プロローグ
読者のみなさま、
はじめまして、沙羅曼 茸です。この作品は書きたいものを気ままに書いた初投稿作となっています。
お見苦しい点は多々ございますでしょうが、お暇な時間に楽しく読んでいたただければ幸いです。
それでは、ごゆっくりお楽しみください。
"偶然"という言葉はなんとも不思議なものである。
全ての辻褄が合ってしまうことや過去の自分との共通点があまりにも多く存在するなど、偶然でしかない事柄を結び付けて組み合わせると"運命"というものに成り果て"必然"へと昇華する、というように私たち人間は考えてしまうことがあるからだ。
「えっ!これマジ!?こんなもの堂々と......」
成明の目線の先では言葉と同時に赤を基調とする短めのスカート、その後ろから伸びるものが斜め上へピンと立ち上がる。
ただの大学生の日常。夏休みの何も無いほんの1日。なんということも無い僅かなタイミング。ぼんやりと6畳の部屋の天井を見上げているだけであれば、たまたま何もやることが無かった俺があの時いなければ、たまたま俺が選ばれて携帯に届く電話がなければ、たまたまこの場所を選択しなければ、俺はこの光景を目にすることはなかっただろう。
「……」
白に黒の刺繍がいくつか入ったシャツを着た少女が辺りをキョロキョロと見回すと同時にツヤのある真紅のロングヘアーが左右に揺れる。
だが、これは「運命」ではない。はたまた「必然」というものでもないだろう。何故なら、「運命」や「必然」を語る前に「偶然」という言葉で始めるにはあまりに難しすぎるからだ。
「……よし」
周囲を確認し終わった少女はゴクリと喉を鳴らし、その片手で持っているものに目を落とした。
あぁ、カリスマを気取ってみたが自分でも何を言っているかわからなくなってきた。
「うへ、うへへへ」
手に持つものを覗き込んでいる目はパッチリと開き、口角が上がった口からは鋭く尖った歯がチラリと見える。
まぁいいや。つまり、
ツノと尻尾を生やした女の子がドラゴンのフィギュアを涎を垂らしながら、首から尻尾へと指先でなぞっている姿が信じられないのだ。
誤字、脱字等ございましたら、ご指摘のほどよろしくお願い致します。