事件 2
俺は、その夜、自室に戻って読書、いや、調べ物をしていた。
あいが、なにか感じ取っているような感じがしたからだ。
前からそうだったが、あいはそういう勘が鋭すぎるやつだった。
少なくとも、あんな環境じゃ鋭くならないほうがおかしいか。
デキルナラ、ズット、イッショニイタカッタ…………
!?今のは………?
俺じゃないやつが頭の中に……!
イイノ?マタ、ツレテイクヨ…………?
は?何なんだ、何言って……。
ツカマエタ。コウカイスルヨ?
捕まえた?何を?誰を…………
! くそ、やられた!
今のは魔法だ。頭に直接語りかける高難易度の魔法。
想像したものをそのまま送れるから、味方同士だと便利だが………。
敵に送られたら、十分な攻撃になる。
今みたいに、気を逸らすことにも使われるんだ。
寝る前だからって防御を解いて調べ物をしていたのも俺の落ち度だ。
この小屋自体にも魔法はかけていたが、どうやら破られたらしい。
俺はすぐにあいの部屋に向かった。
が、ドアに触れようとしたら弾かれた。結界だ。
すぐに解除にかかる。
………あとから考えたら、外から回っていたら間に合ってたかもしれなかった。
気が動転していたから、気づかなかった。
解除できた………と思えば、もう、部屋はもぬけの殻で。
しくじった。
絶対にあいつだ。
あいはあの場所にいる。
今の俺が、絶対に近づきたくない場所。
でも。
俺の1番大切な人が拐われたとなると、黙っていられない。
絶対に、助け出す。
俺はすぐさま準備をして、ほうきに乗り、あいのもとへ向かった。
◇◆◇◆◇◆◇◆
少年が出発したあと。
「ようやくだ。長かったなぁ。」
「あんた、あたしを使っといて何言ってるのよ。」
「でも、君は長命だもん。僕らの時間だとすごく長かったんだよ。」
「それでもたった数年でしょう?あんただけだったら何十年かかってたか。」
「それはほんとに感謝してるって。」
その様子を水晶を通して見ていた少年は、黒猫と共に、時を待っていた。
その体は、腕まで透明になっていた。




