生日会のお誘いを直接されてはいかがでしょうか?』
「誕生日会……?」
あまり考えていなかったけど、そういえば記憶の端っこの方に毎年盛大な誕生日会が行われていた記憶が蘇ってきた。
あまりクロエは誕生日会を好きではなかったみたい。去年までは、取り巻きしか集まらない誕生日だったから……。
今年はクロエが大好きな、本当に出席して欲しいと思っていた全員が出席してくれると思う。
なんたって親密度は全員500越えなんだから!
「そうだね。じゃあ、今日はルカ様とシモン様のところにでも行ってこようかな? ふたりは職場も近いし。早速用意しよう!」
ガイウスを呼んで、誕生日会の準備について聞くと、既に毎年送っている相手には招待状を郵送しているそうだ。
その中にクロムとナイルの名前があったことに驚く。
クロエの記憶では、二人が来てくれた誕生日会は十歳の時だけ。
胸の奥がチクリと痛む。まだ鮮明になっていない記憶のどこかに原因があるのは分かる。それが何なのかは分からない。
アメリアは毎年きちんと来てくれていたけど、なぜかクロエは一方的な嫉妬心からあまり話すこともなかったみたいだし。
今年は、今までで一番いい思い出の誕生日会にしよう。誰も悲しい思いをしなくていいような。
ぐっと拳を握りしめて誓い、ガイウスに招待状の追加をお願いをする。
「今年は色んな方と知り合ったので、その方たちもお呼びしたいと思いますわ。四枚ほど追加で招待状を用意できまして?」
「勿論でございます、クロエ様。早速手配してまいります」
一礼してガイウスがその場を去ると、あとは既にアメリアに招待状が渡ってしまっているので、この先どう攻略すればいいかで悩むことになってしまった。
それにしても、毎年来てくれているアメリアは、本当にいい子だ!
ここまで読んでくださってありがとうございます。
次話は8時更新予定です。
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