空閑の女神 天ノ橋架
日本のとある砂漠化した場所で見つけたオアシス。
そこには泉の女神がいた。
なにやらケーナと親しげ、その女神は。。。
エルの前に突如として派手にその者は現れた。
エルを見て、少しニヤつく。
「ケーナは何処ですか?エル・ブランコ。」
その者は、エルの名を知っている様だ。
「なんで、俺の名前を知っている。どこかで会ったこと..」
「あー!天!私はここだよー!!」
ケーナがいきなり大きい声で叫んだ。
「なるほどな。御主は其奴の中に居るのか。それなら、わざわざ、私のところに来たことも納得だ。」
「さっすが!天!話が早いね。じゃあ、ささっと始めちゃってよ!」
二人の間で、話が進んでいくところをエルは空かさず止めに入る。
「ちょっ!ちょっと待て!二人で話すのはいいけど。俺は、全く理解できていない。そもそも。貴方は、何者だ。」
エルは、名も知らぬ者を指差して言った。
「これは、失礼した。私は、天ノ橋架という者です。久しいですね?エル・ブランコ。」
「それだけ???」エルはポカーンとした腑抜けた顔で天ノ橋架に問う。
「まだ何かあるか?」天ノ橋架も腑抜けた顔で返した。
「まぁ、大体の察しは付いたし、いいよ。貴方がケーナの言っていた、ここの女神様で間違い無いな。」
「その通り。ケーナとの古くからの友でしてね。貴方のことももちろん知っていますよ。」
女神の微笑みに少し、気が緩んでしまったエル。
「どうして、俺を知っている?どこかで会った記憶も無いし、親戚に女神が居るなんて聞いたことがない。」
「その話はまた後にしましょう。今は、ケーナをこちらに呼び戻します。」
そう言うと、自然とエルの身体は自由を失い、気づけば人格だけがケーナに変わっていた。
女神は満面の笑みを浮かべた。
「久しいですね。ケーナ。十五年ぶりでしょうか。」
ケーナも同じく笑みを浮かべた。
「そうだね。天。奇跡的な再会に浸りたい気持ちは山々なんだけど、何せ。時間がない。すぐにやってくれ。」
「そうですね。分かりました。私の魔法。空の身柱で貴方をこちらに戻します。分かっていると思いますが、貴方の自我が保てなくなったら貴方の存在ごと、消えてしまいます。」
「あぁ。問題ないよ。我欲だけは強いんだ。私。それに、あの人との縛りだってあるし、次は絶対にこの世界を元に戻さなければいけないからね。」
ケーナの眼には微力でしかし、確かな強い意志が映っている。
「そうですね。では、時間がありませんし、そろそろ始めます。」
「あぁ。よろしく頼むよ。天。」
ケーナはゆっくりと眼を閉じ、辺りは物静かな空気感が流れていた。
「我、空閑の使い。天ノ橋架が命ず。双方の素なる空閑から汝の祖を表しき。名はケーナ。」
天ノ橋架は呪術を唱え、空閑の逆目を作った。
その中は、暗く、光が一切通らない暗黒だった。その中に一つの光る球体。それを天ノ橋架は手に取り、握り潰した。
「さぁ、私が出来るのはここまでです。後は、貴方の根気に掛かってますよ。ケーナ。どうか、無事に戻ってきてください。」
天ノ橋架はそう言って、倒れている、エルを見つめていた。