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【完結】悪役令嬢は引きこもりたい  作者: MURASAKI
ゲーム中盤
62/92

お料理指南で引きこもれない!①

 来週に誕生日を迎える週末。

 シモンと約束をした「ゼリーの作り方を教える日」がやってきた。


 今のステータスはざっとこんな感じ。


--------------------------------

 クロエ・スカーレット(17歳)

      Lv.23


属性:火・地・風・闇・光


HP(体力)…………… 150

MP(魔力)…………… 6500

ATK(物理攻撃力) … 100

MAT(魔法攻撃力) … 3000

DEF(物理防御力) … 70

MDF(魔法防御力) … 3000

LUK(運の強さ) …… 785


親密度

アメリア(幼馴染)…… 579/999

クロム(婚約者)……… 805/999

ナイル(婚約者の弟)… 785/999

ガイウス(執事|暗殺者) 912/999

ハル(占い師)………… 565/999

ルカ(魔法局長)……… 550/999

ジーン(用心棒)……… 601/999

シモン(近衛師団長)… 545/999


特別スキル

スチル耐性……………… 750

虫の知らせ……………… 825


--------------------------------


 ガイウスとはどうしても顔を合わせるので上がっていく親密度……本当に気を付けていないと恋愛エンドを迎えてしまう。

 幸い、細かな対象とのステータスを見ると、まだ恋愛イベントがひとつしか出ていないことが救いなんだけど……イベント一つで恋愛EDを迎えるのかどうか分からない。もしかしたらイベントを取りこぼしている可能性もあるから、それなら安心なんだけど。

 あ、イベントの取りこぼしと言うのは、ある条件下でしか発動しないイベントを見損ねることで、親密度と時期が重要で条件を逃してしまうとその相手とは恋愛エンディングを迎えることは出来なかったりする。



 もし、取りこぼしをしていたら友情エンドは見れるわけだけど……実はすごく惜しい事をしているんじゃないの?私。



 スチルを逃しているとしたら、ものすごーく勿体ない。

 もしゲームの世界でずっと生きていくのなら、今後何かしらの心変わりがあった時にイベントを見れるようにしてほしいな。どうせなら全部のスチルをカンストしたいし!

 やり込み癖が出て来そうになるので、一旦自分の気持ちを落ち着ける。



「ウエンディ、今の状態なら友情エンドを見れると思う?」


『ハイ、クロエ様の今の状態なら問題ないと思われます。本日、シモン様とのデートも楽しんできてくださいませ』


「デートって、やだなあ。今日はお料理のレクチャーに行くだけなのに……」


『そろそろお時間です。いってらっしゃいま……』


「ん? 勿論ウエンディも一緒に行くんだよ? 何かあった時に居てくれると助かるから」


『何を期待していらっしゃるんですか? ニヤニヤ』


「もう! ウエンディこそ何を言っているの? 最近ちょっと何かが変だよ?」



 ウエンディと会話を楽しみ(?)ながら自室を出て、階段を軽やかに駆け下り玄関ホールに出る。

 キッチンへ向かうつもりだったのに、既に使用人頭が私の頼んでおいたゼリー作りの材料を詰めたバスケットを持ち、玄関で待ち構えていた。



「あら、ありがとうございますわ! キッチンまで取りに行こうと思っていましたのに」


「今、キッチンは立て込んでおりますので、お嬢様のお手を煩わせてはと料理長から預かってまいりました」


「そうですの? 気を使っていただかなくてもよろしいのに。料理長にもありがとうとお伝えくださいな」


「かしこまりました」



 バスケットを受け取ると、いってらっしゃいませ。と使用人たちがハモる声を聞きながら玄関を出る。玄関の前にはいつもの馬車が待って……いなかった。

 代わりにやたらゴージャスな白い塗装の見た目が華奢な馬車が止まっていて、それに乗るようにとガイウスに促される。どうやらシモンが迎えの馬車を手配してくれていたようで、今日はガイウスはここで見送りなのだそうだ。

 それにしても、女の子が好きそうな可愛いらしい馬車を選んだものだと、シモンのセンスに感心する。



「お嬢様、お気をつけていってらっしゃいませ」



 いつもよりエスコートで手を握る時間がやたら長いような気がするのだけど、きっと気のせいよね。

 ガイウスなりの心配だと思うけど、私の誰がどこにいるかMAPのような何かしらのストーカーグッズを持っているんだし、私のピンチの時は駆けつけてくれるんでしょ?

 ただのお出かけの見送りなのに今生の別れのような大げさ加減に半眼になる。

 名残惜しそうに握られた手を引っこ抜き、行ってまいりますと手を振ると、自宅からキャメル邸まで馬車が動き出した。


 スカーレット邸からキャメル邸までは、馬車で片道約三十分程度だ。

 シモン自身が、自宅はのどか(・・・)がいいとのことで、城門を出た牧歌的な場所に屋敷を構えている。普段は王宮の詰め所にある自室に泊っているらしいので、自宅とはいえ休みの日以外は帰れていないだろうとお父様からは伺った。

 討伐以外で城門を出ることがなかった私は、念のため事前にお父様に相談したのだけど、シモン様なら問題ないと二つ返事で送り出してくれたのよね。



 一応シモン様も攻略対象キャラなんだけど、そういう対象になっちゃったらどうするんだろ? お父様は。



 一瞬考えてしまったけど、年齢も離れていて相手は近衛隊の隊長という立場。しかも主君の婚約者を横取り……なんて、間違っても考えたりはしないと思われるのは当たり前と言えば当たり前だ。

 ゲーム攻略シナリオさえなければ、クロエもそのまま学問所を卒業してすぐにクロムと結ばれているのだろうし、世間的には立派な婚約者の居る令嬢なのだから目移りすることも無いと思う。



 うう、他の殿方に目移りというより、推しだらけでごめんなさい! クロム。



 心の中でクロムに謝り、窓の外を見ると湖が見えてきた。ピーク王国の南に位置する大きな湖は生活を支える水源にもなっている。日光を反射した水面がキラキラときれいだ。

 こんなところに自宅があるなんて、ちょっとした別荘みたいで羨ましいかも。


 湖を横に見ながらしばらく馬車にゆられると、場にそぐわないような大きな邸宅が見えてきた。

 あれがキャメル邸です、と御者が説明してくれる。

 門をくぐり長いアプローチを進んだ先、邸宅の玄関前にシモンが立っていた。馬車から降りる時のエスコートまで、自ら行ってくれるサービス満点の演出にちょっとドキドキしてしまう。

 ドキドキの理由はエスコートだけじゃなくて……いつも騎士か甲冑姿しか見たことのないシモンのラフな格好が、より心臓の鼓動を早くさせている。



 イケてるおじさまの、普段着姿! このままスチルで収めたい。



 さっき、馬車の中でクロムにごめんと言ったことをすっかり忘れ、目の前の素敵なおじさまに目が釘付けになっている私を誰が責められるだろうか……。

 ピーカラ(この世界)に転生した以上、推しの皆さんをしっかり堪能したってバチは当たらないはず。

 もちろん、一歩踏み込まずにただ眺めているだけ&推しとの妄想に励むだけなので、これはセーフ……よね?

ここまで読んでくださってありがとうございます。

次話は13時更新予定です。

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