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事件が起こる前の出来事 2

ドアを開けて、慌てた様子でジュンくんが飛び込んできました。


「何もされてないだろうな?」

「こ、声をかけられて、それで……、えっと、」

「……すまん、急かした。………怖かったか?」


そんな優しい声をかけられて。

私はこらえきれず、思いっきり泣き出してしまったのでした。





○●○●○●○●





しばらく泣いて、落ち着いた頃。


「大丈夫か?」

「は、はい、ありがとうございます。」

「何があったか、そろそろ言えるよな?」

「あ、はい!ええと、」


私は、すべて話しました。ジュンくんの帰りを待っているときから、今までの、すべてを。

嫌な予感がしたことや、ドアが破られたこと、隠れていたのに見つかって、声をかけられたこと、


……今、怖かったので泣いてしまったことも、すべて。


なのに、ジュンくんは愚痴1つこぼさずに、たまに途切れたり泣きそうになったりする私の言葉を、1つ1つ聞いてくれて。

しかも、泣き始めてからずっと、床に座り込む私の背中を支えて、優しく頭をなでてくれていました。


「……わかった。ありがとな、話してくれて。」

「…………」

「1人にしてごめんな。」

「……どうして、」

「なんだ?」

「どうして、こんなに優しくしてくれるんですか?」


瞬間、我に返りました。やばい、私混乱して幼児みたいになってました!?

しかも本音が……。いつかは聞こうと思ってはいましたが、今までの態度からして優しいのは勘違いかもしれないし、でも今のは確実に勘違いではない気がして、でもそれを聞くのは嫌なやつみたいでさすがに聞けなかったんですよ!


「ああぁ、今のは、その………!」

「俺には、こんなことしかお前にしてやれないから。」

「聞かなかったことに……って、え?」

「だから、もう少しだけ、待ってろ。」

「………?」



「俺が、お前を救えるようになるまで。」



私を、救う?

もしかして、さっきの男の人の話でしょうか?

そんなに強い人なんですかね……。


『ほら、やっぱりここにいるじゃないか。』

『じゃあ、また会おうね。』


また会おうね、ということは、絶対また来ますよね。

あの声、思い出すと怖さが膨らんできますが、なぜか、ジュンくんのあのなでてくれた手のひらがあれば、平気な気がして。


「大丈夫です。」

「……?あい?」

「だって、ジュンくんがきっと助けてくれるでしょう?私、なぜだか、ジュンくんがいると大丈夫、って気持ちになるんですよ。不思議ですね。」


そう言って、笑いかけると。


「………っ、」

「わっ、ジュンくん?……って、私……!」


ジュンくんが急にきつく抱きしめてきて。

私も、今更ながら自分の発言に恥ずかしくなってしまい、顔を赤くしたのでした。





◇◆◇◆◇◆◇◆





ある草原に、少年が立っていた。

顔立ちが、ジュードにそっくりな少年が。

その少年は、自分の手を見ると、薄く微笑んだ。

その手のひらは、透明になっていた。

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