91.枢機卿の魔法
■皇都大教会
~第8次派遣1日目~
枢機卿の光魔法についてマリンダからヒントをもらったタケルは泉からそのまま皇都大教会へ転移した。
もちろんマリンダも一緒だ。
「いきなり、枢機卿様へお伺いしても大丈夫でしょうか?」
「ああ、だったらリーブス司教のところに先に行く?」
「それは、どちらも・・・」
そうか、この国No2とNo3だからマリンダにとってはどっちも雲の上の人達だな。
「大丈夫だよ、忙しければ出直すから。『スタートスのタケルが来た』って言ってきてよ。できれば、リーブスさんから先にね」
マリンダは頷きながらも難しい表情を浮かべて教会士がいる部屋へ向かった。
戻って来たマリンダと一緒に待っていると教会士がリーブスの部屋に案内してくれた。
「タケル殿、よくお越しくださいました」
リーブスは笑顔でタケル達を応接へ迎え入れてくれた。
「こんにちは、リーブス司教。この間はバトラー司教のところで大変な目にあったんですよ」
「それは申し訳無い。ですが、彼女はどうにも我らでは扱いきれませんのでね。勇者様なら何とかしてくれると思ったのです」
「まあ、おかげでこちらも新しい武器の開発に役立つ情報をもらえたので助かりましたけどね。それより、リーブスさん、雷魔法の件でお礼とご報告に伺いました」
「お礼?」
タケルは雲と雷を連続して作ったことを説明した。
「二つの神に同時に、そして雲と雷を・・・、やはり、タケル殿達は我々とは全く違う理で考えていかれるのですね・・・」
「リーブスさんの魔法を横取りしたみたいで恐縮ですが、魔竜を倒すためなのでご容赦ください」
「いえ、そのようなことはお気にになさらずとも大丈夫です。むしろ私も勉強になりました。魔法についてもう一度考え直してみたいと思います」
リーブスにとってもブレークするになれば少しは恩返しになるだろう。
枢機卿の部屋へはさっきとは別の教会士が案内してくれた。
「おお、タケル殿。お会いできてうれしいですよ、どうぞどうぞ」
ボルク枢機卿は今日も愛想良くタケルを迎えてくれる。
「こんにちは、ボルク枢機卿。今日はこの間の宿題の件で伺いました」
「ほお、私の固有魔法の件ですね。で、なんだと思ったのですか?」
「ええ、時を操る魔法だと思うのです」
「さすが! タケル殿! ですが、どのように時を操るとお考えですか?」
遅くするのか? 早くするのか?
自分なのか? 相手なのか?
俺ならどうする?
「私なら自分の周りの時の流れを遅くして、自分だけが早く動けるようにしたいです」
「!・・・、そうですか。いや、それは私の固有魔法とは違いました・・・ですが、なるほど。私の固有魔法は自分の中の時の流れを少しだけ遅くして、自分が歳をとるのを遅くしているのですよ」
-アンチエイジングかい!
「ですが、タケル殿も私と考え方は同じですね。自分の時間と周りの時間の流れの差を利用する魔法ということですな」
「ボルクさんはどう言うイメージでアシーネ様にそれを伝えるのですか?」
「私は振り子で時の流れを伝えています」
ボルクは紐にぶら下がった木球を持ってきて、タケル達の前で揺らし始めた。
「イチ、ニイ、イチ、ニイ・・・この揺れを通常の時の流れとしてアシーネ様にお伝えしてから、もう一度振り子をゆっくりとふります。イッチ、ニッイ、イッチ、ニッイ、・・・自分の中の時の流れをゆっくり数えて、時の流れの差を作り出しています」
-ビート?で神に伝えるって事!?
やっぱり、この枢機卿はちょっと変わってるのかもしれない。
だが、もし加速魔法が出来れば武術でも魔法でもかなり優位に立てる。
これは挑戦するしかないな。




