3話 異変
正直今の自分はこの学校で1番頭が良いだろう。
16週目にもなれは授業でやる問題、教科書のページ数、先生がボケるタイミングなどの細かい所まで覚えてしまう。
この間なら未来予知も容易い。
細かくいえば未来予知では無いのだが。
とは言ったものの既に分かりきったものを教えられても何の面白みも感じられない。
つまり何が言いたいか、
眠い……
とにかく眠い。
むしろこの状況で眠くないと言う方がすごい。
異世界とかの能力が使えたり、目的を達成するためにループしているのなら暇にはならないだろう。
まぁ別の辛さはあるだろうが……
授業始まって17分経過…
そろそろ先生が僕を当てるタイミングだ。
答えは7√5
ノートに式を書かなくても解けるほどに今ではなってしまった。
「えーじゃあこの問題を……拓也。答えろ」
!!??
僕じゃない…?なんでだ…? ここまで先生が喋ってきた内容は変わらなかった…
でもここに来て変わってしまった。
そもそも今回の世界は何かがおかしい。 今までの世界では起きなかった事が起きている。
この世界は何か特別な意味があるのか…?
あるのだとしたら一体なぜこの世界なのか……
理由を考えてみたが見つからない。
すると突然
「阿良汰!この問題を答えろ!」
と、先生の威圧のある声が響いた。
クラスの殆どの人間は頭にはてなマークを浮かべている。
それだけ僕がクラスに認知されていないということだ……
そして先生の言葉で我に返った僕。そしてどの問題なのか、黒板に目を向ける。そして暗記している答えを口に出そうとする。
ただそこで気づいた。
こんな問題解いたことがないぞ……
初めて見る問題だった。
そして沈黙の時が過ぎていく。
「こんなもんも解けないのか……はぁまったく……」
正確に言えば解けないのでは無い。解こうと思えないのだ。
この状況を理解するだけで頭をフルに使っているのに計算にも使えなど無理な話だ。
そしてその沈黙を破るように突然大きな音がなった。
地面も揺れている。
地震…!?
しかもかなり大きい。
静かだった教室が一気に騒がしくなる。
「おい!お前ら机の下に潜れ!」
先生はかなり大きい声で生徒に指示するがその声ですらみんなの悲鳴に消しさられる。
僕はなんとか机の下に潜りこんだ。
そして数秒後揺れが収まった。
さらに数秒後みんなの悲鳴も収まった。
揺れていたのは約10秒程度だったがこの教室のほぼ全ての物が床に落ち、歩くスペースも無いほどだった。
先生の指示で避難を始める。
意外とここはみんな落ち着いていて走ったり、騒いだりする事なく廊下に出ていた。
ただ自分は少し廊下にでるのが遅れてしまったために他のクラスが自分のクラスを通った後に出なければならなくなった。
人も多いし、そこで割り込むほどの勇気も無かった。
そして全てクラスが通り終わったあと、自分も出ようとすると、
離れた場所から助けを求める声が聞こえてきた…
「誰か…!た、助けて……!」
僕はその声に聞き覚えがあった。なので声のする方に走った。
声の主がいた場所はこの階の1番端の教室だった。
「おい…!大丈夫か!?」
僕は教室に入りながら問いかける。
「あ、阿良汰…?」
その声の主は花奈だった。しかし声は少し枯れ気味で、足に傷を負っている。これで避難が出来なくなったのだろう。
「どうしたんだその傷?」
こういう時は不思議なものでスラスラと言葉が出てくる。
「みんなが急いで教室から出るからその時に倒れちゃって…」
どうやらあそこまで落ち着いていた僕のクラスは珍しかったようだ。
「歩けるか…?いや、無理そうだな」
「う、うん……」
「ほ、ほらこの手に捕まれ」
僕は恥ずかしかったがこうするしか方法がないと思い花奈に手を差し伸べた。
「あ、ありがとう……」
と言い、手をとる花奈の表情はどこか少し落ち着いた表情をしていた。