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23.2回目の勇者派遣 ~魔法槍発動~

■スタートス 聖教会 転移の部屋 ~第二次派遣 1日目~


前回と同じように、倉庫奥の部屋から一瞬で周囲の景色が変わった。

タケル達3人は、聖教石が5本立っている木に囲まれた部屋へ移動していた。


部屋の扉を開けて出ると、マリンダさんが笑顔で迎えてくれた。


「おはようございます。マリンダさん」

「おはようございます。勇者の皆様」


ノックス司祭に西條からの手紙を渡して、荷物を部屋に置きに行く。


今回は3人とも布製のバッグに色々なものを入れて持ってきたようだ。


アキラさんの持参品は外見で想像がついたが・・・、中身は昼食時にみんなで披露することにしてある。


宿舎の食堂では、ミレーヌとリアンが迎えてくれた。


「タケル様、この間は本当にありがとう。それと、また来てくれて嬉しいよ。」


ミレーヌにいつもの笑顔が戻っている。


リアンはまだ恥ずかしいようだが、ミレーヌに押し出されて、タケルに白い1輪の花を差し出した。


「ゆーしゃさま、ありがとう!」


「お花をありがとう、リアンはもう痛いところとかは無いかい?」


屈んで花を受け取ったが、リアンはうなずいて、すぐにミレーヌの後ろに戻ってしまった。

まだ、リアンのヒーローにはなれないようだ。


荷物を置いて、麻の上下に着替えてから裏の空き地へ向かう。


空き地では、「オスワリ」でシルバーが迎えてくれた。


明るい場所で見ると、改めて大きさを痛感する。

座った状態で頭の位置がタケルの肩ぐらいある。


「おはよう、シルバー。元気かい?」

首筋に抱きついてやると、嬉しそうに尻尾を振る。


タケル達を離れてみていたマリンダさんに近づいて聞く。


「彼は、ずっとここに居たんですか?」

「いえ、夜はミレーヌの家のそばに居たようですが、昼間は姿が見えませんでした。」


(ちゃんと、俺のお願いを聞いてくれたんだね。ありがとう。)


午前中は魔法の練習に再度取り組むことにした。

ダイスケとアキラさんも炎の大きさが安定してきたので、離れた場所へ炎を出す練習を始める。


タケル自身は二つ挑戦したいと思っていた。


ひとつは、炎を離れた場所で一定時間燃やし続ける。

もうひとつは、魔法槍だ。


戦いで魔法を使うなら、このぐらいが出来ないと役に立たないと思っていた。


マリンダに紐とマキを2本用意してもらい、水で濡らしてから木の枝にぶら下げた。


最初に10秒ぐらい燃え続けるイメージをグレン様にお祈りする。


(グレン様 本日もよろしくお願いします)

(「ファイア」と言いますので、手をおろしても10数える間は燃やし続けるようにしてください。)


ぶら下がったマキから20メートルぐらい離れて、右足を引いて構える。

目をつむり祈りを捧げて、つぶやく。


「ファイア」


的にしたマキが炎に包まれた。手を下ろしても、そのまま燃え続けている。


(グレン様 ありがとうございます)


火が消えた後のマキと紐は水に濡れていて、引火していない。


今度は連続でやってみる。

祈りを捧げ、つぶやく。


「ファイア」


最初の炎が燃えたのを見て、すぐに右手をもうひとつのマキに向ける。


「ファイア」


もうひとつのマキも炎に包まれた。

両方のマキがしばらく燃えて火が消えた。


練習のため、炎が消えるたびに20回ほど連続で左右の的へ炎を放つ。


「ファイア」と言う言葉と魔法がスムーズに連動している。

これなら、戦いでも使えそうだ。


マキにもう一度水をかけていると、マリンダが近寄ってきた。


「タケル様、そんなに一度に魔法をお使いになって大丈夫ですか?」


「特に、異常は無いですけど。どうしてですか?」


「離れた場所へあの大きさの炎をだすのには、大きな祈りが必要になります。何度も続けると、倒れてしまうかもしれません」


「聖教石が助けてくれるんじゃないんですか?」


「確かにそうですが、石の力はあくまで助けですので・・・」


「じゃあ、むしろ限界を知っておく必要がありますね。倒れたら介抱してくださいね。」


そういって、マリンダにウィンクした。


(グレン様 今度は100連発行きますので、引き続きよろしくお願いします)


