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1.パーティ-メンバーがシフト制?

■YUHA商会本部事務所 応接室


今日は午前中に現地ガイダンスと派遣メンバーの選考を行うそうだ。


西條から渡された『「はじめての派遣勇者」よくある質問集~リーダー編~』に目を通す。


Q1

「派遣の時間帯は?」

「1回あたり、朝8時から8時間になります。原則として残業はありません」


Q2

「そもそもどうやって行くの?」

「倉庫内の転移魔方陣から送ります。送れる人間は4名までです。戻るときは終業時間で強制的に倉庫へ呼び戻されます。」


Q3

「現地に持っていけるものは?」

「手に持てる範囲なら可能ですが、現地に存在しないもの(例:機械・プラスチック製品等)は転移時に消滅します。」


Q4

「言葉は通じるのですか?」

「翻訳魔法を掛けますので日本語とドリーミア語の言葉は通じます。」


Q5

「ドリーミアってどんな国?」

「この世界の中世ヨーロッパ風です。歴史は1万年ぐらいありますが、資源やエネルギー(石油・石炭・電気・火薬)等が無いので、文明の進歩がこの世界よりも緩やかです。


Q6

「現地で病気・ケガをした場合は?」

「現地の薬、魔法で治してください。なお、痛み等は感じますのでご注意ください」


Q7

「いつでも、こちらの世界に戻れるの?」

「大変恐縮ですが、時間が来るまで戻れません」


Q8

「異能の力って何?」

「ドリーミアはこの世界の8倍のスピードで時間が過ぎています。その影響で召喚者は8倍のスピードで成長します。それ以外にも、魔法適性が異常に高い傾向にあります。」


Q9

「剣士・魔法使い等の職業があるの?」

「職業ではありませんが、それぞれの訓練をすることで強くなったり魔法が使えたりするようになります。」


Q10

「パーティーメンバーは何人まで?」

「現地での制約はありませんが、こちらから送れるのは合計4名までです。」


Q11

「旅費などはどうなりますか?」

「現地では聖教会が面倒(食事・宿)を見てくれますが、お金は現地で入手する必要があります。具体的には聖教会が提示する依頼を解決することなどで報酬が得られます。」


Q12

「ドリーミアについた瞬間のステータス等は?」

「1回目は行く前と同じ状態です。2回目以降は前回戻る直前の状態になります。」


・・・・ 略


Q50 

「守秘義務契約を破って誰かに派遣勇者の件を話した場合どうなりますか?」

「契約を違反した場合は違反した方が消滅します。(この世界で)」


(って、消滅って何だよ!)一通り目を通した、武は一人で突っ込んだ。


読み終わった武を確認して、西條が履歴書を何通かとシフト表をテーブルに広げる。


「明日8時からから向こうに行ってもらうんだけど、3名のメンバーを選んで下さい。

シフト編成はリーダーの義務であり、特権だからよろしく。どの時間帯でも、山田さんともう1名になるように、履歴書を参考にしてこのシフト表で3名選んでください。」


シフト表と履歴書で確認すると明日水曜日に入れる人は・・・


○シフトメンバー

中島姫子 女39歳 主婦 子供あり 平日9時から15時 (残業不可)

小澤大輔 男21歳 大学生 全日8時から18時 (残業不可)

高田 明 男55歳 フリーター いつでも可(但し不定休)

ヤン リャオメイ 女20歳 専門学校 平日17時以降 と土日祝日の昼間

グエン タン   女20歳 専門学校 平日17時以降 と土日祝日の昼間


「って、これだけですか?選べるようで選択肢がほぼ無いですけど?」


「ご存知かもしれないけど人手不足なんですよ。コンビニも24時間ですし、バイトの応募者を全員回すわけには行かないんだよね。派遣を希望する人はそれなりの事情がある方じゃないといけないし。というわけで、誰にする?」西條は笑顔でごまかす。


「時間帯で言うと、小澤さんと高田さんがメインで後は中島さんじゃないですか?そうなると、9時までと15時以降は3名だけどしょうがないですよね?」

不満を隠さずに武は答えた。


「そうだね、私もそれがいいと思うよ。いやぁ良かった。山田さんがやる気あって?」


「どういうことですか?」


「前任のリーダーは『やっぱり若い女子でしょ』とか『異世界も出会いは必要ですからね』とか言って、若い女の子中心でメンバーにしたけど、向こうですぐ全滅しちゃったんだよね。」


「全滅?・・・前任っていつごろの話ですか?」


「うん?・・・やっぱり、気になる?」


「当然なりますよ! どのぐらいの期間勇者をやってたんですか?」


「それも気になる? そうかぁ。 先週なんだけどね、初日でチーン。」と両手を合わせる。


「いやいや、死ぬったって異世界だけだしね。気軽に考えてよ。」


顔がこわばる武に西條は笑顔を崩さない。


「それとね、最初の町『スタートス』に着けばまず大丈夫だから。現地のサポートは手厚いし、無理の無いスケジュールで動けば怪我もせずにやっていけると思うよ。怪我しても魔法でなおせるしね。」


選択肢がこれしかないのだから。と武は自分を納得させた。


「じゃぁ、明日二人に紹介するから。ファミリーセブン札幌駅前店に7時30分に来てくれる。着替えもあるしね。」と言う西條のセリフを最後に事前の現地ガイダンスは終了した。


不安と疑念しかない武は自宅に帰って明日に備えることにした。



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