スチルラッシュで引きこもりたい⑤
「そうだ、アメリア! あなたに渡したいものがあるの」
「クロエ、私もよ。偶然ね」
鞄からお互いのプレゼントを渡し合って、二人で一緒に開封した。
「「わあ、素敵!」」
二人同時に感嘆の声を挙げる。アメリアは大人っぽい髪飾りを凄く喜んでくれた。
私が貰ったのは小さな石の入ったペンダント。
これはクロエのサイドストーリー攻略時に渡すアイテムのひとつで、ハルの店で取り扱っている。
どうやらこれを手に入れるために、ハルのところに行っていたみたい。
アメリアが少しでも私と仲良くしたいと思ってくれていたことが嬉しくて、思わず涙が出る。
「泣かないで、クロエ」
「だって、アメリアがプレゼントをくれるなんて、嬉しくて」
「いつも美味しい物をいただいてるお礼よ。クロエこそ、私が欲しい物が良く分かったわね」
アメリアに似合いそうというだけで選んだ髪飾りだったけど、これが攻略アイテムかどうかわからない。なにせ、私はアメリア主人公でのプレイしかしていないんだから。
一目見て惹かれるものだったから選んだけど、喜んでもらえて何よりだと思う。
友情っていいなあとほっこりしていたら、またスチルが発動した。
「ありがとう、クロエ。私たち本当に良いお友達ね」
髪飾りを付けたアメリアは、どこか大人の印象があり笑顔もセクシーに見える。
ついついスチルに見とれてしまった。
こんな素敵な友達を虐めていたなんて信じられないと思う。
お互いのプレゼントを身に着け、おしゃべりしながら家路についた。
「あ、アメリア。私が買い食いしていたことは内緒にしてね? 流石にはしたなかったわ」
「ええ、二人だけの秘密ね!」
楽しく家に帰ったまでは良かったけど、部屋に入るなり今日一日の出来事を思い出して一気に疲れが出た。
今日一日でいったい何枚スチルが発生したの?
ナイル・クロム・アメリアで各一枚。ガイウスは二枚。
一日で五枚ものスチルのキラキラを直視したおかげで、私のスチル耐性はかなり上がったと思う。
ゲームでも一日で五枚はなかなか見られないよ? ゲームには行動制限があるからね。
「ウエンディ、凄く疲れた。今日ってかなり色んな数値が上がった気がする。ステータス見せて?」
『ハイ、クロエ様。今日は本当に頑張りました。設定されたネガティブワードの回避もお見事でした』
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クロエ・スカーレット(17歳)
Lv.20
属性:火・地・風・闇
HP(体力)…………… 91
MP(魔力)…………… 5000
ATK(物理攻撃力) … 47
MAT(魔法攻撃力) … 1500
DEF(物理防御力) … 21
MDF(魔法防御力) … 2000
LUK(運の強さ) …… 125
親密度
アメリア(幼馴染)…… 420/500
クロム(婚約者)……… 502/999
ナイル(婚約者の弟)… 448/500
ガイウス(執事|暗殺者) 520/999
ハル(占い師)………… 120/500
???…………………… 000/500
???…………………… 000/500
???…………………… 000/500
特別スキル
スチル耐性……………… 100
虫の知らせ……………… 30
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「わ、割と頑張ったと思ったんだけど、思ったよりLUK上がってないなぁ」
『プレゼントは、親密度ゲージを上げるための物です。買ったものでは大きくLUKを上げられません』
「ラクするなってことね。はい、わかりました。やっぱりクロムとガイウスは親密度500超えてる!」
甘い顔をされていたのを思い出し、悶絶する。スチル耐性がついたとして、私の心臓は今後も持つの?
ん? スチル耐性といえば、新しく特別スキルというのが追加されている?
「ウエンディ、追加された特別スキルって何? スチル耐性はいいとして、虫の知らせって?」
『ハイ、特別スキルはクロエ様が独自に手に入れたスキルとなります。虫の知らせは、勘が良くなるスキルとなります。本日アメリア様のプレゼント選びの時に発動されました。戦闘でも役立つスキルですので、是非磨いてください』
「ほえー、そんなスキルが身に着くなんて知らなかった~! と・こ・ろ・で」
『何でございましょうか』
「スチルって、保存されてるよね? 今見ることは出来る?」
『ハイ、こちらが一覧となります』
ずらーッと表示されたスチル一覧。大好きな絵師の「奉夢 色」先生の絵柄に置き換わっている。
たは~! ご褒美が過ぎるvvvvv
「一覧で見ると、最高~! これを見てると妄想しながらイラスト制作が捗りそう!」
スチルが沢山あって、しばらくは部屋に引きこもれそう! うふふふふ、描きやすい紙と鉛筆を手に入れた私は、今や無敵よー! 引きこもり万歳!!!
『クロエ様、引きこもりは禁止ワードとなりますので、LUKが5引かれます』
えええ、そんな~~~~! ポジティブ(?)な引きこもりもだめなの!!?
やっぱりこの世界、私に厳しくない!?
ここまで読んでくださってありがとうございます。
次話は0時更新予定です。
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