100連発が終わったが、タケルの体に異常は無かった。


マリンダは心配するのをあきらめたようで、ダイスケ達の指導に戻っている。


「ダイスケ、どんな感じ?」


「思うように炎が飛ばないです」


「『飛ばす』、じゃ無くて、離れた場所にいきなり火がつくイメージでやってみて。手の上で火をつける代わりに、手の先10メートルで火がつく。っ感じで」


少し場所を変えてダイスケをみていたが、離れた場所に火がつくようになった。


タケルをみて、嬉しそうにうなずいている。


アキラさんはダイスケとの会話を聞いていたはずだから、頑張ってくれるだろう。


炎魔法は十分に満足したので、午前中だが魔法槍にチャレンジすることにした。


槍を取りに部屋へ戻りながら、イメージを固める。


(グレン様にどう伝えるかが鍵だ。)

(名前は「ファイアランス」で決まってるんだけど)

(炎の力を槍にどう付け加えてもらうか?・・・)


準備運動をしてから、前回やった突きの練習を麻袋のマトへ50回ぐらい繰り返す。

「踏み込み」と「突き」のタイミングが合ってきた。


麻袋の的へ水をかけて、グレン様にイメージを伝えて祈る。


(グレン様、今度は私の槍にお力を与えてください)

(「ファイアランス」と叫びます。)

(槍を突き出した先へ、真っ直ぐ強い炎の力を与えてください。)


右腰に槍を構えて、膝を軽く曲げて構える。

目を閉じて、槍先から1直線に細く延びた強い炎をイメージする。


静かに息を吸ってから、一気に前へ飛び出して槍を突き出した。


「ファイアランス!」


タケルの叫びとともに槍の穂先から、赤い光が走る!


「バン! バシーン!!」

的にしていた麻袋に槍の穂先が当たった瞬簡に、はぜる様な大きな音がした!


穂先は麻袋を結んだ太い木の幹に刺さった。

槍を引いて、息を整える。

胸がチリチリしているし、一気に体が重くなった感じがする。


的の麻袋を確認すると槍で穴が開いていて、少し焦げたような匂いがする。


手応えは十分だったが、見る限りでは槍だけより効果が大きいのかがわからない。


「タケル様、何をされたのですか?」

少し険しい顔のマリンダが後ろにいた。


「魔法槍の練習です。勝手にやってはダメでした? 出来たと思ったんですけど、疲れた割には、少し焦げた程度みたいで。」


「少しだなんて・・・、ダメではございませんが、こちらへお越しください。」


マリンダは的の裏側へタケルを連れて行き、木の幹を指差した。


幹に綺麗な穴が開いていた。


「これはすごい!大成功ですよ、マリンダさん。予想以上だ。」


「それだけではございません。」


マリンダは的の木から指先を動かして、2メートルほど先にある背の低い木を指差した。

細い幹の途中が、縦に二つに割れている。


「タケル様の槍はあそこまで届いています。横から拝見していると、赤い線が槍から真っ直ぐ延びたように見えました。」


「でしたら、イメージ通りです。いやぁ、すごい!グレン様ありがとうございます!」


ご機嫌なタケルを置いて、マリンダはブラックモアと相談すると言って立ち去った。


(叱られるのかなぁ?)


木陰で寝ているシルバーが気持ちよさそうだったので、地面に座って後ろ足に寄りかからせてもらった。


気持ちのいいクッションだ。

シルバーは嫌がらずに大きな尻尾をゆっくり振ってくれている。


目を閉じると、けだるい体に木陰の風が気持ち良い。

そのまま、ウトウトし始めた。

ここまでお読みいただきありがとうございます。


タケル達を応援していだける方ば、(いや、そうじゃない方も)

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