夢の中の出来事 2
あんな爆発の中から出てきたのにも関わらず、その人は無傷だった。服さえ破けていない。
「ど、どうして……」
「多重結界……やっぱり、簡単に吹き飛んではくれないわけだ。」
「兄さん!」
えっ?兄さん!?
「やぁ、一瞬でなんの魔法かわかるとは大したものだ。兄さんも鼻が高いよ。」
「嘘だろ。どうせ俺たちを殺しに来たくせに。」
殺しに、来た……?
「ははっ、わかってないな。俺は、いや、俺たちはお前たちが動けなくなればそれでいいんだ。」
「つまり、殺すってことだろ。」
「言い方が悪いよ。心臓は動いているだろうさ。」
「それは生きてるとは言わねーよ!」
言った瞬間、ジューくんは魔法で風の刃を作り出し、お兄さんに放つ。
しかし、お兄さんは指を振っただけで風を消してしまった。
「こんなものか?つまらないな、もっと楽しめると思ったのに。」
「楽しんでるのはそっちだけだろ!まぁ、ご所望なら見せてやるよ!」
そう言うと、今度は氷の大きな尖った塊を作り出して、ぶつけ始める。
それをお兄さんは水の渦で盾を作り、塊を巻き込んで弾いて防ぐ。
「もう終わりか?やはりつまらない。毎回楽しめていたのになぁ。」
「今だ!いけ、あい!」
「うん!」
『ドンッ!』
音と共に、空高く火柱が上がった。どうやら、私は黙っている間にこの魔法を準備していたようだった。
「あははっ、やっぱりお前たちは面白いなぁ!だが、」
「っ!?逃げるぞ!」
「えっ、待って、間に合わない!」
「はじめからこれを狙って……!掴まれ!跳ぶぞ!」
「うんっ!」
ふたりが高く跳び上がった瞬間、同じ火柱が上がった。しかも、音無しに。
○●○●○●○●
そこで、途切れてしまった。目の前が真っ白になる。
遠くからか、近くからか、誰かの声が聞こえてきた。
「あい。お前はここにいたらだめだ。殺されてしまう。だから、俺は、」
「お前の記憶を、消すことにしたんだ。」
「お前は夢の中で知りすぎた。もう、思い出してはだめだ。これは、なかったことにしてほしい。」
どうして?なぜ、忘れなきゃいけないの?
「お前のためなんだ。ごめんな。」
その言葉と同時に、さっきまでに見たものが記憶から消えていく。
嫌だ。忘れたくない。覚えていたいのに。
せめて、名前だけでも、覚えておきたかった。
「ジューくん………」
その言葉を最後に、この夢の記憶は私の記憶の中からきれいに消えてしまったのだった。




